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福岡県職員逮捕で浮かび上がった秘密組織「木曜会」
知事に市長、国の出先に検察・警察まで参加

2018年5月10日 06:42

00000000-県庁.jpg 今月8日、福岡県庁総務部財政課の企画主査が、業務上横領の疑いで福岡県警に逮捕された。県内の行政機関の長らで構成される親睦団体「木曜会」の会費計114万5,400円を、口座から引き出し着服した疑いがあるのだという。
 不正に気付いた県が被害届を提出したことで事件化したが、俄然注目を集めているのが「木曜会」という組織の存在だ。県庁内はもとより、県議会や関係機関の人間のほとんどが、同会の存在さえ知らされておらず、事件報道を見て初めて知った人が大半なのだ。
 木曜会とは一体どのような組織なのか……。公表された資料と関係者の証言から浮かび上がってきたのは、県民の知らないところで運営される秘密組織の実態だった。

◆国の出先に県と福岡市、そして検察・警察のトップも参加
 職員逮捕を受け8日に会見を開いた県は、木曜会の名簿と運営要綱(規約)、同会の会計状況を示す文書を公表した。下はその名簿をもとに、会員の職名を抜き出したものだ。

000000―名簿.png

 福岡県知事、福岡市長の他、ほとんどの国の出先機関の長が会員になっている。豪華な顔ぶれの組織なのだが、長年役所の取材をやってきて「木曜会」という名称の集まりなど聞いたことがない。ある県議会議員は、次のように話す。
「一体全体、どのようなことを目的とした組織なのか?メンバーだけ見れば、ちょっと考えられない。国の出先に県と福岡市、かつての公的機関ということなのだろうが民間のJRとたばこ産業まで入っている。そこに警察と検察のトップ……。仲良くお食事でもしているのなら、不正の隠蔽組織と見られてもおかしくないだろう。そもそも、関係機関の職員や議会関係者が知らない組織が、存在していいはずがない」

 批判は当然だろう。取材した県の職員も市の職員も口を揃えて「知らない。報道で初めて知った」と言う。県議会でも市議会でも「木曜会」の存在を知る議員は皆無だった。報道機関にも同会のことは周知されておらず、在福岡の権力者たちが、県民の知らないところでコソコソやっているのは確かである。

 不正事案で捜査対象になる役所側と、捜査する側の検察、警察トップが会員に名を連ねていることも不適切だ。誰も知らない秘密の会合なら、裏で話をつけることも可能。不正の隠蔽が疑われてもおかしくはあるまい。「この件はよろしく」、「わかりました」――そうした醜いやり取りがあっても、県民に知らされることはない。実際、今年4月の木曜会には県警本部長が参加していたことが分かっている。

◆秘密会で公的な事案を議論?
 最大の問題は、こうした秘密の会合で、重要な課題が議論されている可能性が高いことだ。県が公表した「木曜会運営要綱」の記載内容をみれば、問題の深刻さがよく分かる。

(名称及び目的)
第1 本会は、木曜会と称し、会員相互の親睦を図ることを目的とし、兼ねて行政諸般の研究及び事務連絡を行うものとする。

(組織)
第2 本会は、福岡県及び関門所在の政府出先機関等の長(以下「出先機関の長」という。)並びに福岡県知事及び福岡市長を会員とする。但し、九州における他県所在の激府出先機関から本会の趣旨に賛同のうえ、自発的加入申込があった場合は。会員に加えることがある。なお、福岡県副知事及び福岡市副市長(総務担当)は、特に会員として加える。

(会議)
第3  会議を分けて例会と特別会とし、特別会は毎年1月及び12月に、例会は特別会を開く月を除き毎月1回(原則としてその月の第3木曜日とする。)開催する。
2  例会の開催は当番幹事(別に定める順序により出先機関の長が担当)が常任幹事(福岡県副知事が担当)と連絡して行うものとし、特別会は慣例により福岡県知事(12月)及び福岡市長(1月)が担当する。
3  会議は、会員以外の出席を認めないものとする。但し、当番幹事が会議運営の補助のため、その所属職員を出席せしめる場合はこの限りでない

(庶務)
第4 本会の庶務は、常任幹事主宰のもとに福岡県総務部行政経営企画課で行う。なお、例会及び特別会の通知又は運営等の庶務は、当番幹事が担当する。

(会費)
第5 会費の月額及び納入方法並びに会議に要する必要経費の限戻額(以下「限度額」という、)は、会議に諮って決定するものとし、限度韻を超える会議費は、当番幹事の負担とする。

 第3の3に≪会議は、会員以外の出席を認めないものとする。但し、当番幹事が会議運営の補助のため、その所属職員を出席せしめる場合はこの限りでない≫とある。会議運営の補助として部下の職員を参加させるということは、会議で話し合われる内容に、公的な事案が含まれていることを示している。

 職員の給与は税金が原資だ。県が、知事の会費を県が払っていることを認めているように、他の役所も同様だろう。しかし、任意団体の親睦の場である以上、議事録も残らないし、決められたことが公表されることもない。説明責任が問われない形で物事を決めているとしたら、それは国民に対する背信行為に他なるまい。

 運営要綱の記載によれば、木曜会のスタートは昭和38年。50年以上もこうした秘密会が開かれてきたことになる。県は小川洋知事以下、副知事3人がそろって会員。福岡市からは、高島宗一郎市長と総務担当の貞刈厚仁副市長だけが参加している。検察や警察のトップを交えた役人の集まりである木曜会がどのような団体で、何を話し合ってきたのか――。知事や市長はもちろん、国の出先のトップにも説明する義務があるだろう。横領事件の波紋は、思わぬ形で広がりそうだ。



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