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セクハラ容認 麻生と政府の危険な主張

2018年5月22日 08:35

麻生安倍.jpg 麻生太郎財務相は今月8日、閣議後の会見で「セクハラ罪という罪はない」とのマニラでの発言が批判を受けていることについて受け止め方を問われ、改めて「セクハラ罪という罪はない、事実を述べただけだ」と持論を繰り返した。
 セクハラ被害者の心情を無視した暴言には呆れるしかないが、批判を浴びた麻生氏を庇うつもりなのか、今度は安倍内閣が「セクハラ罪という罪は存在しない」ことを閣議決定で追認。国民との意識のずれを露呈させる結果となっている。
 世界中に恥をさらす麻生太郎財務相の問題発言と、政府見解についてまとめた。

◆「頭がおかしい」麻生の暴走
 「麻生は、頭がおかしくなったんじゃないか」――。麻生氏による一連の問題発言について感想を求めた自民党の重鎮は、こう言って麻生氏を切って捨てた。次に出てきた麻生批判も、辛辣なものだ。
「『セクハラ罪という罪はない』と言いながら、同じ日の会見で『セクハラは被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪』だとも言っている。“罪はない”と断定しながら“親告罪”だと言っているわけで、主張が矛盾している。セクハラが社会悪だという本質が分かってないのか、ただのバカなのか……。上から目線で生きてきた男だから、年取って、いよいよ酷くなったんだろう。1、2回生が同じこと言ったら、次の選挙は間違いなく落選だ。総選挙があるとすれば、福岡の有権者は、よくよく投票先を選んだ方がいい」

 たしかに、福田淳一前財務次官のセクハラ疑惑が噴き出してからの麻生発言は、一貫して被害女性に冷酷だ。振り返ってみるとこうなる。

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 被害女性に対し「出てこい」と恫喝したかと思えば、「(次官が)嵌められた」、「セクハラという罪はない」――。この人には、セクハラが社会悪だという感覚が欠けているとしか思えない。

◆「セクハラ罪はない」を閣議決定
 暴言を吐くたびに政府・与党の足を引っ張っている形の麻生氏。厳重注意くらい与えてもよさそうなものだが、安倍首相にその気はない。それどころか18日、政府は立憲民主党の逢坂誠二衆院議員の質問主意書に答え、麻生発言を補強する答弁書の閣議決定を行っている。

 逢坂議員の質問は、麻生氏の発言を「不適切」とし、撤回と謝罪を求めたもの。セクハラ罪があるか、ないかなどという低レベルな質問を行うためではなかった。しかし、安倍政権の回答はこうだ。
(*政府回答は逢坂議員の事務所が提供)

 現行法令において、「セクハラ罪」という罪は存在しない。すなわち、セクシュアル・ハラスメントとは、例えば、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)第二条第一号において、他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動をいうとされているところであるが、セクシュアル・ハラスメントに該当し得る行為には多様なものがあり、これらの行為をセクシュアル・ハラスメントとして処罰する旨を規定した刑罰法令は存在しない。なお、セクシュアル・ハラスメントが、刑法(明治40年法律第45号)第百七十六条(強制わいせつ)等の刑罰法令に該当する場合には、犯罪が成立し得るが、その場合に成立する罪は、当該刑罰法令に規定された強制わいせつ等の罪であり、お尋ねの「セクハラ罪」ではない。

◆弱者を見下す安倍国家主義政権
 ハラスメントとは、相手を不快にさせる行動あるいは嫌がらせのこと。セクハラ罪という刑法罰がないことくらい、まともな社会人ならわかっている。加害者が手を出せば、暴行や強制わいせつに問われることも常識だ。問題は、言葉の上のセクハラであっても、身体的な圧迫以上に異性を傷つけ、心を病ませる場合があるということだろう。相手が不快に思えばセクハラなのであり、社会悪となる。刑法罰はなくとも、会社の中で処分を受けるなどの制裁はあるのだ。

 麻生氏は、「福田(前次官)の人権」という言葉を何度も口にしてきた。被害者と加害者を同列で論じているということだ。根底にあるのは女性蔑視。「セクハラ=悪」という意識は、みじんも感じられない。今回の政府見解と一連の麻生発言は、セクハラを受けた女性に2次的な被害をもたらすだけでなく、社会悪の容認にもつながる危険性がある。

 安倍首相は、「個人よりも国家が優先する」という、いわゆる国家主義者的な考えの持ち主だ。だから「国益」という言葉を度々口にしてきた。集団的自衛権の行使も国家のため、憲法改正も国家のため。ただし、安倍が考える国家とは、“戦争のできる国”のことである。そんな安倍に、自民党という政党も、すっかり毒された。同党の憲法改正案に、国民の自由を縛る「緊急事態条項」を入れたのもその表れだろう。

 安倍にとっての国家は自分自身の政権。逆らう者は許さない。安倍も麻生も、「報道機関の記者が、政府要人からのセクハラくらいで騒ぐな」というのが本音だ。だからこそ、「セクハラという罪はない」などと開き直れる。弱者に寄り添うことのできない二人の政治家が国の指導者であるというところが、日本にとってのなによりの不幸と言えるだろう。報道機関の世論調査では、こんな政権に3割もの支持があるという。不思議でたまらない。



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