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鹿児島県の馬毛島に核ゴミ処分場誘致の動き

2018年5月16日 07:45

20180516_h01-01--2.jpg 鹿児島県西之表市にある馬毛島(まげしま)に、高レベル放射性廃棄物(核ゴミ)の処分場を誘致しようとする動きがあることが分かった。
 馬毛島は、米軍機の離着陸訓練(タッチアンドゴー)を行う施設の建設を巡り防衛省と地権者の交渉が暗礁に乗り上げた状態となっていたことから、業を煮やした地権者が、原子力発電環境整備機構( NUMO:ニューモ)に土地の有効利用策として核ごみ処分場の建設を持ちかけた可能性がある。

◆利権の島
 馬毛島は周囲16.5キロ、面積約8平方キロメートルという小さな島だ。平坦な地形であるため、度々迷惑施設としての利用が検討されてきた歴史がある。石油の備蓄基地、使用済み核燃料の中間貯蔵施設、米軍普天間基地(宜野湾市)の移転先等々、浮かんでは消える計画の裏に、闇社会絡みの大きな利権があったことは言うまでもない。

馬毛島

 再び馬毛島が注目を集めるようになったのは2016年11月。防衛省が、米空母艦載機の離発着訓練場の移転先候補地として、馬毛島の大半を所有するタストン・エアポート社(旧:馬毛島開発)と、島を買い取る交渉に入ることで合意してからだ。

 しかし、同社が滑走路などの整備費を含む約150億円で買い取るよう要求したことで、「高くてもせいぜい十数億円」と見積もっていた防衛省側との対立が表面化。離発着訓練場の整備計画は、頓挫した形となっていた。

 タストン・エアポート社は鹿児島県出身の男性が創業したT建設(東京都)の子会社。馬毛島の事実上の所有者は、T社である。

◆事実上の取材拒否
 そうした中、聞こえてきたのが「馬毛島に核ゴミ処分場ができるかもしれない」という話。T社側がニューモに対し、馬毛島を核ゴミ処分場の建設用地として検討するよう持ち掛けたのだという。複数の関係者に取材したところ、いずれも「核ゴミ処分場のことはT建設の関係者からも聞いている」などとして、誘致話があることを認めている。

 T建設の会長に取材を申し入れたところ、同社側は「馬毛島のことをお話しすることはできない。会長に聞いても同じ答えだ」として、事実上の取材拒否だった。

 ある電力関係者は、次のように話している。
 「T社側がニューモに話を持ち込んだのは事実だ。タッチアンドゴーの訓練場として馬毛島を防衛省に売却しようとしたが、金額が折り合わず、交渉はうまくいっていない。防衛省との話は、まだ継続しているとも聞いているが、T社側としては一日も早く馬毛島を売って負債を整理したいところだろう。核ゴミ処分場の整備は、安倍政権が『国が主導してやる』と断言した課題だが、候補地さえ決まらないまま、原発は次々に再稼働するという歪んだ状況となっている。馬毛島の場合、土地の所有者は事実上1社。住民もいない。地元の首長が『うん』とさえ言えば、ことを進めるのは本土内より容易となる」

 核ゴミ処分場を巡っては、2007年に鹿児島県南大隅町で誘致話が浮上。誘致反対運動の高まりで計画が頓挫したかにみえたが、13年になって、森田俊彦町長が核ゴミ施設の建設を狙う電力関係者から核関連視察誘致に関する公印を捺した委任状を渡していたことが判明。その後、約束の見返りに、飲食やデリヘル嬢の派遣といった接待を受けていたことが分かっている。



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