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三流以下の日本政治に世界一の助成金

2018年5月15日 08:50

00000-国会1.jpg モリ、カケ、日報で政治や行政が信頼を失うなか、民進党と希望の党が分裂し、国民民主党ができた。新党に行く者、無所属になる者、立憲民主党に行く者と別れたが、いずれ大同団結しなければ、一強を打破することはできない。
 ところで、新党設立の度に注目を集めるのが政党助成金の行方。今回の野党再編では、民進党が保有していた90億円ともいわれる政治資金が、そっくり国民党の金庫に移っている。
 年間300億円を超す政党助成金の原資は血税。この国の政治は、本当にこの金額に見合う仕事をしているのだろうか――。

◆政党助成金は世界一の額
 国民民主党設立の手順は複雑だった。まず、5月7日に「希望の党」を解党し、玉木雄一郎衆院議員ら新党合流組が「国民党」、松沢成文参院議員らが新しい「希望の党」をそれぞれ結党する形で分党。このうち玉木らの「国民党」が翌8日に民進党に合流の上、民進党側が「国民民主党」へ党名を変更した。民進党の政治資金を残すためには、党名変更しかなかったのだ。これが“新党”と言えるのか、はなはだ疑問である。

 政党や政党支部を解散した場合、60日以内に助成金の使途報告書と政治資金収支報告書を、総務省か各地の選挙管理委員会に提出しなければならい。収支報告書の提出には公認会計士か税理士の政治資金監査も必要で、平成29年分の使途報告書・収支報告書を提出したばかりの議員たちにとっては、面倒な作業が続く。

 政治資金とは、個人、政治団体、政党などが、政治目的を達成するために、その活動上必要とする資金のこと。政党や政治団体の収支については、政治資金規正法に基づき政治資金収支報告書を、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会に対し毎年提出しなければならない。

 政治資金の原資は政党交付金(助成金の総額は国民1人あたり年間250円で決められる額)と、各政党や政治家が集めた企業・団体・個人からの寄付、または政治資金パーティーの収益などに分かれる。

 同じ税金を原資とするカネでも、地方議員の政務調査費の不正使用は詐欺罪になるが、税金が投入された政党交付金には使途制限がない。逆に、「使途を制限してはならない」(政党助成法第4条)と使途の規制を禁じているほどで、理論的には飲み食いなど何でも使える金となる。

 計算式に従って算出された平成29年度における「得票数割」と「議員数割」、各党ごとの交付額、議員一人当たりの交付額をまとめるとこうなる。

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 さすがにどの政党も内規を作り、特定の個人への寄付や飲食など、納税者に理解を得られない支出を禁止しているが、それでも時々SMバーやキャバクラでの支出が指摘されることは、周知の通りである。

 平成6年に政党助成法を含む政治改革4法が成立し、「政党交付金」が支給されることとなったが、それ以前は政党や政治家が自ら政治資金を集めていた。金権政治によるスキャンダルが多発したことにより成立した政党助成法だが、5人以上の議員が集まれば政党交付金がもらえるため「日本のこころ」のように、一人当たり2億5,000万円近くの政治資金を得るような現象も起きている。

 海外の政治制度を見てみると、アメリカやイタリアには政党助成金がない。政党助成金のある国の中では、日本が319億4,199万円(H29年度)で、断トツの一番。ドイツは、日本の約2分の1の147億2,300万円、フランスは日本の約3分の1の98億円、イギリスは日本の110分の1となる2億9,200万円でしかない。大盤振る舞いの日本。その割に政治は三流以下だ。

◆政党助成の問題点
 政党助成金を導入した当時は、将来的に企業・団体献金を禁止することを国民に約束していたはずだ。しかし、助成金導入から20年以上経過しても約束は守られておらず、国から政党助成金をもらいながら、企業・団体からも献金を受け続けるという“二重取り”の状態が続いている。
 
 政党助成金に頼り切った政党が増えたのも政治家を小粒にした一因だろう。自前で資金を調達できないような政党でも、小選挙区での惜敗率10%(一位候補の10分の一の得票)で当選するという実例もある。ちなみに、新党設立を契機に無所属になった民進党の国会議員たちは、次の選挙まで政党助成金を受け取ることができない。

 政党助成金を巡っては、「人件費など党運営に必要な経費を除いた政党交付金の国庫返納」を確約していた旧維新の党の大阪組(現・日本維新の会)が、ペーパー団体「なんば維新」を設立して、本来は国庫に返納すべき“年末までに使い切れない交付金の残り”を所属議員の各支部から寄附させ、翌年になって新たに立ち上げた政党支部に同額を戻すという手法でロンダリングを行っていたことが分かっている(「なんば維新」は、大阪組の各支部に対する最後の寄附を行った次の日に解散)。

 「膿を出し切る」と明言した安倍首相だが、モリ、カケ、日報といった政権が抱える問題については真相究明どころか疑惑が深まるばかりの展開だ。国会では14日、質問中の野党議員に、副総理兼財務大臣の麻生太郎が「自分がしゃべりたいんだよ、この人は」と閣僚席からやじを飛ばし、審議がストップするという事態も起きた。攻めきれない野党に、開き直る与党。この国の政治は、死んだも同然だ。「税金を使って300億円もの助成をするのは間違いだ」――そう感じているのは、記者だけではあるまい。



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