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ここでも「隠蔽」 形骸化した北九州市の情報公開

2018年4月 5日 09:50

000000―北.jpg 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡って発覚した財務省の文書改ざんが大きな政治問題となる中、今度は防衛省が国会で「不存在」と明言していた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった。問われているのは役所の情報公開に対する姿勢だ。
 国の機関は情報公開法(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」)を、地方自治体はそれぞれが制定した「情報公開条例」を順守して国民の知る権利にこたえる義務があるが、役人が恣意的な制度運用を行っていれば、法や条例そのものが形骸化することになる。
 そうした意味で、福岡県第2の都市である北九州市の情報公開は、“なっていない”。

◆情報公開に後ろ向きの北九州市 
 4日、請求していた「体罰」に関する文書の開示を受けるため、市側に指定された「北九州市立文書館」を訪れた。市役所本館から距離にして数百メートルほど離れた場所。市民がわざわざ足を運ぶのには不便な場所である。北九州市では、情報公開請求への対応を、すべてこの不便な文書館で処理しているのだという。情報公開に対する姿勢は、初めから後ろ向きだ。

 じつは、今回の事案に対する北九州市の公文書開示は、同じ文言で請求を行った福岡市や福岡県が、とっくに結論を出している内容。北九州市だけが、情報公開条例の規定で15日と定めた開示決定までの期限を40日以上も遅らせていた。こうした場合、何かを隠そうとしているか、杜撰な仕事をしているかのどちらかだ。

 案の定、担当課が持参してきた文書は整理されておらず、不開示理由とその対象文書が結びつかない状態だった。下が、開示決定に添付された不開示理由書の該当部分である。(*赤い囲みとアンダーラインはHUNTER編集部)

000-20180405081212585.jpg

 「平成29年1月20日付懲戒処分にかかる体罰事案に関すること」とあるが、対象となる文書が特定されていないため、数百枚ある文書のどれが「平成29年1月20日付懲戒処分」にあたる不開示文書なのか分からない。黒塗りばかりで、「平成29年1月20日」という日付が記された文書を見つけるのが困難なのだ。すべての文書を、ただコピーしただけで、請求者への配慮は皆無。開示決定期限を引き延ばしたあげく、この杜撰さでは呆れるしかない。

◆役所の論理を押し付け
 まともな情報公開とは言えないため、厳しく抗議したのは言うまでもない。結局、整理し直したものを後日郵送してもらうことになったが、そこで文書館の担当者がおかしなことを言い出した。「行政文書の更なる開示の申出書」なるものに、住所氏名を書けというのだ。これはいったいどういうことか――!?

 北九州市情報公開条例の第16条5項には、「開示決定に基づき行政文書の開示を受けたものは、最初に開示を受けた日から30日以内に限り、規則で定めるところにより、実施機関に対し、更に開示を受ける旨を申し出ることができる」とある。その際に使用されるのが、この「行政文書の更なる開示の申出書」だ。

 だが、本来この「更なる開示」とは、書類を閲覧後、開示文書の写しが必要になった場合に必要となるものであって、写しをもらうことを前提としている今回のケースでは必要がない。“更なる開示を要求しているのではない”と突っぱねたが、市側は「申出書を書かなければ写しは渡せない」と頑なな態度を崩そうとしない。理由を聞いたら、「今回の申請は閲覧のみで受け付けており、そこからさらに写しの交付を行う際には『更なる開示の申出書』の記入が必要です」という。

 だが、情報公開請求をした際に、こちらが申請していたのは「閲覧」と「写しの交付」の両方。閲覧後、必要な部分だけ写しをもらうということは、請求の時点で説明していたはずだ。それを、勝手な思い込みで「閲覧」のみの対応へと修正したうえ、別に申出書を書けという。どう話し合っても平行線という状況になったため、やむなく申出書に所定の事項を記入したが、役所の言うことは絶対だという態度は不愉快極まりないものだった。

◆やっぱりあった「隠ぺい」
 北九州市が制定した情報公開条例の第1条は「目的」。そこでは、こう規定されている。
 《この条例は、地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、行政文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の推進に関し必要な事項を定めることにより、市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし、市民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする》

 一連の経過を見る限り、「市民の知る権利を尊重」するという文言も「行政文書の開示を請求する権利を明らかにする」とした文言も、ただの謳い文句。現状では、「情報公開の推進」などできる訳がない。

 後ろ向きの姿勢がもたらすのは、情報公開制度の形骸化である。今回の開示請求を通じて浮上した最大の問題は、情報公開請求を受けた北九州市教育委員会が、当然オープンにすべき文書を黒塗り非開示にし、自己都合の隠蔽に走っていることだ。後述するが、そこに見え隠れするのは、教育現場の自己保身と市民軽視の姿勢。次週、「体罰」を巡る北九州市教委の対応について詳しく報じる。



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