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鹿児島・千葉だけ「30日」 開示決定期限で問われる情報公開の本気度

2017年11月 7日 07:50

鹿児島県庁.jpg 強大な自民党に挑むジャンヌダルクから一転、安倍首相同様の強権政治家であることがバレた小池百合子東京都知事。都政でもこれといった成果をあげていないが、口癖となっている「情報公開」のやる気だけは本気だったようで、今年7月から手数料を減らすなど情報公開制度を改正していた。
 一方、同じように改革を唱えながら、足下の情報公開条例に不備があっても放置したままの知事もいる。全国47都道府県の情報公開条例を確認したところ、鹿児島県と千葉県だけが、他の自治体の2倍の時間をかけて開示・非開示の決定を下していることが分かった。(写真は鹿児島県庁)

■通常2週間で開示決定 千葉、鹿児島だけ30日
 東京都は、今年6月まで情報公開の請求権者を都の区域内に住所や事務所を有する個人や法人などに限定。都外から情報公開を行う場合は、公文書の開示を必要とする理由を明示して請求する必要があった。調査・研究なのか、取材なのか、勉強なのか、争訟なのか――情報公開請求の目的を答えなければ開示に応じないという方針だったが、小池都政になってこれを改正。「何人も、実施機関に対して公文書の開示を請求することができる」へと変更していた。

 さらに、都の情報公開制度で最大の問題だった費用についても大きく改善。他の自治体ではあまり例のなかった「手数料」を撤廃し、国や他の多くの自治体の2倍に上っていた白黒コピーの開示にあたっての実費も減額している。下は、都庁のホームページに掲載された改正点。小池都政になって、都政の透明性が高まったのは事実だ。

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 一方、県政改革を叫んで当選しながら、他県より遅れた情報公開条例の実態に目をつぶる嘘つき知事もいる。全国47都道府県の情報公開条例を確認したところ、それぞれの自治体の開示決定までの期限は次のようになっていた。

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 大半の自治体が請求から14日か15日で開示決定。しかし、千葉県と鹿児島県だけが「30日」で、他の2倍もの時間をかけて決定を下す仕組みとなっている。情報公開に後ろ向きな県に共通するのは、そろってタレント知事が就任している点。千葉は元俳優の森田健作氏、鹿児島はテレビのコメンテーターだった三反園訓氏である。お二人ともきれいごとばかり言っているが、県民の知る権利については無頓着ということだ。

■後退する情報公開
 近年、自治体の情報公開は後退する一方。“知る権利にこたえる”という条例の趣旨を逸脱して、恣意的運用に走るケースが増えている。政令市福岡では、開示決定期限が「営業日で7日」という先進的な条例を有しているにもかかわらず、現市政に都合の悪い案件になると意味もなく決定期限を延長。保有する公文書を隠していたことが露見し、「別の場所にあった」などと平気で嘘をついた事例もある。鹿児島県も同様。最近では、30日という長い開示決定期間を定めながら、県議会で問題になるのを避けるため、原発関連文書の開示を遅らせるなど隠蔽姿勢を露わにしている。

 情報公開の重要性については、いまさら言うまでもない。森友・加計の両学園問題では、政府機関や関係自治体がそろって関連文書を隠蔽。いまだに開示されていない文書ばかりだ。防衛省の日報問題にしても、隠蔽の実態が明かされておらず、真相は藪の中。安倍政権による特定秘密保護法の制定以来、国の行政執行に信頼性がなくなっている。行政が行う施策の原資は税金だ。国民がその使い道をチェックするためにも情報公開は不可欠。不熱心な首長なら、何か不都合な問題を抱えていると見たほうが良い。



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