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「3.11」東日本大震災から7年 日本はかくも歪んだ

2018年3月 9日 08:10

201803genpatu-thumb-308x200-23943.jpg 東日本大震災から7年。毎年3月11日が巡ってくる度、当時の地震発生を知らせる臨時ニュースと、津波に流される家屋の映像が甦る。企業のテレビコマーシャルが消え、ACジャパンのCMだけが流されたのは、後にも先にも7年前だけだ。
 復興庁によれば、全国に散在する避難者数は約7万3千人。その大半が、東京電力福島第一発電所の事故によってまき散らされた放射性物質に、伝来の土地を奪われた人たちである。放射能の怖さを思い知ったはずのこの国で、なぜか原発が次々に再稼働し、「新増設」を決議する愚かな議会まで現れた。(写真左は川内原発、右が玄海原発)

 HUNTERが第1回の記事を配信したのは平成23年3月10日。翌日11日に東北を襲った巨大地震と津波が、国内のあらゆる動きを止め、原発の「安全神話」を崩壊させた。予定していた配信原稿を没にして、震災と原発に関する取材に走ったことを覚えている。以来、原発と原子力ムラを巡る様々な事案について記事を書き、配信を続けてきた。

 巨額な税金を投入して開発しながら、原発事故本番で運用に失敗したSPEEDI(スピーディ:緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)やモニタリングロボットの問題点を報じた他、九州電力玄海原子力発電所の立地自治体である佐賀県玄海町については、町長がファミリー企業を使って自分の懐に原発マネ―を還流させるカラクリを追及した。川内原発を擁する鹿児島県薩摩川内市では、原発マネ―で潤ってきた商工会が中心となって原発推進の旗を振る現状に警鐘を鳴らした。

 一方、九州にある玄海・川内両原発の事業者である九州電力は、福島第一原発の事故が深刻化する中、「念のため周辺住民に避難・屋内退避指示が出ていますが、ただちに健康に害を与えるレベルではありません」などと事故の影響を過小評価する印刷物(下の画像参照)を配布。さらに、玄海原発の再稼働を目指す経産省が主催した「佐賀県民向け説明会」に向け、関連会社の社員などに再稼働を歓迎する内容の「やらせメール」投稿を指示するなど、汚い世論誘導を行っていた。当時の九電社長が、自宅マンションの建物内に、経済部記者のために接待部屋を設置していたことを暴いたのもその頃だ。一連の報道は、「原発はなくすべき」との前提に立ったものである。

パンフレット1  パンフレット2  パンフレット3

 「3.11」から7年経って、現状はどうか――。全国の原発立地自治体や地元の商工会は、「命よりカネ」とばかりに原発再稼働を求める動きを強め、原子力規制委員会が新安全基準に沿って許可した川内1・2号機、伊方3号機、高浜3・4号機が営業運転を行っている。原発マネーに汚染された玄海町では今月19日、驚いたことに原発の“新・増設”を求める意見書案を議決するという。周辺自治体には何の配慮も示さない原子力ムラと原発立地自治体の身勝手……。彼らには、いまだに避難生活を強いられている人たちの姿が見えていない。

 九電はといえば、3月末に予定される玄海原発の再稼働を控え、「玄海原子力発電所の安全性がさらに向上した」「万が一の事故の際も、放射性物質の放出量は、福島事故時の約2000分の1と確認された」「新たに設置した設備や対策により、(原子炉)格納容器は破損しない」などと「安全神話」復活を思わせる記述を明記したリーフレットを、地元住民などに配布したことが報じられている。高レベル放射性物質(核のゴミ)の処分という最も重要な課題を積み残したまま、フクシマ以前への回帰が加速する。

 東日本大震災の悲劇から7年。たった7年で、原発は次々に再稼働し、電力会社は新たな安全神話を広めようと躍起になっている。周辺自治体の住民の思いなどお構いなしに、“カネのために”原発を増やせと「新・増設」を求めるバカな議会も存在する。「絆」の一文字はどこに消えたのか――。気付けば日本は、原発輸出を成長戦略の軸に据え、戦争に向かって突っ走る愚かな国になっていた。



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