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NHK受信料 最高裁判決への疑問

2018年3月 5日 09:25

20140619_h01-01t.jpg NHKを視聴するかどうかという本人の意思に関係なく、テレビがあれば受信料を支払え――。昨年12月、NHKが受信料契約に応じなかった男性を訴えた裁判で、最高裁が受信料制度を「合憲」とする判断を下した。
 「みなさまのNHK」が国民を訴えたあげく、恫喝まがいの取り立てに“錦の御旗”を与えられた形。ここ数年、強気で受信料の取り立てに走ってきたNHKが次々に訴訟を起こす可能性が高く、全国で900万世帯以上が未契約とされる受信料契約を巡り、各地でトラブルが増えそうだ。 
 だが、NHKは国民の払う受信料で守らなければならないほど立派な会社なのだろうか?

■最高裁が受信料請求に“お墨付き” 
 受信料請求の根拠となるのは「放送法」第64条にある≪協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない≫という条文だが、思想信条の自由や契約自由の原則を無視して、最高裁は放送法の規定を「合憲」と判断。テレビを設置した時点から受信料の支払い義務が生じるとした上で、テレビ設置の時期が立証できれば、数十年前であっても受信料を請求できるという驚きの判決を下している。今後は、NHKが視聴者に契約を求める訴えを起こし、NHK側の勝訴が確定した時点で契約が成立することになる。司法と国営放送がつるんで、国民に受信料の支払いを強要する構図だ。

 ただ、最高裁の判決は、肝心の“テレビがあるか、ないか”についての挙証責任をHNK側が負うのか、訴えられた側が負うのかについては明確な判断を下しておらず、「私の家にはテレビがない」と頑張った場合、家の中に立ち入る権限がないNHKが契約を迫ることは難しそうだ。

■強気に出るNHK
 最高裁のお墨付きを得て、NHKも鼻息が荒くなった。今年に入って、放送受信契約の未契約世帯に対し厳しい態度で臨むようになっており、2014年から受信料の支払いを拒否してきたHUNTERの記者宅にも、これまでと違う強い姿勢の文書が送られてきている。

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 ≪貴殿に対し、やむを得ず、法的手続きを検討せざるを得ませんので、この点をご賢察のうえ、ご対応下さい≫――『訴えられたくなかったら、重心料を払え』という恫喝は、これまで通りである。残念ながら頭のかたい記者には「ご賢察」などできず、従って受信料を支払う意思はまったくない。

■受信料取り立て「誠心誠意」の嘘
 NHKは、記者のような頑迷な不払い者に対する取り立て対応を、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、松山、福岡にある「NHK受信料特別対策センター」に移し、その後訴訟に持ち込むといわれている。NHKのホームページを見ると、取り立て事案を受信料特別対策センターに移したり、民事訴訟を起こしたりする度公表しており、そこには同じ文面の発表文が記載されている。下に、今年の発表文「放送受信契約の未契約世帯に対する担当窓口変更通知の発送について」から、抜粋した。

NHK.png

 文中にある『誠心誠意説明を行っています』は、まったくのデタラメ。公平・公正や真実の追及を旨とする国営放送が、こんな嘘を公表してはいけない。
 
 長年受信料契約に応じていなかった記者が、契約をするか、しないかではなく、「払わない」としてNHKと対立するようになったのは2014年。知らぬ間に結ばれた受信料契約に怒りを覚えたのと、NHKの会長や経営委員に安倍晋三べったりの右派が就任したことも、支払い拒否の理由だった。

 契約に持ち込んだ手口は詐欺師まがいのものだったが、その後の取り立ては、チンピラ以下のお粗末さ。その時のやり取りを、再掲しておきたい。

 NHK:このままお客様がご滞納を放置されてしまいますと、あなたにとってはよろしくない話になる可能性がございましたので、本日、そうならないように私の方が直接お伺いさせていただいたと……。

 記者:『よろしくない話』とはどういう意味か?
 NHK:過去分一括請求になってしまいまして、お客様にとってのご負担というものが大きくなってしまいますので……。ここでお支払いしていただいた方が……。

 記者:その前に、『よろしくない話』とは何か?脅しているのか?
 NHK:別に脅してるわけではないんですね。ただ、まあ、ご請求書の中味を見られたことはありますか?

 記者:見ている。
 NHK:そうなってしまいますと、お客様のご負担というのも大きいじゃないですか。

 記者:別に。負担が大きいから払わないのではない。前回来たNHKの方に話したはずだ。
 NHK:ま、そうですね。一応、記録に残ってるものはですね……。

 記者:どんな記録になっているのか?
 NHK:すいません。細かいところまでは、ちょっと……。

 記者:それも聞かずに、ここに来ているのか?
 NHK:……。

 記者:物騒な発言をした会長や経営委員が辞任し、国営放送らしい姿に戻れば、すんなり受信料とやらをお支払いしますと言ってある。状況が何も変わっていない以上、話すことは何もない。そもそも、あなたは最初にNHKの者ですと言ったが?
 NHK:○○と申します。

 記者:○○さん。あなたの会社は?
 NHK:株式会社●●●●と申します。

 記者:『NHKの者』ではないだろう。何の会社か?
 NHK:まあ、会社は会社です。

 記者:何が言いたいのか?よろしくないことになるぞと言いに来たのか?
 NHK:過去分の一括請求ということになりますので……。

 記者:だから、請求は承知している。
 NHK:これ以上放置されましても、金額が増えていってしまうじゃないですか。

 記者:増えていい。払わない理由も、NHKの人間に説明している。
 NHK:いいんですか?

 記者:法的措置結構。裁判やりましょうと言っている。
 NHK:あー。そうですか。

 記者:あなたは『NHKの者』ではない。『委託を請けた会社の者』だ。最初から間違っている。
 NHK:はい。

 記者:もうひとつ。『あなたのためによろしくないことになります』。これは脅し。
 NHK:私はもう帰ります。

 『あなたのためによろしくないことになります』と恫喝する取り立て屋の態度が「誠心誠意」であろうはずがない。その後何度も取り立て屋が訪ねてきたが、彼らはいきなり「NHKの者」と名乗る。胸に下げているのは所属会社名が記されたネームプレート。取り立て屋は、NHKから業務委託を受けた会社の人間なのだが、「委託を受けて」と正確に伝えてきたのは1度だけだった。毎度毎度「訴訟」だの「放送法」だのとほざく割りには、NHKの取り立て屋には自己紹介も満足できない者が多い。

 そもそもNHKは、憲法や民法の理念を曲げてまで、受信料の取り立てを許すべき会社ではない。関連会社を含め、金銭絡みの不祥事は日常茶飯。使い込み、架空発注、カラ出張――。なんでもありの犯罪組織に成り下がっている。肥大化した組織は腐りきっており、是正される保証はない。さらに、報道機関でありながら、安倍政権にとって不都合な映像やニュースは、徹底して流さない。安保法制の強行採決阻止を訴えた国会前の集会をスルーしたのは、NHKだけだった。こんな会社に、受信料を支払う意味はない。

 ちなみに、記者は訴えられたとしても痛くも痒くもない。NHKが記者への請求根拠としている受信料契約は、記者自身が署名し、印鑑を捺したものではないからだ。NHKの取り立て屋は、記者の留守中に「世帯主の了解を得てから」として契約を拒否した家人をだまし、無理やり契約を結ばせている。記者は受信料契約をした覚えはない。だから、NHKには「どうぞ、訴えて下さい」と言ってきた。この場合、最高裁の判決など関係ない。
かかってこい、NHK。



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