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支持率急落 現実味帯びる「安倍退陣」

2018年3月19日 08:10

gennpatu 1864410756--2.jpg 学校法人「森友学園」への国有地売却問題が、安倍政権を退陣に追い込む可能性が高くなった。
 16、17の両日に報道各社が行った世論調査の結果、内閣支持率が急落。軒並み「不支持」が「支持」を大きく上回る状況で、朝日新聞や政権寄りと見られてきた日本テレビ系列の調査では支持率が20%台に落ちる寸前となっている。
 自民党内部からは「日を追うごとに支持率は落ちるだろう。麻生太郎財務相の辞任だけでは済まない」といった声も上がり始めている。

◆党内からも首相の責任論
 16、17の両日に、報道各社が行った世論調査の結果は次の通りだ。サンプル数や質問方法に違いはあるものの、安倍内閣の支持率は、共同を除く各社の前回調査から10ポイント以上下落しており、すでに危険水域に入ったとみられている。

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 共同通信の調査結果は「38.7」とやや高い支持率を示しているが、朝日、日テレ、毎日の調査では「31」「30.3」「33」とギリギリの3割台。20%台突入は目前となっている。

 半数前後が「不支持」という結果も深刻だが、安倍首相にとっての衝撃は、自身への批判の高まりに加え昭恵夫人の国会招致を求める声が、いずれの調査でも6割を大きく超えたことだろう。これは、「国有地売却への昭恵夫人の関与」について首相が国会で何度も否定してきたことを、国民が信用していないことの証明だからだ。

 ある与党関係者は、こう話す。
「日を追うごとに支持率は落ちるだろう。財務省の文書偽造問題を通じて、国民は安倍政権の隠蔽体質に嫌気がさしている。加えて、麻生(財務相)の傲岸不遜な記者会見や、国会答弁で『やかましい』と言い放った態度も、支持率を下げる要因になっている。佐川(宣寿前国税庁長官)の証人喚問が実現すれば、『次は安倍昭恵を呼べ』となるのは必定。『呼ばない』とごねて長引かせれば、ますます支持率が落ちることになる。安倍政権は、絶体絶命。秋の総裁選で再選されることはない」

 財務省の不祥事が生んだ政局である以上、麻生氏の辞任が先になるのが筋だが、すでに安倍首相の責任論に火がついている。別の自民党幹部は、こう話す。
「麻生さんの進退は、麻生さん自身が決めること。財務省のトップは麻生さん。次官でもなければ、ましてや佐川なんかでもない。大臣は麻生さんなんだから。昔の自民党政権なら、とうに大臣が責任をとって辞めている話だ。我々が守るべきは総理。総理をどう守るかであって、麻生さんのことまで手が回らない。第一、麻生さんが辞めても(首相の責任を問う)流れは変わらない」

 麻生氏を突き放す声がある一方、前出の自民党関係者は「麻生辞任」との見方に否定的だ。
「麻生に『辞任して下さい」と言える奴はいない。麻生が辞めて一番困るのは安倍だからだ。麻生は安倍の防波堤。防波堤が崩れたら、今度は批判や追及の声が安倍を直撃する。安倍はむしろ、『辞めないで下さい』という心境だろう。それに、麻生が辞めて済む話ではなくなっている」

 確かに、麻生辞任で幕引きが図れる段階は過ぎた。佐川氏の証人喚問は、早くても今月23日。佐川氏の喚問が実現すれば、野党は「疑惑は晴れていない。昭恵夫人を呼ぶべき」と攻め立てるはずだ。前述の通り、報道各社の世論調査では、いずれも「昭恵夫人を国会に呼ぶべき」という意見が6割を超えており、首相はこの数字が一番こたえている。麻生氏が辞任すれば、次に待っているのは昭恵夫人への追及。与党公明党の支持母体である創価学会からも首相の責任を問う声が上がっており、安倍政権は土壇場に追い詰められている状況と言えるだろう。

◆霞が関の安倍離れ
 霞が関の安倍離れも顕著だ。加計学園の獣医学部新設を巡る問題では、文部科学省の内部から“官邸の圧力”を示す告発が出され、森友疑惑を深刻化させた財務省の文書改ざん問題でも、同省の内部から情報が漏れた可能性が指摘されている。

 さらに、文科省が名古屋市教育委員会に前川喜平・前事務次官が市立中学で講師を務めた際の授業の内容や録音データの提供を求めた問題では、自民党文部科学部会に所属する愛知県選出の衆議院議員が、文科省に事の経緯を照会するよう、しつこく迫ったことが同省内部から明かされる事態となっている。「もう安倍政権に忖度する必要などない」(官僚OB)が、霞が関の本音だろう。

 政府与党の内と外で、「安倍退陣」を視野に入れた動きが加速している。



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