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森友・加計疑惑のキーマン「今井尚哉」とは

2018年3月20日 09:20

20120608_os01-thumb-480x360-4093.jpg 今月2日に朝日新聞朝刊1面を飾った学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡るスクープが、盤石と見られていた安倍晋三政権を直撃。財務省の官僚による公文書偽造という前代未聞の犯罪行為が、政官を揺るがす事態となっている。
 9日には、近畿財務局の男性職員が自殺していたことが判明。同日、森友問題発覚時に理財局長を務めていた佐川宣寿国税庁長官が辞任し、来週にも与党が拒み続けてきた佐川氏の証人喚問が実現する見通しだ。
 「森友」に「加計」と、学校法人に絡む疑惑で追い込まれた安倍政権。ここにきて、永田町と霞が関を舞台に起きた“事件”を主導した人物として、ある官邸スタッフの名前が取り沙汰されている。(写真は首相官邸)

◆官邸の影の支配者
 財務省の文書偽造は14件、約300カ所。書き換え、部分削除、1枚丸ごと削除などなんでもありの状態だった。今後はどのような経緯で“改ざん”が行われたのか、実態解明が焦点となる。国会は19日から森友問題の集中審議が行われており、安倍首相や麻生太郎財務相が野党から厳しい追及を受けている。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は、安倍昭恵氏の喚問について「まず佐川氏に真実を述べていただき、次に昭恵さんも出ざるを得ない、というのを示したい」と語っていたが、この問題の実態解明を進めるためには、“第3の男”をターゲットにせざるを得ないと民進党関係者は語る。
「森友問題は安倍首相にとって政務案件です。首相の国会答弁作成の際、今井尚哉政務秘書官が要になっているのは間違いありません。打ち合わせには、財務省理財局と国交省航空局も加わっているはずで、そこから事実をあぶり出していく必要性があります。キーマンは第3の男、今井氏なんです」

 キャリア官僚出身の別の野党関係者は、こう断言する。
「財務省に犯罪行為を命じられるのは、今井しかいない。官邸内での今井の力は絶大。加計学園の問題も、裏で文科省に圧力をかけていたのは今井だったと見ている。菅さん(義偉官房長官)が持っているのを“表の力”とするなら、今井の力は“裏の力”。今井は、最強の汚れ役と言ってもよい。だから安倍首相は、今井に頭が上がらない」

 では、今井尚哉(いまい たかや)とは何者か――。今井氏は栃木県生まれの60歳。東大法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。主にエネルギー畑を歩み、資源エネルギー庁次長などの要職を歴任したあと、第1次安倍内閣で事務方の総理秘書官を務めていた。第2次安倍内閣の発足と同時に政務の総理秘書官に就任。安倍首相の右腕として、官邸をコントロールしているとされる人物である。叔父の今井善衛氏は元通産事務次官。もう一人の叔父である今井敬氏は、新日鉄(現・新日鐵住金)の社長、会長、第9代の経団連会長を務めた大物経済人である。

 安倍政権が打ち出してきた「3本の矢」「一億総活躍」などのアイディアは今井秘書官によるものとされ、原子力ムラの一員として、原発再稼働を強力に推し進めたのも同氏だといわれている。表の政策立案に深くかかわる一方、加計学園の獣医学部新設を巡る裏の動きでは、文科省に「官邸の意向」を伝えた張本人だったという証言も――。森友学園問題で、財務省に文書の改ざんを命じたのがこの今井氏ではないのかと見ている政界関係者は少なくない。

◆昭恵夫人付き職員も今井氏の影響下
 今井氏が経産省の大物OBであるという観点から注目すべきは、昭恵夫人付きの官邸職員だった谷査恵子氏の存在だ。谷氏は、2015年11月に森友学園との交渉状況を財務省に「問い合わせ」を行っていたことが分かっており、この問い合わせ以降、財務省は問題の国有地を賃貸ではなく格安で売却する方針に変わっていた。

 谷氏は経済産業省からの出向。同省の大物OBであり、官邸の支配者でもある今井秘書官に森友の件を報告するのは当然だ。財務省に、圧力ともとられかねない問い合わせをする以上、今井氏の判断を仰ぐ必要があったはずで、問い合わせには同氏の許可があったと見るべきだろう。

◆必要なのは今井氏の国会招致
 前出の民進党関係者が指摘した“政務案件の打ち合わせ”は、「合議(あいぎ)」と呼ばれる。かつて、民主党政権時にも役所の壁を越えた合議があったとされ、鳩山由紀夫首相(当時)が母親から資金提供を受けていた問題で自民党から追及を受けた際も、政務案件のであることから合議が行われたという。この経験をもとに、この民進党関係者は今回の問題でも「合議が行われていたはずだ」と語る。森友問題では、官邸から今井政務秘書官、財務省からは佐川理財局長、国交省からは佐藤善信航空局長が出席していたのではないかとの見立てだ。この顔ぶれで方向性を決める力を持っていたのは、今井秘書官以外に考えられないという。

 野党が躍起になっているのは佐川氏、昭恵氏の証人喚問だ。もちろん、両名の証人喚問は核心の人物の証言を得るために必要不可欠なものだと言えるだろう。しかし、現時点でいきなり昭恵氏の喚問をしたとしても、彼女が真相を語るという保証はない。

 佐川氏の話は、いわば“外堀”。本丸である昭恵夫人に行く前に、“内堀”を埋める必要がある。首席秘書官である今井氏や谷査氏を国会に呼んで、森友に関する話について糺す意義は大きい。財務省は、いつ、どのようなことが発端で改ざんに手を染めたのか――。なぜ国有地が格安で払い下げられたのか――。真相解明のカギを握るのは、今井秘書官なのである。



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