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森友新文書で霞が関に問われる「国民全体の奉仕者」の意味

2018年2月14日 08:45

DSC04668.JPG どこまで国民を愚弄するのか。財務省が今月9日、国有地払い下げに至る学校法人森友学園側との交渉内容が含まれる新たな文書20件を国会に提出した。文書は約300ページのボリュームがある。
 昨年2月に森友疑惑が噴き出して以来、同省の佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)は国会で交渉記録を「廃棄した」と説明。一貫して記録文書の存在を否定していた。
 加計学園の獣医学部新設をめぐる文部科学省のケースと同じように、森友学園問題でも官僚が「ない」と明言した文書が大量に見つかるという事態。霞が関の官僚は、『国民全体の奉仕者』という立場を忘れているのではないか。
(写真は、放置されたままとなっている森友学園の小学校建設現場)

■森友交渉記録をめぐる経過
 財務省が参院予算委員会の理事会に提出したのは、同省と学園が小学校建設予定地の賃貸契約を結ぶ交渉をしていた平成25年9月から27年4月までに省内で作成された文書。問題の土地の賃貸借契約について、法律的な問題点を内部で検討した際に近畿財務局で作成されたとされ、国有地が格安で払い下げられた経緯に、大きくかかわる内容だ。学園との交渉過程が時系列に沿って記されており、“交渉に関する記録文書”であることには議論の余地がない。ところが、昨年の通常国会で森友側との交渉記録を提出するよう求められた財務省は、文書の不存在を主張。当時理財局長だった佐川氏は、国会答弁で「廃棄した」と明言していた。

 状況が一変したのは今年1月。大学教授らの情報開示請求で、担当部署間で学園との交渉過程を示して法的問題を整理・検討した折の5件の文書が存在したことが発覚。この中に、森友側が出した要求内容なども記載されていた。

 財務省側は「開示請求への対応の過程で文書があることに気づいた」と弁明したが、野党の追及で他にも同様の性質の文書があることが判明。不開示部分を除いて国会に提出された。新たに20件、約300ページもの文書が見つかったことは、それまで国会で「交渉文書はない」としていた財務省側の答弁が、虚偽だったことを示している。

 麻生太郎財務相は9日の衆院予算委員会で、「交渉に関して法的な論点について近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書で、交渉記録ではない」と釈明し意図的な隠ぺいを否定したが、一連の文書が“交渉記録”であることは明らか。大学教授らの情報公開請求に交渉過程が分かる文書を開示した時点で、同省自体が“交渉記録”の存在を認めた形になっている。財務相の答弁は、苦し紛れの強弁と言わざるを得ない。

 安倍首相が絡む疑惑で、関係官庁が、あるはずのものを「ない」と嘘をついたのは二度目。国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑で、表面化した文部科学省内部のメールの記録を菅義偉官房長官が「怪文書」と切って捨て、同省は記録データの存在を否定した。森友文書もまったく同じケース。加計問題の真相を語った前川喜平前文部科学事務次官は、「あるものをないとは言えない」と厳しく批判したが、隠蔽は文科省だけに止まらなかったということだ。霞が関は腐りきっている。

■「全体の奉仕者」ならぬ「官邸の奉仕者」
 国家公務員法は、第96条にこう規定している。

すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない
 現状はどうか。加計学園の問題では、首相に忖度した文科省が内部文書の存在を否定し、森友問題を巡っては財務省が交渉過程を示す文書を「廃棄した」と言い張った。官僚の視線の先にあるのは「官邸」であって、そこに《国民全体の奉仕者》としての自覚はない。国民が求めているのは、疑惑解明の前提となる徹底的な情報公開。霞が関が主権者の要求に応えようとしないのなら、税金で飯を食う資格などあるまい。

 霞が関の役人たちは、任命時に《私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います》と宣誓していることを思い起こすべきだろう。「不偏不党」を忘れた「官邸の奉仕者」など、この国には必要ない。

 新たな交渉関連記録が出てきたことで、改めて森友問題をめぐる安倍政権の姿勢が問われる状況となったのは確かだ。しかし、政権は強弁と嘘で国会逃げ切りを図る構えで、佐川国税庁長官や安倍昭恵夫人の国会招致を拒否している。清潔さを売りにしていたはずの公明党も泥まみれ。山口那津男代表は13日、会見で佐川国税庁長官の国会招致を求める野党の声について「長官の立場で理財局長の所管事項について答弁するのは、かえっておかしい」と発言し、安倍首相にへつらってみせた。だが、嘘をついた当事者が官僚である以上、どんな役職にあろうと本人が出てきて国会で説明するのが筋。佐川国税庁長官は、奉職時の宣誓を思い出すべきである。



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