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産経新聞 沖縄メディア攻撃で虚報の可能性 那覇支局長との一問一答

2018年1月31日 06:24

000-DSC05532--2.jpg 政権と厳しく対峙する他社の誤報に大騒ぎする産経新聞が、裏付けが不十分な記事で沖縄メディアを攻撃。反撃されて、うろたえるという失態を演じている。
 産経の記事が「虚報」だった可能性が生じたため、記事を書いた同紙那覇支局長に事実確認を求めたところ、報道機関の記者とは思えぬ対応で、逆に疑惑を深める結果となった。
(右が問題の記事を掲載した産経新聞の紙面)

■米兵がらみの交通事故巡り沖縄メディアを攻撃
 発端となったのは、昨年12月1日に沖縄県内で起きた普天間基地所属の米軍車両が絡む事故を巡る報道。事実関係を淡々と報じた沖縄メディアに対し、産経は事故に巻き込まれた米兵が日本人を救助した直後に後続車にはねられたと断定。同月9日にネット配信記事で、救出を報じない沖縄メディアを≪「報道しない自由」を盾にこれからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ≫と批判していた。(下が、ネット版の画面)

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 産経はさらに、12日の新聞本紙に「日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」と見出しを打ちネット版を短くまとめた記事を掲載。事故に遭った米兵を「ヒーロー」として取り上げた上で「米軍がらみの事件・事故が起きればことさら騒ぎ立て、善行に対しては無視を決め込むのが沖縄メディアの常となっている」と琉球新報、沖縄タイムスの県内メディアを誹謗していた。(下が、産経新聞12日朝刊の紙面)

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■琉球新報が検証記事
 これに対し、30日になって琉球新報がネット上で反撃。≪産経報道「米兵が救助」米軍が否定 昨年12月沖縄自動車道多重事故≫との見出しで、一連の経緯を詳しく検証する記事を配信した。(下が、琉球新報ネット版の画面)

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 琉球新報は記事の中で、≪事故は昨年12月1日午前4時50分ごろ、沖縄市知花の沖縄自動車道北向け車線で発生した。最初に左側の車線で追突事故が発生し軽自動車が横転した。追突現場の後方で停車した別の車に曹長の運転する車が接触し、さらに後ろから米軍の貨物車が衝突した。その後、後方から追い越し車線を走ってきた米海兵隊員の運転する乗用車に、路上にいた曹長がはねられた≫として事故の概要を紹介。次いで、米海兵隊第3海兵兵站群によるホームページの英文記事を引用して――≪(米軍)曹長は接触事故後に現場にいた別の隊員に近づき無事を確認した後「自分の車を動かすよ」と言って離れた直後にはねられたという≫――と事故の実態を明かした上で、在日米海兵隊のツイッターの記述についても≪曹長へ回復を祈るメッセージを送る県民の運動について発信する際に「多重事故で横転した車から県民を救出した直後に車にひかれ」と、救助したと断定した書き方をしていた。その後、このツイートは「多重事故で車にひかれ意識不明の重体になった」と訂正された≫と説明している。米軍側の主張については、≪海兵隊は取材に対し「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明している≫が結論だ。

■産経支局長との一問一答
 本当に米兵が日本人を救助したのかどうか――。琉球新報は≪曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない≫と述べており、不透明な点を残しているのは確か。しかし、同紙が検証記事で報じた≪しかし海兵隊は現場で目撃した隊員の証言などから1月中旬、「(曹長は)他の車両の運転手の安否を確認したが、救助行為はしていない」と回答。県警交通機動隊によると、事故で最初に横転した車の運転手は当初「2人の日本人に救助された」と話していたという≫や≪県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材していないという≫が事実なら、産経の沖縄メディア攻撃は、裏付けが不十分な情報に基づく「虚報」だったことになる。記事を書いた産経那覇支局長は、海兵隊や事故の現場検証を行った県警にきちんと取材したのか?事実確認のため、産経新聞那覇支局に電話し、支局長に話を聞いた。以下は、そのやり取りの内容だ。

 ―支局長さんでいらっしゃいますか。  産経:はいそうです。

 ―ニュースサイトHUNTERの記者で中願寺と申します。お忙しいところたいへん申し訳ございません。ちょっとお尋ねしますが、琉球新報に米兵の交通事故を巡る記事が掲載されておりまして、これは県警とか海兵隊に事実確認をしなかったというのは事実なんでしょうか。
 産経:海兵隊、米軍にはちゃんと聞きましたよ。

 ―海兵隊には確認をされた。
 産経:海兵隊というか、在日米軍に。

 ―在日米軍。これは沖縄の……。
 産経:(遮って)ちょっと待ってください。これは取材を受けてるんですか?

 ―そうですよ。もちろん。
 産経:ああ、では取材はちょっと応じません。

 ―取材に応じない。なんでですかね。
 産経:電話なんて応じませんよ、そりゃ。

 ―だっておたくは報道機関でしょう。書かれた記事に責任があるんじゃないですか?
 産経:(遮って)だって別にあなたのこと知らないですもん。

 ―ではそちらにお訪ねすればよろしいんですか。
 産経:僕あなたのこと存じ上げませんので。

 ―だからあの、名前は名乗ったはずで。そちらにお訪ねすればよろしいんですね?きちっとそちらにうかがって取材すれば。
 産経:一回お会いしたいですね。

 ―お会いして、取材しろということですね。
 産経:一度お会いしたいですね、ええ。

 ―ああ、なるほどですね。ではこの段階では取材は受けられないと。
 産経:電話だとわからないんで。すみません、申し訳ないですけど。はっきりいっていろんな電話きますんで、こっちには。ええ。ご案内の通り、ええ。お話しできませんので。申し訳ないですが。

 ―たとえば読者からの問い合わせにも答えられないんですか。
 産経:(沈黙)え、どどど……

 ―おかしいでしょう、読者から問い合わせがきたら……
 産経:(遮って)主旨は何なんでしょうか。

 ―だから事実確認はされたんですか、ということですよ。
 産経:いや、海兵隊には取材しました。

 ―県警にはどうなんですか。
 産経:してません。ていうか、それは言えません。

 ―海兵隊は「救助を行った」と言ってるわけですね。
 産経:え?

 ―海兵隊は「救助を行った」と……
 産経:取材ではそうでした。

 ―という風に海兵隊は答えたということですね。では琉球新報は誤報ということですね。
 産経:いやそれは言いません、それは知りませんわたくしは。もちろん海兵隊にも取材されたんでしょうから。うちは掲載したものも(米軍に)全部送ってますから。

 ―あまりケンカ腰になられても。うちは事実確認をしてるだけ。読者からの事実確認にも答えないと言うんですか?
 産経:(遮って)ケンカ腰じゃなくて。

 ―しかもこれ、もし読者からの電話だったら、あんたの顔見たことないから答えないっておっしゃるの?
 産経:いやその、そんなこと言ってない。仮にも取材だっていうならお会いしたいっていうだけですよ。

 ―いや僕も産経新聞の読者でもあるんですよ。
 産経:じゃあ、読者として、読者の……どこかに出されるわけですか。じゃあ、お答えしますけど、ちゃんと海兵隊に取材しました。

 ―したんですね。県警にはされてないけど、海兵隊には取材したと。
 産経:はい。海兵隊の情報で書けると思いましたんで。

 ―正しいと思われたんですね。海兵隊のどの部署に。
 産経:ちゃんと広報を通じてやりましたよ。広報。

 ―広報を通じて取材された結果を書かれたと。
 産経:コメントもらいました。

 ―そうなんですね。
 産経:それでなんかわからないですけど、これはオフレコですけど、オフレコですよ。あくまでも。うちの掲載記事は全部送ってますんで、それで何か間違っていますという指摘もありませんし。

 ―そういうことですか。オフレコ?
 産経:おそらくですね、そのへんをいろいろ調べたら若干違うところがあったかもしれません、おそらく。

 ―海兵隊のほうで調べて。それを産経さんに海兵隊のほうから、指摘はしてないということですね。
 産経:聞いてませんよ、全然。これを受けて海兵隊に確認しようとは考えていませんけど。

 ―わかりました、ありがとうございます。
 産経:そちらの連絡先ください、お名前と。

■「恥」はどちらか
 「顔を知らないから取材には応じない」には呆れるしかない。それなら「顔を知らない読者からの問い合わせ」にはどう対応するのか?この問いに対し慌てたところで、産経は報道失格だろう。支局長が一方的に宣言した「オフレコ」については意味不明だ。

 結論は「警察には確認していない」。海兵隊への事実確認については、琉球新報に間違いを指摘された形になっているにもかかわらず「これを受けて海兵隊に確認しようとは考えていませんけど」――。事実のみを追い続けるのが報道であるなら、産経はこれを否定したことになる。同紙は、ネトウヨあたりが流した不確かな「救助」情報を前提に、見込みに合わせた取材で沖縄メディアを批判したのではないか。虚報の疑いが生じた以上、産経は自ら検証し直し、間違いと分かった段階で沖縄メディアに謝罪すべきだろう。日本人なら「恥」を知るべきだ。



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