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県議会「虚偽答弁」の証明 鹿児島知事陣営“闇献金”疑惑(中) 

2017年12月 5日 09:15

00-知事1.png 今年6月の鹿児島県議会定例会、自民党県議から政治団体「県民党」(今年5月に解散)との関係について聞かれた三反園訓知事は、不愉快そうな表情を見せながら「全く存じておりませんし、関係もございません」と断言。同団体との関係を完全否定した。
 しかし、嘘はばれるもの。三反園陣営の政治資金を調べる中、県民党の政治資金収支報告書と三反園陣営の選挙運動費用収支報告書及び元運動員の証言から、本来別々に報告すべき支出を、すべて選挙運動費用として計上していたことが判明。県議会における知事の発言が虚偽答弁にあたることや、二つの報告書が政治資金規正法や公職選挙法の規定に違反する「虚偽報告」の状態であることが分かった。

■確認団体「県民党」― “知らない 関係ない” 
 「県民党」は、昨年の知事選で知事が“確認団体”として同意書を提出した政治団体。確認団体とは、選挙期間中に当該選挙区において所定の条件を満たした上で一定の政治活動が許される政党または政治団体のことで、知事選や市長選のほか参院選(所属候補10名以上が要件)、地方自治体の議員選挙(所属候補3名以上が要件)で適用され、立候補届出時に必要な書類を提出すると、街頭宣伝用の車の使用やビラの頒布が許される。三反園陣営の場合は、「県民党」が確認団体だった。

 今年6月の県議会で自民党の県議が質問したのは、知事の認識。伊藤祐一郎前知事への酷い誹謗中傷があったとした上で、県民党が知事選で頒布した下のチラシ(県選管への情報公開請求で入手。実物はカラー)を掲げ、同団体との関係について質した。

00-チラシ2.jpeg 00-チラシ1.jpeg

 県議:私、このチラシを見せました。「四選はダメ!」というこのチラシを見せました。知事の幹部の方が選挙の際に、「これは最後にとどめとして使いましょうね」と言ったんですよ、この記事を。知事、県民党と知事との関係は以前聞かれましたけれどもね、全然関係ないような言い方をしましたけれども。どうなんですか、県民党との関係は。

 三反園:議員御存じのとおり、候補者というものは必死で走り回っているものであります。全く存じておりませんし、関係もございません

 県議:城南町に知事の選挙事務所はあったと思いますが、その二階に県民党の事務所はあったんですよ。知らないと言うほうがおかしいじゃないですか。そんなことを言っちゃいかんですよ。天文館で最終日の土曜日も一緒に、知事の選挙広報車と県民党が一緒になって広報活動をやっていたじゃないですか。本当に全然関係ないんですか。

 三反園:今、申し上げたとおりでございます。

 知事の陣営関係者が唖然とする展開だったが、結論から言えば「全く存じておりませんし、関係もございません」という知事の答弁は虚偽だ。

■「虚偽答弁」は明らか
 三反園知事は県議会質疑の中で、県民党が「確認団体」だったことだけは認めている。認めた上で、「知らない」「関係ない」と明言した。しかし、選挙運動を共にした運動員の動きを、候補者が知らなかったはずはない。実は、県民党の車上運動員(以下、ウグイス嬢)は、候補者の選挙カーと連動して街宣活動を行っており、ウグイス嬢はローテーションを組んで2台の車に乗車していた。今日選挙カーに乗ったウグイスは、翌日県民党の街宣カーといった具合だ。

 選挙カーの運転手は、こう振り返る。
「三反園さんは、『県民党の車は、きょうどこを回ってるの』と度々ウグイス嬢に聞いていました。日程の都合で県民党の街宣車と合流し、伊佐市の公園駐車場にあるレストランで昼食を食べたこともあります。『知らない』とか『関係ない』とか、嘘っぱちもいいとこ。なんで、すぐにばれる嘘をつくのか分かりませんね」

 選挙の告示まで県民党の街宣車を運転していた男性もあきれ顔。「関係ないなんて、どの口が言うのか……」とした上で、次のように話す。
「県民党の街宣車も、三反園さんの選挙カーも、同じ事務所から出発して、同じ事務所に帰ってくる。ウグイスは2台の街宣車を交代で勤務。三反園さんは、県民党との関係を一番よく知っているんですよ。『知らない』『関係ない』なんて、必死で運動した人たちに失礼だ」

 別の元後援会幹部も知事の答弁に首をかしげる。
「県民党と言ったって、便宜上の話。やってる人間は同じ後援会のメンバーなんだから。鹿児島県は広いから、街宣車は2台ないと間に合わない。スピーカーで叫ぶのは三反園の宣伝ですよ。だからウグイスさんも同じメンバー。ローテーションで入れ替わるだけ。三反園が県民党を知らないわけがない。なんで『関係ない』とか『知らない』とか言ったんでしょう」

 三反園陣営が県民党と一体の選挙戦を展開したことは、陣営関係者だけでなく一般の有権者も知るところ。鹿児島市内の男性公務員は、知事選最終日に天文館で行われた三反園氏の街頭演説を記憶していた。
「天文館での、三反園さんの最後の訴えを聞いていました。選挙カーが2台並んでいたのを覚えています。1台は、市内を走り回っていた県民党の車でした。三反園さんは、議会で県民党のことを『関係ない』と言ったそうですが、あり得ない。いくら忙しいからといっても、自分を支えている団体を知らないわけがない。伊藤さんの悪口は言っていないと強調したかったのかもしれませんが、見え透いた嘘。原発についてもそうだが、この人の言葉は、信用できないですね」

 県民党を「関係ない」「知らない」と断言した県議会答弁が虚偽だったのは明らか。知事は、その責任を問われるべきだろう。ただし、県民党に絡んで知事が責任を問われるのは、虚偽答弁の件だけではない。報じてきた“闇献金”との関係で、知事陣営が別の法律違反を犯している可能性があるからだ。

■闇献金絡みで別の違法行為
 元運動員2人の証言で注目すべきは、ウグイス嬢が選挙カーと県民党の街宣車に交代で乗車していたという話。詳しく聞いたところ、ウグイス嬢は7人(選挙期間の折り返しあたりから6人)で、3人づつローテーションを組んで2台の車に分乗するシステムだったという。選挙運動費用収支報告書で確認したところ、日当の支払いを受けた車上運動員はたしかに7人。うち一人が、他のウグイス嬢の半分ほどの報酬だった。しかし、この報酬額はおかしい。“闇献金”の当事者が代表を務める県民党の政治資金収支報告書を確認してみると、知事陣営によるデタラメな政治資金収支の実態が見えてくる。

(つづく)



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