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ウグイス嬢日当を不正処理 鹿児島知事陣営“闇献金”疑惑(下)

2017年12月 6日 08:30

0-県民党1.jpg 三反園訓鹿児島県知事が、県議会答弁で「全く存じておりませんし、関係もございません」と関係を否定した政治団体「県民党」。だが、関係者の証言から選挙運動と連動した同団体の活動実態が明らかとなり、“虚偽答弁”に加え、政治資金規正法や公職選挙法の規定に触れる“虚偽報告”が行われた疑いが強まっている。
 HUNTERが注目したのは、選挙と県民党活動で使用された「街宣カー」のウグイス嬢などにかかる人件費である。

■消えた県民党の人件費 ― デタラメ資金処理の実態
 下は、三反園陣営が鹿児島県選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」の一部。日当を受け取った車上運動員(ウグイス)が7名だったことが分かる(*赤い囲みはHUNTER編集部)。

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 選挙期間中、選挙カーのハンドルを14日間にぎった三反園知事の元運転手と告示まで県民党の街宣車を運転していた男性の証言によれば、ウグイス嬢は7人で、選挙の折り返し時点あたりに1名が退職。ローテーションを組んで選挙カーに3人、県民党の街宣車に3人を分乗させていたという。報告書上も、日当の支払いを受けた車上運動員はたしかに7人。うち一人が、他のウグイス嬢の半分ほどの報酬で、証言内容と合致する。

 すると、7名のウグイス嬢の日当は、選挙運動費用と県民党の政治活動費に半分程度ずつ支出計上されるはず。だが選挙運動費用収支報告書を見る限り、1日15,000円が上限となる車上運動員報酬は次のような支出状況となっており、辻褄が合わない。選挙戦は17日間だ。

  • 1名が7日分(105,000円)
  • 3名が14日分(210,000円)
  • 1名が15日分(225,000円)
  • 2名が16日分(240,000円)

 7日分の日当を受け取ったのが選挙戦の途中でウグイスを辞めた女性だとして、あとの6名は、ローテーションの関係で1日~3日休んだ程度。乗車したほとんどを“選挙カー”に乗っていた形だ。県民党のウグイス費用はどこに消えたのか――。確認したのは、11月30日に県選管が公表した県民党の政治資金収支報告書である。

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 人件費はゼロ。県民党の街宣車に乗車していたウグイスの日当は1円も計上されていない。報告書上の支出は、看板代やポスター、チラシの印刷代だけで、運転手日当も街宣車の借入費用も計上されていなかった。明らかな虚偽記載。すべての収入、支出を報告するよう求めた政治資金規正法の規定に抵触する可能性が高い。

 一方、県民党の政治活動にかかった人件費を支出計上した三反園陣営の選挙運動費用収支報告書も不適切。虚偽の疑いが生じる結果となっており、公選法違反が問われる状況だ。人件費を巡る闇献金に、重なる虚偽記載。三反園陣営のデタラメな政治資金処理は、刑事告発されてもおかしくない悪質なものといえるだろう。

 ちなみに、県民党の代表者は、三反園氏の運転手(選挙期間中は選挙カーの運転手)や県民党の街宣車の運転を務めていた男性(選挙中は事務所の雑用)の報酬を支払っていていた沖縄の会社社長。県民党には、自ら150万円を寄附していた。“闇献金”絡みの疑惑が、いっそう膨らんだ格好だ。

 下の写真は、ネット上に残された三反園訓候補の出陣式の一コマ。にこやかに手を振る三反園氏の後ろに映っているのは「県民党」の街宣車である。これでも知事は、県民党について「知らない」「関係ない」と言い切れるのか?

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