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安倍政権下で増大する闇資金 「政策活動費」昨年は17億円超

2017年12月19日 08:35

100_80712.jpg 領収書1枚提出するだけで使途の報告義務なし――。官房機密費と並ぶブラックボックスといわれる自民党の「政策活動費」については、度々問題点をしてきた。しかし、庶民感覚が欠如した自民党のセンセイ方は“反省”とは無縁。先月総務省が公表した平成28年分の政治資金収支報告書によれば、自民党本部が昨年支出した政策活動費が、過去最高の17億390万円に上っていたことが分かった。
 国民に増税を強いる一方で、自民党は使途報告の義務がない闇資金をばら撒き続けている。“脱税”につながりかねない政策活動費の実態を検証した。

■過去最高の闇資金 脱税につながる可能性も
 自民党の政策活動費は、まさにブラックボックス。第2次安倍政権の発足以来増大の一途で、自民党が野党に転落していた平成22年の約7億8,000万円と比較すると、28年は2倍以上の約17億円が支出されていた。

 政策活動費を受け取った自民党の国会議員は衆参合わせて18名。7割が幹事長に集中しており、昨年7月まで幹事長を務めていた谷垣禎一氏が6億7,950万円、後継幹事長の二階俊博氏が5億250万円を受け取っている。

 下は、自民党が総務省に提出した政治資金収支報告書の一部。3,000万、5,000万、5,700万という途方もない金額が、領収書1枚で幹事長に渡されているのが現状だ。

自民政策活動費.png

 同党が支出している年間の政策活動費は、どう考えても異常だ。昨年の収支で見れば、収入総額は約241億円。内訳は、政党交付金が約174億円、立法事務費約28億円、同党の政治資金団体「国民政治協会」からの寄附が約23億、党費8億5,000万円、その他は所属議員からの寄附などである。これに対し、支出が約220億円。このうち17億円が政策活動費だった。支出の1割近い政治資金が闇に消えた計算となる。

 使途の報告義務がないため、政策活動費が、どう使われたかは不明。投げ渡しのカネを、所属議員に配ったのか、民間の協力者に渡したのか、あるいは領収書を書いた政治家が懐に入れたのかまるで分らない。ただ、政策活動費は“政治活動”に供されたということで無税。党本部から政策活動費を受け取った政治家本人は、このカネについて申告することはない。闇資金である以上、政治家から資金を受け取った相手も申告はしておらず、場合によっては、堂々と「脱税」が行われている可能性さえある。

 「一強」の状態が進むにつれ、ばら撒き額は増える一方。下の票にまとめた通り、第2次安倍政権の発足以来、67億円以上の政策活動費がばら撒かれたことになる。

00-政策活動費.png

 「政治にはカネがかかる」というのが永田町の常識。しかし、何に使ったのか分からないカネが、年間17億円も存在するというのは国民からすると大変な非常識だ。すべての収入・支出を報告するよう求めている政治資金規正法の趣旨にも反している。国民に負担増を求めながら、自分たちが貰う無税のカネは増やし続けるという理不尽――。この国の政治を、安倍政権が歪めているは確かだ。不可解なのは、大手メディアが政策活動費や官房機密費について追及する姿勢を見せないことである。なぜか?



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