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お友達戦略特区 福岡市空港アクセスバスに暗雲

2017年12月27日 09:55

0000-royalbus-1024x826.jpg “お友達戦略特区”の事業者選定に、改めて疑問符がつく事態だ。
 戦略特区の特例を利用して福岡市が今年4月から導入した空港アクセスバスを巡り、九州運輸局への情報公開請求で入手した資料から、高島宗一郎市長と関係の深い人物が代表を務める運営会社「株式会社ロイヤルバス」(福岡市)が、深刻な債務超過状態にあることが分かった。
 これまで報じてきたのはバスリース料の未払いや、国に対する輸送実績報告書の未提出。市民や観光客の足となる路線バスの運営企業とは思えぬ経営実態に、市関係者の間からも先行きを不安視する声が上がっている。

■バスリース料の訴訟は和解したが……
 空港アクセスバスの運営会社「株式会社ロイヤルバス」が、バス車両のリース契約を交わした同業者から車両の返還と未払金の支払などを求められていた訴訟は、和解が成立している。和解案は、請求金額約2,100万円を分割して支払うというもので、12月末が1回目の支払期限。ロイヤルバス側が提起した和解案であり、当然履行するものと見られている。ただし、和解条件のなかには、1度でも支払いが遅れた場合はリース契約を解除することが盛り込まれており先行きは不透明。経営状況自体は、依然として不安定なままだからだ。

■債務超過
 九州運輸局への情報公開請求で入手した資料によれば、同社の厳しい財務状況は明らか。今年7月までの時点では負債が資産を大きく上回る債務超過状態で、その額は約3億7,900万円に上っていた(資産額3億7,808万円に対し、負債額が7億7,650万円)。空港アクセスバスの事業者選定に疑惑が持たれる中、新たに見つかったロイヤルバスの厳しい経営実態だ。
(下が運輸局に提出された貸借対照表。赤い矢印と囲みはHUNTER編集部。黒塗りは運輸局)

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 空港アクセスバスは、国家戦略特区を利用した特例事業。現行で認可が必要な運賃を「届出」で済ませ、30日前に届出が義務付けられた運航計画を「7日前」でOKにするという、バス事業者にとってはありがたい内容だ。特区申請したのは福岡市だが、制度を活用しているのは民間企業であるロイヤルバス。代表者が高島市長と関係の深い人物であることは、報じてきた通りである。

■運輸局も抱く不信感
 情報公開の過程で、九州運輸局がロイヤルバスの運営状況に不信感を募らせていることも明らかとなった。乗客数などについて管轄区域のバス会社へ聞き取り調査を行っている同局の問い合わせに対し、ロイヤルバスは明確な数字を述べず、あいまいな対応を繰り返しているというのである。輸送実績報告書の未提出も合わせ、「西鉄などではあり得ない杜撰さ」――所管課の職員は、そう言い切る。

 ある福岡市関係者は、ロイヤルバスを巡る一連の報道を受けてこう話している。
「拙速で事業者を選んだ背景に、ロイヤルバスの代表者と市長の関係があるのは確かだろう。市が、財務内容も確認せず、国に特区事業者を推薦するはずがない。先行きが不透明な業者に、市民や観光客の輸送という大切な事業を任せていいのか。そのことが厳しく問われるべき。もちろん、特区事業者の認定過程も、国会や市議会で追及するべきだ」

■特区会議の茶番
 ロイヤルバスの運行開始から半年が経過した10月18日、空港アクセスバスの利便性向上などを目的に戦略特区区域会議の下に設置された「福岡空港アクセスバス分科会」は福岡市内で1回目の会議を開き、事業の現状について議論した。公表された議事録の最後には、次の様に記されている。

 ――(福岡空港アクセスバスの事業は)適正に実施されているということで、よろしいでしょうか?
 ――(一同)異議なし。
 リース料等の訴訟が提起されたのは夏で、9月には1回目の公判が開かれている。訴訟進行中に開かれた税金を使った会議は、茶番だったと言うしかない。

 この会議の報告内容については虚偽報告がなされた疑いも浮上しており、取材結果がまとまり次第、詳しく報じる予定だ。



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