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鹿児島労働局 国家資格不正で県労働基準協会への監査を拡大
県内全支部対象 新たな不正浮上か

2017年11月28日 08:30

288e45d190d20477f15ed2fa7283c18076ca3234-thumb-220 xauto-21861.jpg 「公益法人 鹿児島県労働基準協会」(諏訪健筰会長)が国家資格試験の内部不正を隠蔽していた問題で、監査を実施していた鹿児島労働局が、協会本部以外の県内8つの支部に対象を拡大し、詳細な調査を行っていることが明らかとなった。
 協会関係者の証言によれば、不正が発覚した加世田支部以外にも疑念を持たれる試験結果が存在したとされ、労働局の調べによって別の不正事案が暴かれる可能性もある。

■試験不正で労働局動く
 鹿児島県労働基準協会が隠ぺいしていたのは、平成25年に行われたガス溶接作業者の国家資格試験で答案用紙を改ざんするという重大な違反行為。同協会加世田支部の職員が、マークシート方式答案用紙の間違い部分を消して正解を塗りつぶすという単純な手口で、10人の受験者の点数を、最低8点から最高で44点水増していた。このうち9人が合格ラインの60点(試験は100点満点)に達していたことが、HUNTERが独自に入手した内部資料から分かっている。(*下が内部文書の一部)

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 不正は、採点のため加世田支部から鹿児島市内の協会本部に答案用紙が送られた際、間違って同封されていた点数メモによって発覚。しかし、会長を含む一部の幹部が所管庁である労働局に報告しないことを決め、隠蔽を図っていた。答案用紙を水増しされて合格ラインに達していた受講者は、すべて不合格にする一方、不正を働いた職員には出勤停止1月という甘い処分を下していた。口をつぐむ見返りに、処分を軽く済ませた疑いがある。HUNTERは8月23日に一連の取材内容を報道。これを受けた形で、協会の一部業務を所管する鹿児島労働局が監査に入る事態となっていた。

■監査対象は県内全支部に
 8月末から始まった監査は協会本部と加世田支部に限られていたが、ここに来て対象がその他の7支部にも拡大していることが判明。労働局は監査対象をすべての支部に広げたことを認めた上で、「別の不正があるかどうかについては答えられないが、すべての案件について総合的に調べる。監査終了は年を超える予定」とコメントしている。

 現役の協会職員による「試験の不正は、加世田支部だけでの問題ではないと思う。筆記はそう簡単な内容ではないのに、10人前後の受講者全員が100点満点というケースもある。ちょっと、あり得ない。問題が事前に漏れたか、答案用紙に細工したかのどちらかだと思っている。今回のガス溶接試験の問題は、氷山の一角に過ぎない」との証言もあり、監査の強化で新たな不正が見つかる可能性もある。

 こうした事態を受け、ある協会関係者は次のように話している。
「協会の隠蔽体質にメスが入ったことで、以前のまともな協会に戻ることを祈っている。現在の会長や専務理事が就任してからは、独裁体制の下、協会が大きくゆがんだ。試験不正の隠蔽をはじめ、パワハラ、協会の私物化と問題が多すぎる。隠蔽が会長と専務理事の主導で行われたことを知っている職員は少なくない。機材購入では、会長の意向だけが優先され、特定企業への便宜供与がまかり通るありさまだ。意見すれば左遷か降格。公益法人としての資格が問われる事態だ」



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