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安倍晋三と神戸製鋼問題
総選挙公示日に経産省会見

2017年10月26日 09:25

0-神戸製鋼.png これほどの重大事案でありながら、経済産業省は、なぜ衆議院議員選挙の公示日に記者会見をぶつけたのか?神戸製鋼のデータ不正事件は異常な展開を見せた。
 内部告発から始まったデータ改ざん問題は、経産省による10月10日の会見で幕を開けた。同省が個別企業の事案について会見を開くのは異例中の異例。しかも9月の半ばには「実態を把握していた」(省内幹部)というのだから、不可解と言うしかない。
 “なんでこの日に”――。背景を探ってみると、安倍晋三首相と神戸製鋼とのつながり、そして官邸の動きが見えてくる。

■「問題ない」と経産省は言うが……
 10日の会見は改ざんされたデータについて“実質上の問題はない”、というオブラートに包まれた内容で、報道の過熱を抑えるニュアンスがあった。経産相と歩調を合わせるように、新幹線や自動車、航空機のボディに使われている素材について、自動車業界からはトヨタが「(耐久度には)問題がない」、イギリスで同国の新幹線を販売した日立は「安全だ」と補強するコメントを出している。しかし、実際に検証し耐久テストを綿密に行う時間があったとは思えない。

 製鋼側が明らかにしたアルミニウムのデータ改ざんは4%。しかし、それがどの部品に使用されたかについては、十分な説明がなされていない。電子部品に対して、あるいは銅製品に対して、アルミニウムはコーティングで使われることが多い。4%という数字がすべての素材の中での4%であるなら、コーティングされたすべての部品が該当する可能性もある。

 「合金材料の業界でのアルミ材の地位は下に見られてきました。その被膜は、電子部材、銅線などに使われていて単体は少ないと思います。耐久材の合金類は それこそヤミ鍋状態でデータが近ければいいのだという考えが業界にも昔はあった。」(神戸製鋼OB)――それを今まで放置してきたのは大企業のおごり以外のなにものでもないとOBは言う。

 10月17日に毎日新聞が抜いた記事によれば、神戸製鋼の工場では過去40年以上も前から改ざんされたデータの板材がトクサイ(特別採用)という隠語めいた表記で偽造の検査合格証を作成。顧客の了解なくオーダーと違う品質のアルミ板が公然と売られていたという。これはアルミ工場の元社員の証言を報じたもので、さらに、鉄鋼材についても品質検査が一部で規格に達すれば全部を適合品とみなす、“みなし合格”で製品を出荷していたという証言も報じられている。材料業界ではどちらかと言えば脇役のアルミだけではなく、主役の鋼材まで広義のデータ改ざんが行われていたことを示しており、同社の信用は大きく揺らいでいる。

 問題がどこまで波及するか、まったく見えないのが実情だ。材料出荷先企業は全体で約3,000社。大企業から中小企業まで、材料の行き先でどのような問題が起こるか不明な状況なのだ。それを察知からわずか半月で、材料を所管する経産省単独で安全宣言というのはどう考えても無理がある。これは大型輸送全体にかかわる問題。国民だけでなく他国の人たちの生命にもかかわる話だ。当然、“輸送”の担当セクションである国交省のお墨付きがなければ「安全」とは言えまい。なぜ、結論を急いだのか――。どうやら会見の裏側に、政治的な理由がある。

■会見の裏に官邸の圧力
 経産省は、なぜ総選挙の公示日に会見を設定したのか?その点について、ある経産省の幹部は「政権側が、選挙を煙幕に使った可能性は非常に大きい」と明言した上で、こう話す。
「官邸の圧力があって最初の会見日が(選挙の公示と)同時になった。報道が出ると政権にとってまずいことになる。神戸製鋼は安倍首相が社員でいた企業だからです。この企業は、政治を抜きにして考えることはできないんです。キーマンは首相秘書官である今井尚也氏。彼は経産省の出身で首相の姻戚ですよ。東芝の問題でも原子力推進の今井秘書官がウエスティングハウスの切り離しに対して、あるいは東芝の原子力ビジネスからの撤退についてぎりぎりの段階までクレームとストップをかけていた。今回の件も彼が動いている」
 結局はアメリカの司法省動き出して東芝は原子力ビジネスとウエスティングハウス社を切り離す方向に向くが、今井秘書官がそのタイミングを遅らせ、事態を当初より悪化させたと経産相幹部は言う。

 安倍首相が神戸製鋼の社員だったことは周知の事実。神戸製鋼のOBは入社の裏をこう話す。
「安倍さんは、入社試験を受けて入ったのではないんです。安倍さんは父親(晋太郎元自民党幹事長)にとってもお荷物だったことは知られています。製鋼に入ったのは、晋太郎氏と製鋼側の、政治的な駆け引きによるものなんです」

 衆院選の投開票が行われたの22日夜、安倍首相はテレビ番組の中で、神戸製鋼での工場勤務時代に触れ「誠実な責任感で、皆さん、汗ながしてやっていた」と信用回復をフォローするようなコメントをさりげなく出した。たしかに、首相の周りは誠実な社員ばかりだったらしい。別の神戸製鋼元社員は、当時のことを覚えていた。
「安倍家の地元である山口県には製鉄の工場があり(長府製造所)、安倍晋三は成蹊大学を出て渡米から帰国後の1979年に神戸製鋼に入社しました。ニューヨーク勤務から加古工場で製造管理の仕事を担当していましたが、コネ入社、政略入社ですから仕事はさせても誰かが必ずフォローしていました。誠実に、安倍さんを守ったんですよ。ラインパイプの長さの入力を間違え、違う製品ができてしまったことがあったのですが、これについては、いつだったか対談でしれっと告白していましたよ」

 元社員が言う“対談”とは、昨年3月に山本一太参院議員とネット番組「カフェスタ」で新人社員時代のことを話したときのことだ。自分の入力ミスであったにもかかわらず、首相の番組内での発言は笑ってごまかすレベルのエピソードになっていた。
「ギリギリの誤差の範囲内」「これはもう馘になるかな? と思いましたね」「みんなあつまって、どうしようか?って。まあ、事なきを得て。あの、だから、あー多少の失敗にもめげずに頑張ってもらいたいと思います」――。神戸製鋼の無責任体質を、元社員の首相が認めていたということだ。アメリカの司法省も動き出した大事件。官邸の動きを注視すべきだろう。



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