22日に投開票を迎える総選挙。一時は150議席前後の獲得が期待された「希望の党」だったが、代表である小池百合子東京都知事の「排除」発言から失速。日を追うごとに、支持者が減る事態となっている。
割を食ったのが民進党を離党して希望の公認になった候補者たち。変節を意味する政策協定書に署名させられた上、上納金までとられ、結果として票は減るというのだから、泣くに泣けない。
迷走を象徴するかのように、公示と同時に“希望隠し”に走ったが功を奏さず、再び小池頼みとなった候補者もいる。
■「希望の党」隠し
近寄らなければ見えないポスターの政党名――。九州のある選挙区では、希望の党公認候補が、公示と同時に徹底した“希望隠し”戦術に打って出た。ご覧のように選挙用ポスターの政党名は右下に小さくあるだけ(赤い矢印。HUNTER編集部)。同党を連想させるようなキャッチコピーもない(下の写真)。関係者の話によれば、下落する一方の小池人気に慌てた陣営が、印刷物はもちろん、街頭活動でも「希望の党」を隠すことを決めたという。ポスターの下の写真が同陣営の選挙用はがき(表裏)だが、どこにも「希望の党」という文字はない。
希望隠しを徹底していた同陣営だったが、選挙前に優勢だったはずの情勢はここに来て一変。公示後は自民党の候補に差を詰められるといった展開に。15日までに実施された報道各社の情勢調査では、自民党の候補が抜け出す勢いを示しているという。“希望隠し”が、有権者に見抜かれたということだ。
■一転、比例復活をかけて
うまくいかない時には迷いが生じるもの。15日の朝から、同陣営の選挙カーが小池代表の来援を公報して回り、同日午後から繁華街で行われた街頭演説では、希望隠しを展開してきた候補者が小池氏と並んで支持を訴えた。“希望隠し”から一転、全面的に「小池」「希望」を打ち出した格好だ。
選挙区事情に詳しい関係者はこう語る。
「希望隠しに効果はなかった。テレビや新聞は、候補者がどこの党の公認か明確に示しているのだから、陣営だけ党名を隠しても意味がない。街頭で並んだのは、小池さんの情報発信力に期待したという見方もあるが、もっと切実。小選挙区で落選が視野に入りはじめると、狙いは比例復活になる。そうなると、一票でも多く『希望』と書いてもらうしかない。揺れる候補者心理といったところだが、気の毒だと思う。
この分析は外れていないようで、同日、小選挙区での当選に可能性を残している希望の党公認候補は、小池氏の応援を断っている。
■自民隠し
希望の党候補者の苦しい選挙戦に同情していたところ、改めて自民党公認候補の選挙用ポスターを見てビックリ。なんと、こちらも自民党の党名は右下に小さく印刷されていた。選挙前、突然の解散で批判を浴びたのは安倍自民党。印刷の段階で、党名を小さくした方が有利と判断したとしか思えない。自民も希望も五十歩百歩ということだ(下の写真参照。赤い矢印はHUNTER編集部)。
議席獲得への厳しい戦いも、残すところあと5日。有権者の軍配は、どちらに上がるのだろう。