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衆院選公示 「希望」九州比例名簿で逃げだす有権者

2017年10月10日 08:40

0-希望.png 「安倍政権は倒したい。しかし自分の一票を投じる候補者がいない」――。選挙区によっては、こうしたジレンマを抱えている有権者が数多くいるに違いない。
 安倍一強に嫌気がさした有権者にとって、悩みの種だったのが“受け皿”がないこと。「寛容」を掲げた希望の党の登場に期待が膨らんだが、小池東京都知事の「排除」発言によって勢いを失う形となっている。
 逆に、排除された民進党議員らが立ち上げた「立憲民主党」が、リベラル派の支持を集める状況。きょう希望の党が発表した比例区名簿が、さらに同党の票を減らす可能性が出てきた。

■比例九州ブロック1位に極右の中山氏?―米国との「核シェア」に言及
 公示を前にした9日夜、九州の希望の党関係者に衝撃が走った。東京から伝えられたのは、「九州比例の1位は中山成彬。小選挙区の候補者は全員2位」――。公認と比例の順位を決める権限は小池氏側が握っており、民進党離党組にこの決定を止める術はなかった。ある希望の党の候補者は、「希望の党は、極右の集まりだと見られかねない」と頭を抱える。

 中山氏の経歴を見る限り、これが杞憂に終わるとは思えない。同氏は元自民党。文部科学大臣や国土交通大臣を歴任したベテランだが、2008年に麻生内閣の国交相に就任した折は、「日教組解体」「日本は単一民族」「成田空港反対はゴネ得」などという問題発言を連発し、3日でクビになったという経歴の持ち主である。

 一連の発言が示す通り、中山氏は筋金入りの極右政治家。「従軍慰安婦への日本軍関与はなかった」「南京大虐殺はなかった」が持論で、8日には安倍政権の北朝鮮対応に絡んでツイッターに「解散の理由に北朝鮮の脅威を言うなら、敵地先制攻撃能力を持つことの是非、米国との核シェアまで踏み込んで国民に信を問うなら分かる」と書き込んでいる(下の画面参照)。安倍首相以上の戦争好きということだ。

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 民進党離党組を唖然とさせたのは、中山氏による安倍首相への追従発言。ツイッターに「安倍首相の交代は許されない」との投稿(批判を受けて削除)したのに続いて、6日に宮崎県庁で開いた会見では、選挙後の首相指名について「小池百合子代表が出ないなら、安倍晋三さんがいい」と明言していた。

 「これでは戦えない」「非常識。自殺行為」(いずれも福岡の希望の党関係者)という声が上がる中、佐賀1区から希望の党公認で出馬予定だった原口一博元総務相が中山発言に怒って公認を返上。立憲民主党からの出馬に方向転換している。中山氏の比例1位で、多くの“まともな”支持者が逃げ出すのは必至。公示後、中山氏が街頭で極右的な発言を連発したらどうなるか心配した希望の党のある候補者は、9日の夜まで無所属での出馬を検討せざるを得ない状況となった。

 希望の党の比例名簿を巡っては、最終的な立候補者と登載順位の調整が難航。公示日の10日朝になっても発表されておらず、小選挙区の候補者たちが、共に戦う比例区候補の顔ぶれや重複立候補した自分の名簿順位を知らないまま選挙戦に突入するという異例の事態となっている。



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