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希望の党 「寛容」の看板に偽りあり

2017年9月29日 09:15

gennpatu 1864410756--2.jpg 衆議院の解散と同時に総選挙の主役に躍り出た小池百合子東京都知事率いる「希望の党」。27日に発表した綱領には「寛容な改革保守政党を目指す」と謳っているが、民進党との合流方針を巡って、早くも“看板に偽りあり”を証明してしまった。
 「安保法に反対する政治家は公認しない」――これのどこが寛容なのか!

■「寛容」は自民党の特質だったが……
 安倍政権が支持を失ったのは、森友・加計の両学園疑惑に正面から向き合おうとせず、政権ぐるみで「隠蔽」に走ったためだ。底流にあったのは、一強の政治状況をいいことに、「独裁」に等しい手法で、特定秘密保護法や安保法を通してきたことへの批判。自民党内では、公認権と人事権を盾に、モノを言う政治家を封じ込めてきた。「寛容」と対極にある“反論は許さない”という姿勢を貫いてきたのが安倍政権だったと言ってよかろう。

 かつての自民党は寛容だった。「自主憲法制定」は結党以来の党是であり、綱領にも明記してある。しかし、歴代の首相をはじめ「戦争を知る世代」のリーダーたちは、一切改憲の必要性を認めて来なかった。党内には改憲派と護憲派が共存し、総理総裁への厳しい批判でさえ容認されていたほどだ。平和主義を尊重する「リベラル」は、自民党の良心とも言える存在だった。

 自民党の中から首相を選ぶ擬似政権交代が可能だったのは、多彩な人材が、自由にモノを言える土壌があったからこそだが、小泉純一郎元首相がそれを「ぶっ壊し」、安倍晋三が独裁制を敷いた。最大の武器が「公認権」と「人事権」だったことは言うまでもない。とりわけ公認権は、政治家の死命を決するもの。「公認を出さない」と脅されれば、ベテラン議員でさえ黙らざるを得なかった。それが、自民党を硬直した右派集団にした所以だ。

■看板に偽りあり
 良し悪しは別として、日本人は「右か左」あるいは「白か黒」の2者択一を選ぶことを躊躇する民族である。狭い国土の中で、「寛容」がいかに大切なものであるかを、歴史の中で学んできたからだ。安倍首相の独裁的手法が嫌悪感を抱かれるのは当然で、これが結果的には自民党に危機を招いた原因でもある。その自民党政治に対し、「寛容」を旗印にした小池新党が、公認権を盾に安保法や憲法改正の容認を強要するというのだから「看板に偽りあり」と言われても仕方があるまい。

 小池新党に真っ先に同調し、先に民進党を離党した細野豪志氏は、安保法に反対する議員の公認は認めないと明言。公認権を盾に、入党者を選別する構えだ。小池氏も同じ考えだとすれば、この新党のどこが寛容なのか?

■お粗末な細野、若狭
 新党の設立に動いてきたのは、細野氏と小池側近の若狭勝衆院議員だが、検事あがりの若狭氏は、いきなり「一院制」などとトンチンカンな主張を持ち出し、周囲を唖然とさせた。衆議院が解散した今、残っているのは参議院だけ。国防に関する事案で国会の承認が必要なのは中学生でも知っていることであり、北朝鮮危機の中、ピント外れの政策は滑稽でさえある。

 新党立ち上げの記者会見で、小池氏はそれまでの動きを「リセット」すると発言した。細野―若狭の主導権争いと鈍さに、「業を煮やした」とも伝えられている。つまり、両人には多数を率いる能力がないということだ。能力のない輩がとるのが、権力をかさに相手を黙らせるという手法。細野も若狭も、小池知事の人気に乗っかっているだけだ。虎の威を借るなんとやら。それでは安倍政権と何も変わるまい。

■問われる政治家の矜持
 そもそも民進党は、国会前で民主主義の危機を訴えた多くの若者たちとともに、「安保法反対」を叫んでいたのではないか。細野氏もその一員だったはずだ。希望の党から出馬しようとしている民進党の議員たちに政治家としての矜持があるのなら、細野に対しても小池に対しても決然と「安保法には反対」と言うべきだ。それで公認を出さないというのなら、「希望の党」が掲げた「寛容」が真っ赤な嘘だということが分かるだろう。

 多くの国民は、民主主義の基本である「議論」を封じる安倍政治に嫌悪感を抱いてきた。他に受け皿がなかったから、自民党を勝たせてはきたが、ようやく出来つつある受け皿が安倍政権同様の議論を許さない「小池ファースト」なら、政治不信を増大させるだけだ。

 希望の党に望むのは、広範で自由な議論を戦わせることのできる政治。議論を封じる政党なら、2大政党の一翼を担う資格などあるまい。「寛容」を掲げたのなら、徹底して守るべき。希望の党にも、“矜持”が問われている。



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