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記者クラブも知らない高島福岡市長の自宅
問われる危機管理

2017年9月 8日 09:25

高島市長選.jpg 大きな事件・事故が起きても、自宅に居る知事や市長をつかまえることができない――。ちょっとあり得ない話だが、実際に記者クラブに加盟している報道機関の記者でさえ首長の自宅を知らないという異常な都市がある。
 人口150万人を超え、発展を続ける福岡市。同市は、高島宗一郎市長(写真)の自宅を未公表にしており、一部の幹部職員のほか、誰も市長の自宅住所を知らない。
 なぜ市長の自宅を隠すのか福岡市の秘書課に聞いたところ、回答は「セキュリティのため」。市長の身の安全を優先させ、危機管理上の問題に目をつぶる同市の実態が浮き彫りとなった。

■自宅を知るのは一部の側近のみ
 平22年の初当選以来、高島市長の自宅は市内西区にある住宅街の一角だった。転居したのは2期目の当選を果たした26年の市長選後。市内中央区のマンションに居を構えたという話が広まっていたが、市民はもちろん、記者クラブ加盟の報道機関でさえ正確な住所をつかんでいない。市内部でも、市長の自宅を知っているのは一部の幹部のみ。大半の職員は、中央区在住の事実さえ知らされていないという。

 歴代市長の自宅住所はオープン。訪ねてきた記者を招き入れて、じっくり市政の話をする市長もいたほどだった。それが一転、高島氏はプライベートを完全に秘匿し、少数の側近しか近づけようとしない。自宅隠しも計画的だ。

 そのそも、選挙に出れば立候補の届出書類などから自宅が分かるのが普通。持ち家なら、資産公開で自宅の住所が割り出せる。必然的に隠す必要がなくなるのだが、高島氏は選挙後、資産公開に引っかからない“賃貸マンション”に転居している。計算づくで、自宅の場所が分からないようにした格好だ。

■危機管理上の問題点
 なぜ市長の自宅を非公表にするのか――。市秘書課に聞いたところ「セキュリティのため」という。警備上の措置ということだ。政治家としては随分臆病な対応としか思えないが、一部の関係者しか自宅を知らない現状は、危機管理上大いに問題がある。

 市長の自宅を知る職員がごく一部に限られている現状では、大きな事件や災害が起きた場合、市長との連絡に不都合が生じる可能性がある。電話が通じないといった事態が発生する場合も否定できないからだ。仮にその時、市長の自宅を知る幹部が動けない状態だったらどうするのか?本来、市にとっての危機管理は市民のためのもの。何から守っているのか分からないが、市長の身の安全だけを優先させるのは、間違った対応というしかない。

 報道関係者が、自宅を出入りする市長をつかまえて話を聞くこともできないというのもおかしな話だ。現に、全国の自治体の中で自宅の住所を教えないという首長のケースなど聞いたことがない。市長の一方的な情報発信だけでなく、記者が市長の話をじっくりと聞く機会も必要なのだ。常識的に考えて、市長の自宅は最低限課長級以上の職員や報道機関にだけは周知すべきだろう。

■過剰な身辺警護は何のため?
 就任以来、高島市長周辺の警備態勢は異常だ。一介の首長にSPが付き、議場にまで入れるという厳重さ。航空機は“警備上の都合”という理由で、ファーストクラス利用が常態化している。かつてはエレベーターを降りて誰もが自由に行き来できた市長室や副市長室がある9階のフロアが、現在はガラスドアで締め切り状態となっており、警備員の了解がなければ中には入れない。天井には複数の監視カメラ。風通しの良かった福岡市役所の面影は、まったくなくなっている。

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 高島氏は東京出張のたび、私的な宿泊を入れて在京時間を延ばし、プライベートの夜を満喫していたことが分かっている。HUNTERの報道後に議会で追及され、そうした愚行は減っているが、職員に夜の居場所を教えない対応は今も続いているという。政治家にもプライベートはある。しかし、自己愛ばかりが目立つ市長の姿勢には、一市民として不同意と言うしかない。



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