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不正発覚の鹿児島県労働基準協会 パワハラ横行の腐った体質

2017年9月 6日 09:35

1-1504657198386.jpg 労働基準監督署の外郭団体「公益法人 鹿児島県労働基準協会」が国家資格試験の内部不正を知りながら隠蔽していた問題で5日、同協会の業務を所管する鹿児島労働局が、特別監査に入ったことが分かった。
 協会側は、試験の不正が判明した10名を不合格にしたとして自浄能力を強調しているが、HUNTERの取材を受けるまで不正を隠してきたのは事実。内部で「この件については口外しないように」と口止め工作があったことも分かっており、事件を矮小化しようという思惑が透けて見える。
 腐敗した組織は全てにおいて歪みが生じているもの。同協会では、悪質なパワハラが横行していることが、その後のHUNTERの取材で明らかになってきた。

■パワハラ横行 ―「訴訟」に「追い出し部屋」
 基準協会関係者によれば、内部で資格試験の不正が隠蔽されてきたのは、一部の幹部による強権的な運営が原因。役員会は形だけで、本部の専務理事や部長級職員がすべてを取り仕切る形になっていると話す。当然、人事は一方的で、気に入らない職員には捌ききれない仕事量を押し付けるなど、「辞めろ」と言わんばかりの扱いをされるという。複数の現役職員が、不正やパワハラの現状について次のように証言している。

【職員A】
 ――協会の運営について意見すると、露骨に仕返しを受ける。配置転換や過剰な業務の押し付けだ。いくつもの実例を見聞きしてきたが、生活があるので黙るしかない。私自身は被害に遭っているわけではないが、実態はブラック。協会には、職場のハラスメントをなくすよう啓蒙活動を行う資格などない。だれが入れられているのか、分からないが“追い出し部屋”があるとも聞いている。

【職員B】
 ――不倫でもめた職員が、相手を訴えたという話も聞いた。訴えられたのは、協会の支部の幹部だと聞いてます。とにかく、人事はメチャクチャ。幹部の言うとおりに動く人間は昇格。それ以外の職員は冷遇される。生活があるから黙っているだけで、不満を抱いている職員は少なくないと思います。

【職員C】
 ――協会は腐ってますよ。HUNTERが報じたガス溶接試験の答案用紙偽造ですが、やった(実行した)職員は当時は非正規。謹慎かなにかの処分を受けたのですが、なぜかその後に正規の職員に引き上げられた。幹部から指示された不正について、ひとりに背負わせ、口止めしたのではないかと噂されてます。

【職員D】
 ――試験の不正は、加世田支部だけでの問題ではないと思う。筆記はそう簡単な内容ではないのに、10人前後の受講者全員が100点満点というケースもある。ちょっと、あり得ない。問題が事前に漏れたか、答案用紙に細工したかのどちらかだと思っている。今回のガス溶接試験の問題は、氷山の一角に過ぎない。

【職員E】
 ――協会の運営に一般の職員が口を出すことはご法度。改革の必要性を唱えた職員は、数年前の出来事を無理やりパワハラに仕立て上げられ、処分されたと聞いています。つい最近、処分された側が訴訟を起こしていますよ。

【職員D】
 ――協会幹部から、「(言うことを聞かないと)このままじゃ済まんぞ」と脅かされた職員もいます。パワハラ追放が聞いて呆れる。

 出てくるのは、パワハラが横行する協会内部の腐った体質の話ばかり。同協会のホームページには「勤労者の福祉向上を図るため、年間を通じて労働条件、労働災害防止及び労働衛生対策に関する各種啓発事業を行っています」とあるが、“啓発”を担う団体とは思えぬ現状だ。HUNTERの取材の応えた職員たちが、異口同音に口にするのは「労働局には、是非実態を知ってほしい」。国家資格試験の不正発覚を受け、所管庁として特別監査に乗り出した労働局には、こうした声があることを是非知ってほしい。ちなみに、冒頭の写真は協会が入居するビルの玄関脇にある掲示板。「NO パワハラ」のポスターが色あせて見える。



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