県議会での質疑の模様を見た関係者は、一様に驚いたことだろ――ここまで平気で嘘をつける政治家がいたのか――。ペテン師・三反園訓鹿児島県知事の暴走が止まらない。
6月に開催された鹿児島県議会定例会で、自民党県議から政治団体「県民党」との関係について質問された三反園訓知事は、同団体について「存じ上げていない。関係もない」と断言。重ねての問いにも「申し上げた通り」として、まともな回答を避けた。結論から述べれば、この知事答弁、真っ赤な嘘である。
(写真が三反園知事)
■支援団体を「知らない、関係ない」
問題の質疑で三反園氏は、自民党の県議から一般質問に立つ予定の県議に裏取引を持ちかけたことや、気に入らない報道を行ったテレビ局の記者を「BPO(放送倫理・番組向上機構)に訴えるぞとなどと脅したことを糺され、自らの答弁を回避。県職員に答えさせるというふざけた対応をとっていた。唯一、自分で答えたのが政治団体「県民党」に関すること。前職伊藤祐一郎氏への誹謗中傷を咎められ、県民党との関係について問われた知事は、「候補者というものは必死で走り回っているもの。(県民党については)全く存じておりませんし、関係もございません」と断言していた。
県民党は、知事選の告示(6月23日)直前だった昨年6月16日に設立された政治団体。三反園氏を物心両面で支援した会社社長が代表者で、知事選の際は「確認団体」として届け出が出されていた。「確認団体」とは、選挙期間中に当該選挙区において所定の条件を満たした上で一定の政治活動が許される政党または政治団体のこと。知事選や市長選のほか参院選(所属候補10名以上が要件)や地方自治体の議員選挙(所属候補3名以上が要件)で適用され、立候補届出時に必要な書類を提出すると、街頭宣伝用の車の使用やビラの頒布が許される。三反園陣営の場合は、「県民党」が確認団体だった。
ここに、鹿児島県選挙管理委員会への情報公開請求で入手した一枚の文書がある。『政党その他の政治団体の支援候補者とされることの同意書』だ。
三反園氏は、県民党の支援候補者とされることに同意し、署名捺印している。県民党は、三反園氏が公認した支援団体なのだ。この場合、署名が直筆か否かは関係ない。「県民党なんて知らない。関係もない」という三反園氏の言葉が事実なら、選管に提出されたこの同意書は、偽造されたものだったことになるからだ。そうなると、当選した三反園氏自身が、陣営の違法選挙を認めることになる。
そもそも、選挙期間中に県民党が事務所として使用していたのは、鹿児島市城南町にあった三反園選挙事務所の2階。県民党のメンバーとは、毎日顔を合わせていた。かてて加えて、三反園氏の当時の口癖は「私は県民党」。自らの政治信条を冠した団体について、知らないはずがあるまい。選挙期間中は、後援会のメンバーも県民党のメンバーも一括りで「三反園陣営」。便宜上、別団体の活動を装っているだけで、実態は同様の選挙運動を行っていたことが分かっている。
三反園氏の有力支援者は次のように話す。
「三反園の嘘にはついていけない。県民党を何のために立ち上げたのか、一番よく知っているのは三反園本人だろう。それを『存じ上げない』とか『関係ない』などと、失礼にも程がある。人をバカにするなと言いたい。原発反対派を利用し、用済みになった支援者を切り、県民を欺いた。これでは詐欺師と言われてもおかしくない。我慢も限界。いずれ、カネ絡みの件も含めて公式に話すことになる」
別の後援会関係者も、三反園氏を突き放す。
「嘘つきは泥棒の始まりというでしょう。三反園さんも、子供の時に教わったはずだ。しかし、彼は平気で嘘をつく。格好だけは知事だが、人として最低のことをやっている。彼を応援した後援会関係者は、ほとんど皆呆れている。県民党のことを知らないなど、天に向かって唾を吐くようなもの。それなら、“県民党の資金は誰が出したのか”と聞いてみたい。三反園さんの知らないところで、事が動くはずがないんだから」
嘘つき、ペテン師、詐欺師――。鹿児島県内で、三反園知事に対する厳しい声が日を追うごとに増えているのは事実。就任から1年を経て、「県政史上最低の知事」との評価が定まりつつある。