“首長と議会は車の両輪”――二元代表制が語られる時に、よく使われる言葉である。しかし、全国各地の自治体では政務活動費を巡る不正が後を絶たず、議会への信頼は薄くなる一方。直近では、自民党のタレント議員と不倫していた神戸市議が、架空の印刷代を政務活動費に計上した疑惑を持たれ、辞職した。国会議員だけでなく地方議員の質も劣化している。
だらしない議員の増加に、議会軽視の風潮は広がるばかり。自治体のホームページにおいても、その傾向は顕著だ。トップ画面をながめてみれば、県議会サイトへの入り口を目立たなくしている県が多数。九州では、ホームページから「県議会」の文字を消した県さえある。
■小さくなる一方の「県議会」
かつて、ほとんどの自治体のホームページには、かなり目立つところに議会サイトのバナーが貼ってあったものだ。例えば、北九州市や熊本市のホームページがその典型。現在でも市長の情報発信と同じ大きさで市議会サイトへの入り口がある(赤い矢印はHUNTER編集部)。
一方、下は鹿児島を除く九州6県、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎のホームページ。トップ画面に「県議会」のサイトに誘導する箇所があるが、扱いはかなり小さく、探すのに苦労するほどだ。近年、下がる一方の議会の権威に比例するかのように、「県議会」の扱いは小さくなっている。
■鹿児島県のHPから消えた「県議会」
それでも、議会サイトへの入り口があるだけまし。鹿児島県のホームページのトップ画面(下がその画面)には、どこを探しても県議会への入り口はない。昨年7月、知事に三反園訓氏が就任してからこうなったという。議会軽視の姿勢に、呆れるしかない。
川内原発を巡り、原発反対派はもちろん県民をも騙した三反園氏。彼にとっては、県議会も尊重すべき存在ではないのだろう。今年6月の県議会定例会で、気に入らない報道を行ったテレビ局の記者を「BPOに訴えるぞ」と脅したことや、一般質問登壇者を事前に知事室への呼び込み裏取引を持ちかけたことなどについて聞かれた知事は、自ら答弁に立つことなく、県職員に代弁させるという非常識な対応をしていた。史上最低のペテン師知事は、議会軽視が、県民を愚弄する行為であることに気付いていない。県のホームページから県議会サイトへの入り口を消したのは、2元代表制を理解しない三反園氏の姿勢を象徴するもの。もちろん、伊藤祐一郎前知事の独裁県政を許し、ペテン師三反園を野放しにしている鹿児島県議会に、責任の一端があることは言うまでもない。鹿児島県議会の奮起に期待する。