政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
政治

小池新党は“改憲ファースト”

2017年8月28日 09:35

01_00_01.jpg 小池百合子東京都知事の人気に乗って、都議選で圧勝した「都民ファースト」。次の総選挙に向けた小池氏の次の一手が注目されていたが、年内解散の風が吹きはじめて登場したのは、知事側近の若狭勝衆議院議員が立ち上げた政治団体「日本ファーストの会」だった。
 目的も理念も分からない旗揚げ。極右を想起させるネーミングにも疑問を感じていたところ、若狭氏が相次いで会談した政治家の顔ぶれを見て、ようやく「ファースト」の目指すところが見えてきた。(写真は東京都のHPより)

■はぐれ者改憲派の集まり
 今月7日、会見を開いた若狭氏は、政治団体「日本ファーストの会」の設立と、政治塾「輝照塾」の開催を発表した。先の都議選で、「自民党でもない、民進党でもない」政党の存在を有権者が求めていると感じたからだという。しかし、団体としての主要政策や目指すべき国の姿については語らずじまい。早い時期の解散総選挙をにらんで、“小池新党”の存在をアピールした形だ。「都民が第一」と叫んできた人たちが、国政の場で一体何をやろうというのか――。その後に若狭氏が接触した政治家の顔ぶれが、答えを示している。

 まず若狭氏が接触したのは、今年4月まで民進党の代表代行を務め、今月4日に同党を離党した細野豪志氏。次に会ったのが、民進党を除籍処分となった長島昭久衆院議員と無所属の松沢成文参院議員だった。

 過去の発言や著述から細野、長嶋、松沢の3人にはいくつかの共通点がある。まず、いずれも政界では「はぐれ者」(民進党関係者の評)と見なされていること。長島、細野両氏は、支持率低迷に悩む民進党を見限っての離党で、かつての同志からは「逃げた」と見られている存在だ。とくに細野氏は、加計学園問題で安倍政権を追い込むべき時に党を混乱させ、党内だけでなく国民の期待も裏切った。松沢氏については、神奈川県知事としての経歴以外に、これといった実績が見当たらない無所属議員である。

 そうした彼らが、異口同音に唱えてきたのが「改憲」。細野、長嶋両氏の初当選時の所属は旧民主党。松沢氏は、小沢一郎自由党代表らが自民党を飛び出してすぐに結党した新生党だったが、憲法改正を党是とする自民党に所属したことがないにもかかわらず、いずれも改憲志向が強い。長島氏と松沢氏は、改憲を目指す極右団体「日本会議」に賛同する議員の集まり「日本会議国会議員懇談会」のメンバー。長島氏は、自身の公式サイトで、「未来に誇れる日本を創る」とした上で、第一の課題として『国家の基本法である憲法の書き直す』と明記している。

 改憲にこだわるだけあって、政治家としては安倍自民党と同じ方向を向いている。長島、松沢は集団的自衛権の行使を認める立場、細野氏も本音は賛成だ。原発の再稼働にも賛成。基本的には、安保法制にも賛成の立場だ。安倍政権と同じ方向性であるのは、間違いない。本人たちは、こうした立場を「保守」だと主張するが、正確にいうなら右派あるいはタカ派。しかも、「極端な」という形容詞が付く。彼らに賛同者が増えないのは、当然と言えよう。元をただせば、小池都知事も同じタカ派。平成19年の日本会議設立10周年には、日本会議国会議員懇談会の一員として、メッセージを送っていた(下が小池氏のメッセージ。日本会議のHPより)。小池新党は「改憲ファースト」と名乗るべきだろう。

1-メッセージ.png

■改憲政党の消長
 うさん臭さが漂う小池新党。公立高校で教壇に立つある男性教員は、次のように話している。
「政党を立ち上げるのなら、どのような社会を目指すのか、そのビジョンをしっかりと示し、政策をしっかりと提示してもらいたいものです。“チェンジ”と唱えて、自分の立ち位置が“チェンジ”してしまっただけのペテン師政治家が多すぎる。ただ、日本ファーストの会だけはいただけません。維新の二番煎じ、第二自民党にしか見えないからです。『改憲やります』では、自民党との政策の違いはないと思います。細野さんや前原さんも同じですが、原発容認、沖縄の基地固定化と、どれを取っても自民党の政策と変わるところはないと見ています。単に“目先の新しさ”や“改革”だけでは、これまで幾度となく騙されてきた国民は投票行動には出ないと思います」

 男性教員の言う通り、自民党の補完勢力となった新興の政治勢力は、一時的には注目を集めるものの、尻すぼみに終わるケースが少なくない。大阪府知事、大阪市長を歴任した橋下徹氏が率いてきた「日本維新の会」は、首長選圧勝の余勢をかって地方選で大阪の第一党へと躍進。その後、国政でも一定の議席を得るまでになったが、重要法案で政権に協力する姿勢を鮮明にしてから、有権者の支持を失っている。渡辺喜美氏が率いて消滅した「みんなの党」しかり。改憲を目指す新党は、長続きしない。

 「東京大改革」「都民が第一」を掲げてきた小池氏が、なぜ国政に首を突っ込まなければならないのか?「改憲」が目的ならば、真意を隠しての行動ということで、安倍自民党以上に質(タチ)が悪い。小池氏とその周辺が国政に乗り出すのなら、豊洲やオリンピックの問題を片づけてから、というのが筋だろう。改憲政党などいらない。



【関連記事】
ワンショット
 沖縄は今月3日から5日にかけて旧盆。強行されている辺野古の...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲