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戦略特区・医学部新設 成田市、出張復命作成せず
医学部がらみの情報、意図的に隠蔽か?

2017年8月 7日 09:20

000011499.gif 国家戦略特区の認定を受け今年4月に開学した「国際医療福祉大学・高邦会グループ」の医学部新設を巡り、申請自治体の千葉県成田市が、事業推進のために公費出張した折の「復命書」を一切作成していないことが分かった。意図的な“隠蔽”が疑われる。
 医学部新設事業に関連する出張は、延べ約250件。本来なら復命の義務がある職員の出張174件で復命書が作成されておらず、公費支出の正当性だけでなく事業の透明性も担保できない状況だ。
(右は、成田市の市章)

■あり得ない!「復命書」不存在
 HUNTERが成田市に情報公開請求して入手したのは、同市が特区申請していた「国際医療福祉大学医学部」の新設が実現するまでに行われた“公費出張に係る全ての文書”。同市が、今年3月に請求した特区関連文書の開示分から、出張関連文書を一方的に省いてきたため、改めて開示を求めていた。

 庁舎外で行われた国際医療福祉大学や内閣府などとの協議にあたっては「出張命令」と「復命書」があるはず。しかし、送られてきた文書は「旅行命令票」という職員個々への命令一覧だけで、復命書は一枚もなかった。

 「旅行命令票」によると、国際医療福祉大学・高邦会グループの医学部新設問題で出張したのは特別職である市長、副市長をはじめ所管課である国家戦略特区推進課の職員ら16人。特別職4人をの除いた12人の職員には復命書を作成する義務があるはずだが、簡単な記録文書さえ残されていない。隠蔽を疑って成田市国家戦略特区推進課に確認を求めたところ、驚くべき回答。同課は「復命書は1枚も作成されていません」と明言している。

 規程違反ではないか――。出張に関する規定を所管する同市人事課に確認を求めたところ、『成田市職員服務規程』には、出張にあたっては≪旅行命令権者は、職員に公務のために出張を命ずる場合には、旅行命令票によらなければならない≫と規定。復命については≪出張を命ぜられた職員が帰庁したときは、上司に随行した場合を除くほか、3日以内に復命書を旅行命令権者に提出しなければならない。ただし、用務が軽易な事項であるときは、口頭で復命することができる。≫と定めているという。やはり復命書の作成は職員の義務だ。

 他の自治体では、完結した職員の出張に関しては「旅行命令書」と「復命書」がセットで保存されるのが普通。加計学園の獣医学部新設問題で注目を集める愛媛県今治市の場合は、「復命書は存在するが非開示」となっている。成田市の特区関連だけ、出張後の復命書がないというのは、考えられない。

 それでは、医学部新設に関して行われた成田市職員の出張が、服務規程にある「用務が軽易な事項であるとき」にあたるかというと、これは明確に否定するしかない。医学部新設事業では、20億円とも言われる土地が成田市の無償提供。160億円の校舎建設費用のうち、半分の80億円を千葉県と成田市が拠出している。巨額の公費支出を伴う事業の出張内容が、“軽易な事項”であるはずがない。出張復命書を作成していないというのであれば、形を変えた隠蔽。役所として、説明責任が果たせない事態だ。正当な公費出張だったのかどうかも怪しい。

■異常な隠蔽姿勢
 国家戦略特区を利用した医学部新設に関する成田市の隠蔽姿勢は異常というしかない。HUNTERが3月初旬に行った関連文書の情報公開請求に対しては、何かと理由を付けて開示を延長。ようやく開示された資料は意図的に肝心が部分が省かれるなど、半年近くかかっても、すべての文書が揃う状況にない。

 まともな役所なら当然あるはずの国際医療福祉大学・高邦会グループ側との協議記録は作成されておらず、不存在。特区絡みの出張関連文書や不動産鑑定書は、一方的に開示対象から除外されており、出張関連文書と不動産鑑定書については、理不尽な再請求を余儀なくされていた。

 成田市で実現した医学部新設は、加計学園疑惑の構図と一致している。特区会議での議論➡医学部新設を1校限りで認める文科・内閣府告示➡事業者公募➡1者応募――。加計の場合と同じ経過だ。獣医学部の公募期間は8日間だったが、医学部新設の事業者公募期間はたったの7日間で、形だけ。「国際医療福祉大学・高邦会グループありき」だったことは歴然だ。相場通りなら、隠蔽の裏にあるのは“不正”。成田市が何を隠しているのか、見極める必要がありそうだ。



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