来年は明治維新から150年。維新の原動力となった薩摩=鹿児島県では、様々な記念行事が予定されているという。加えて、NHKで放送が予定される大河ドラマは「西郷どん」。多くの県民が敬愛する西郷隆盛が主人公とあって、いやがうえにも盛り上がりそうだ。
幕末から明治にかけての薩摩といえば、西郷さんをはじめ名君の誉れ高い島津斉彬公、大久保利通、東郷平八郎、西郷従道、大山巌、桐野利秋など歴史に名を残す多くの人材を生んだことで有名。しかし、平成になってからの鹿児島県では、かつての偉人たちとは比べようもない、極端に低レベルな連中が権力の座を占めるようになっている。
(写真左は三反園知事、右が森田俊彦南大隅町長)
■ペテン師知事、評価は最低
タクシーの運転手さんたちは、取材先の貴重な情報源。彼らは、客との会話などから様々な情報を得る機会が多いだけに、世情に明るいものだ。3~4年前のこと。伊藤祐一郎前知事の評判について聞くと、大半の運転手さんが答えるのを避けていた。同県の絶対権力者だった伊藤氏について、あれこれ言うことさえはばかられる状況だったのだ。
変化が現れたのが知事選を前にした昨年の春頃。どのタクシーの運転手さんも「上から目線」「偉そうに話すから評判が悪い」などと、平気で厳しい批判をするようになっていた。結局、伊藤氏は7月の知事選で惨敗。テレビ朝日のコメンテーターだった三反園訓氏が、初当選を果たしていた。
それから1年。あちこち飛び回った鹿児島市内の取材で、8人の運転手さんから話を聞くことができた。良くは言わないだろうと思っていたが、案の定、手厳しい評価ばかりだった。「原発反対の人たちを騙した」「原発止めるやら、嘘ついて」「票目当てで、原発反対派を丸め込んだ」「嘘はいかん」――。“次の知事選は勝ちますかね?”との問いには、8人中7人が「2期目はない」と断言する状況だった。不人気は独裁的手法が嫌われた前知事以上。その証拠に、数百~千単位が普通の政治家のフェイスブック投稿に対する「いいね!」が、三反園氏の場合は10台から多くても30台となっている。下は、三反園氏のフェイスブックの投稿画面。この投稿に「いいね!」を押したのは13人しかいない。
タクシー情報といえば数か月前、年配の運転手さんから興味深い話を聞いた。それによると、知事はある会合に参加した帰りに、別の老紳士2人と件の運転手さんのタクシーに同乗。相手がよほどの大物だったのか、両人に平身低頭の状態で、かしこまって話を聞いていたという。10分ほどの間に、知事が発したのは「ハイ」だけ数十回。県庁職員を大声で怒鳴り散らし、テレビ局の記者を恫喝する三反園氏とは思えぬ態度である。「廃炉」で反原発派を騙し、政策合意さえ平気で反故にする希代のペテン師三反園訓は、上位者にへつらう悪代官そのものだ。
■居座るデリヘル町長
原発で県民を騙したのが知事なら、原発のゴミ処分場がらみで町民を欺き続けているのが南大隅町の森田俊彦町長。4年前には、核ゴミ処分場誘致を巡って、電力業界と深いつながりのある会社社長からモーターボートをもらっていたことや、同社長あてに核関連施設誘致に関する委任状を書いていたことが発覚。今年になって、その社長側から飲食やデリヘル派遣といった“接待”を受けていたことが明らかとなった。普通なら、即刻辞任の悪行三昧。しかし、報道各社の取材から逃げ回り、町民には「事実無根」と嘘八百の説明をして町長の座に居座っている。この町では、議会も腐敗。町長と一緒になって悪事を重ねてきた町議らが、町を牛耳る形となっている。
■西郷さんが泣いている
幕末までの薩摩藩の武士は、「郷中」という同藩独特の教育システムの中で育まれ、幼いころから「義を言うな」「嘘をつくな」などと教えられたという。そうした環境の中から、西郷、大久保といった維新の英傑が輩出した。ところが、150年経った鹿児島の政治家は、嘘つきばかり。人を欺くことに何の痛みも感じない輩が、県知事や町長としてふんぞり返る有様だ。
ある鹿児島市在住の男性公務員は、次のように憤る。
「戦後の鹿児島の政治家で、歴史に残るような人物いえば、二階堂(進)さんや山中貞則さんくらい。あとは、小物ばかりだった。現在は、さらに酷くなっており、県知事は大ウソつきのペテン師だ。自民党県連会長の森山さんにしても、カネ絡みの黒い噂ばかり。デリヘル接待を受けた町長に至っては、鹿児島の恥というしかない。来年は維新から150年。記念行事もいいが、トップリーダーとはどうあるべきか、考える機会にすべきだろう」
お説ごもっとも。泉下の西郷さんも、嘆いているに違いない。