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受け皿失格 民進党解党の勧め

2017年7月18日 09:30

1-民進ロゴ.png 自民党が惨敗した都議選を契機に、下がり続ける安倍内閣の支持率。直近で行われた時事通信の調査では、支持が29.9%と3割を切り、政権維持が難しいとされる危険水域に入った。当然、自民党の支持率も下降。3割台から2割台前半へと急落している。
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る疑惑に加え、繰り返される閣僚や若手議員による失言・不祥事。政府・与党の敵失で上がるはずの野党の支持率だが、民進党をはじめ各党の支持率も低迷しており、「支持政党なし」層が6割を超える状況だ。
 受け皿がない現状に広がる政治不信。原因は、やはり野党第一党である民進党の体たらくにある。

■蓮舫氏の戸籍巡りドタバタ劇
 かつて幼稚な政権運営で国民の顰蹙を買った旧民主党。下野し、党名を変えた後もゴタゴタ好きの悪しき体質が改まっていない。民主党時代には、政権交代を実現させた最大の功労者・小沢一郎氏(現・自由党代表)を追い出すなど党内抗争を繰り広げ、消費増税や原発再稼働を推進して自滅。直後の総選挙で大惨敗を喫し、有権者の信頼を失った。労働組合最優先の姿勢と方向性の定まらぬ党運営は、その頃のまま。国民の意思を「忖度」できないまま、またしても国民不在の党内抗争をはじめている。

 発端は、今井雅人という衆院議員のツイッターでの発言だった。今井氏は「都議選の大敗を受け、まずは蓮舫代表の二重国籍問題を解決することだ。戸籍も見せて、はっきり説明することから始めなければいけない」と投稿。これを受け蓮舫氏が戸籍を出して説明すると言い出したため、戸籍公表の是非を巡って様々な主張が飛び交う事態となっている。

 背景にあるのは、蓮舫執行部と反執行部派の反目。現体制を維持して党内をコントロールしようという勢力と、蓮舫代表や野田佳彦幹事長を引きずり降ろそうという勢力とがせめぎ合い、反執行部派が批判の多い「二重国籍問題」に再点火させた格好だ。ただし、どちらも低レベル。国民のための路線対立ではない。

 蓮舫氏の戸籍を確認したいという国民がどれほどいるのか分からないが、彼女が国民の支持を失ったのは、二重国籍問題が噴き出した時の彼女自身の対応のまずさが原因だろう。自身の国籍に関する疑惑であったにもかかわらず、説明が二転三転したからだ。初動で間違いを犯したため、何を言っても信用されない状況で、これは加計疑惑で文部科学省の文書を「確認できない」「怪文書」などと否定し、結局は存在を認めた安倍政権のケースと同じである。一度ついた嘘やごまかしが、政治家本人だけでなく所属政党の評価を下げるは当然。いまさら蓮舫氏の戸籍を見せられたからといって、民進党の支持率が伸びるわけではあるまい。民進党内で「戸籍を見せろ」と騒いでいる議員たちは、問題の本質が理解できていない。

 そもそも、「戸籍見せろ」の言い出しっぺである今井という国会議員自体、信用の置けない人物である。民主党から維新、維新から民進とコロコロ所属政党を変えており、誰のために政治をやっているのか分からない御仁だ。選挙は弱く、小選挙区で落選しては比例復活というパターンが3回も続いている。国会議員としてはC級。政党名頼みの比例で復活しておきながら離党を繰り返すというのだから、明らかな有権者無視。政党人としての自覚が欠如した、“自分さえ良ければ”の典型例だろう。民進党には、この手の輩が多すぎる。

 蓮舫氏も良くない。国会議員である以上、日本国籍があるのは分かり切っていること。公職選挙法は「被選挙権」を「日本国民」に限定しており、そのため候補者の立候補届出にあたっては、戸籍の謄本または抄本の添付が義務付けられている。国籍上の問題があれば、チェックが入っていたはずで、問題があれば彼女は国会議員になっていない。蓮舫氏の二重国籍問題は、国籍選択の手続きに瑕疵があったか否かの問題。毅然と対応すれば済んだ話だったのに、見え透いたごまかしで逃げようとしたため、傷口を広げる結果になっている。つまりは自業自得。公党の代表としては、不適格ということだ。いまさら戸籍がどうのと言われても、有権者はしらけるばかり。都議選敗北を機に、さっさと代表を辞任すべきだった。

■解党して出直せ!
 民進党最大の欠点は、連合=労働組合の顔色ばかりうかがい、国民の思いを汲み上げることのできない歪んだ体質だ。現在、国民の過半数が、憲法改正と原発再稼働に反対。集団的自衛権の行使にも特定秘密保護法にも、共謀罪法にも反対の声が多数である。しかし、民主党はそうした主要政策についての方向性が曖昧で、憲法論議さえままならないのが現状。原発については、電力労組への遠慮からモノを言うことさえできないでいる。安倍政権に媚びを売り、「残業代ゼロ法案」を容認する連合が誰のために組織なのか分からないが、民進党が公党である以上、重視すべきは国民の意思だろう。労組の言いなりに主張を歪めている間は、民進党に大衆政党を名乗る資格などない。

 受け皿次第で政治が動くことは、都議選での都民ファースト圧勝が証明済みだ。民進党に求められているのは、旧民主党時代の間違いを国民に謝罪し、解党的な出直し策を講じることだろう。いっそ、実際に解党して野党の大同団結を図ってはどうか。かつての自民党には、右も左もいたのだから。



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