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「安倍退陣」こそ国民の願い

2017年7月24日 08:50

首相会見会見 1.png 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る疑惑や稲田朋美防衛省の相次ぐ失言問題などで、内閣支持率急落という事態に直面した安倍晋三首相。24日から衆参で開かれる予算委員会を前に、反省しているのかと思いきや、さにあらず。自民党の友好団体との会談で口が軽くなったのか、秋に開かれる臨時国会で、野党各党に改憲案を示すよう訴えた。
 支持率20%台のこの首相、国民を尊重する気持ちは薄いが、ツラの顔だけは相当に厚い。

■軽口たたいて憲法論議
 安倍首相は23日、日本青年会議所(JC)会頭との公開対談で、「各党はただ単に反対という主張ではなく、自分たちはこう考えているという案を持ち寄っていただきたい」と発言。憲法改正について積極的に議論を進めるため、秋に開かれる予定となっている臨時国会の憲法審査会に、各党が改憲案を示すべきだと訴えた。

 青年会議所は自民党の友好団体。麻生太郎副総理をはじめ、多くの国会議員を輩出しており、持論を展開するにはもってこいの場所だったのだろう。「私はあまり人の話を聞かないイメージがあるけど、結構人の話を聞くんです。議論をしても、人の話は聞いていきたい」などと軽口をたたきながら、偉そうに他党への指示を出した形となった。

 特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法制、共謀罪法――。いずれも、安倍が国民の反対を無視して強行した事案だ。沖縄では、各種選挙で示された民意さえ踏みにじり、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進めてきた。これのどこが「人の話を聞く」人間がやることか。
安倍の常套文句である「丁寧に説明する」「信なくば立たず」も同じこと。言葉の軽さが不信を呼んでいることに、安倍はまだ気付いていない。

■一貫して「憲法改正」
 軽いのは、政権の方向性もそう。「アベノミクス」、「三本の矢」、「新三本の矢」、「一億総活躍」、「地方創生」、「働き方改革」、「人づくり革命」――。浮かんでは消える政権のキャッチは、大河ドラマどころか1話完結の2時間ドラマ。安倍政治で一貫しているのは、「憲法改正」に向けた意欲だけだ。  

 平成25年の第2次安倍政権発足直後、安倍はまず、憲法96条の先行改正に前のめりとなった。96条は、憲法改正の発議要件を定めたもの。「たった3分の1の国会議員が反対することで、国民投票で議論する機会を奪っている。(改正の)必要性を訴えていきたい」などと発言し、改憲発議について現行で3分の2とされている国会議員の数を、減らすべきだと主張していた。

 国民の猛反発で96条の先行改正を断念した安倍が、次に持ち出したのが「緊急事態条項」。平成27年には、参院予算委員会の閉会中審査の中で「緊急時に国民の安全を守るため、国家、国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と明言し、憲法に緊急事態条項を新設する必要があるとの見解を示していた。

 そして今年5月、右翼団体「日本会議」の関連団体が主催する憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せた首相は、次のように改憲への決意を語っている。

 

 ・憲法改正は、自由民主党の立党以来の党是。
 ・国会議員は改憲について「具体的な議論」を始めなければならない時期に来ている。
 ・大規模な災害が発生したような緊急時のために、憲法の中に「緊急事態条項」を規定すべき。
 ・自衛隊に対する国民の信頼は9割を超えているが、憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が存在しており、「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは無責任。
 ・私たちの世代で、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、「自衛隊が違憲かもしれない」などといった議論が生まれる余地をなくすべき。
 ・9条の平和主義の理念については、同条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むべきで、これは国民的な議論に値する。
 ・国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマ。「一億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。そのため、高等教育についても無償化すべき。
 ・日本が生まれ変わる夏季オリンピック、パラリンピックが開催される2020年を新しい憲法が施行される年にしたい。

 国会ではなく、右翼仲間の集まりで、2020年と年限を区切っての改憲発言。戦争好きの首相が、国民や国会を軽視しているのは確かだろう。その後開かれた衆議院予算委員会の集中審議では、改憲メッセージについて追及した民進党の民進党議員に対し、「自民党総裁としての考え方は読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」と答弁。一国の宰相が、特定メディアの記事を「読め」という、前代未聞の展開となっていた。言葉の軽さが目立つ安倍だが、改憲に関してだけは一貫している。

■安倍の真意とは
 歴代の中で、これほど憲法を無視する総理大臣はいなかった。現行憲法を、「アメリカに押し付けられた」と公言し、マイナス評価ばかりを強調。“一強”の状況をいいことに、憲法改正を最大の政治課題として国民に押し付けた。憲法99条は≪天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ≫として、公務員の憲法擁護義務を規定しているが、安倍はお構いなし。率先して憲法違反を犯し、集団的自衛権の行使容認にあたっては、“解釈改憲”という禁じ手まで使って戦争への道を拓いている。安倍の言う「美しい国」とは、一体どんな国なのか……。

 憲法とは、権力を縛るための最高法規である。従ってその改正には、主権者たる国民が「変えるべきだ」と言い出した時でなければ手を付けるべきではない。権力側が憲法改正をリードするということは、犯罪者が刑法をねじ曲げようとするのと同じこと。つまり、権力側が「改正」を叫ぶのは、都合の悪い条文があるからに他ならない。安倍にとって最も目障りなのが「9条」。戦争をやりたくて仕方がない安倍にとって、平和憲法の象徴である同条だけは我慢ならない。だから何がなんでも「憲法改正」。極右の宰相は、これを「戦後レジームからの脱却」という言葉でごまかしている。

■喫緊の課題は……
 憲法改正は、喫緊の課題ではない。現時点でやるべきは、国政を歪めた加計や森友の疑惑を解明することであり、安全保障を脅かす稲田朋美を更迭すること。“学園疑惑”と無能な大臣の失言で支持率が下がったのだから、当然だろう。臨時国会は、国民のために開かれるもの。野党が、憲法改正案を持ち寄る必要などさらさらない。国民の願いは、安倍を退陣させることなのだ。



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