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お粗末安倍自民党 都議選で歴史的惨敗

2017年7月 3日 09:55

100_80712.jpg 首都決戦とはいえ、地方選の開票速報が全国放送されるのは極めて異例。NHKをはじめ民放各局までが都議選特番を組んだのは、戦後初のことだったろう。
 結果は推薦候補を入れて55議席を得た都民ファーストの圧勝。「23」という自民党の獲得議席は、結党以来最低の数字である。
 象徴的だったのが、選挙戦最終日に安倍首相が秋葉原で行った街頭演説。「安倍辞めろ」の大合唱が、現在の政治状況を如実に示している。

■安倍の失政に暴言・失言が追い打ち
 注目の東京都議会選挙で、小池百合子東京都知事率いる「都民ファースト」が圧勝した。自民党は歴史的な大敗。安倍政権のあまりの酷さに有権者があきれ、投票先として新しい政治勢力を受け皿に選んだ結果だろう。言うならば、「安倍政権が都民ファーストを勝たせた」(自民党議員)格好。連日のように飛び出した閣僚や党幹部の暴言・失言が、関係のない都議候補の票を減らすという異例の展開だった。

 自民大敗を招いた最大の要因は、共謀罪法を強行採決し加計学園問題の幕引きを急いだ政権の強引な対応だ。今月19日の緊急記者会見で首相は、加計学園の獣医学部新設問題に触れ「信なくば立たず」「何か指摘があれば、そのつど真摯に説明責任を果たしていく」と明言しながら、萩生田文書の存在が明らかになったとたん、閉会中審査や臨時国会の開催を拒否。説明責任を放棄し、隠蔽姿勢を露わにした。これでは、政権側の主張を信じろと言う方が無理。そこに、閣僚や党幹部の暴言失言が追い打ちをかけた。

■稲田発言
 都議選の応援演説で、「(2期目の当選を)防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言し、防衛大臣としての無知をさらけ出した稲田朋美氏。釈明会見で「誤解」を連発し、さらに“被害”を拡大させた。

 発言のどこをどう解釈すれば、地元への謝意になるのか分からないが、誤解とは「誤った解釈」のこと。つまり、国民が「間違っている」というのだから、呆れてものが言えない。稲田氏については、防衛大臣どころか政治家としての資質そのものに疑問符が付く状況。「防衛省、自衛隊として、早々にお辞めいただきたい」(ある自衛隊関係者)というのが、大方の意見だろう。

■都連会長にも加計疑惑
 加計学園の秘書室長から計200万円の政治資金提供を受けていたと報じられたのは、都議選の責任者でもある都連会長の下村博文氏。同氏の支援団体「博友会」が、平成25年と26年にそれぞれ100万円・計200万円をもらいながら、政治資金収支報告書に記載しなかったとして「闇献金」を指摘された。下村氏は会見で、200万円は11の個人・企業からのもので「加計学園が購入したものではない」と釈明したが、彼の文科相就任は平成24年。そもそも、現職の文科大臣が所管する学校法人から政治資金提供を受けること自体が間違いなのである。

■足引っ張った二階幹事長
 都議選の応援演説で、北朝鮮について「変なものを打ち上げてくる気違いみたいな国」と、口を滑らせたのは二階俊博幹事長。批判され発言を撤回したが、怒りが収まらなかったらしく新聞に八つ当たりし、再び都議選の応援演説で「落とすなら落としてみろ。マスコミの人たちが選挙を左右すると思ったら大間違いだ」「われわれはお金を払って(新聞を)買ってんだよ。買ってもらっているということを忘れてはだめじゃないか」と、持論を展開した。結果、「落とすなら落としてみろ」が現実になって、自民党は惨敗。幹事長が、都議候補の足を引っ張る形となった。

■安倍一強の終焉
 都議選の自民敗北が示したのは、“一強”のもろさ。都民ファーストの躍進で、受け皿さえあれば、国政選挙でも同じことが起こり得ることを証明した形だ。森友や加計の問題の背景にあるのは、「おともだち」を優先して国政を歪めるという安倍首相の政治手法。本当の政治決戦は、次の総選挙となる。



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