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維新「大阪都構想」の是非 選挙と住民投票で90億円!

2015年11月24日 06:00

大阪維新の会本部/維新の党本部 注目の大阪ダブル選挙は、大阪府知事選、大阪市長選で政治団体「大阪維新の会」の候補者が圧勝。松井一郎知事の再選と、橋下徹大阪市長が後継指名した元衆議院議員・吉村洋文氏の初当選が決まった。
 つい半年前、橋下維新が訴えてきた「都構想」の是非を問う住民投票で「NO」を突きつけた大阪の有権者が、今度は都構想への再チャレンジを認めた形。大阪特有の政治風土があるとはいえ、理解に苦しむ人は少なくないだろう。
 だが、マスコミの過熱報道でも明らかな通り、橋下維新の消長が国政に影響を与えるのは事実。そこで、改めて彼らのこれまでを整理してみると……。

4年間で4度、大阪の課題は都構想の是非だけ? 
 平成23年の市長選、都構想実施を訴えて府知事から大阪市長への転身を図った橋下氏が得た得票は750,813票。この時の投票率は60.92%だった。昨年3月の出直し市長選は、事実上の信任投票となったため23.59%という低投票率。それでも橋下氏は377,472票を得ている。そして今回、橋下氏から後継指名を受けた吉村氏は、4年前のダブル選から10ポイント以上低くなった50.51%の投票率で60万近くの得票。これだけゴタゴタが続いても橋下人気は底堅く、大阪においては「ブランド」と言わざるを得ない。だが、本当に評価に値するのか?――橋下維新を巡るこの4年間の動きを表にまとめた。

橋下維新を巡る4年間の動き

 平成23年のダブル選は、大阪都構想推進を訴える橋下氏が任期途中で府知事を辞め、市長選への鞍替え出馬を決めたために行われたもの。府・市それぞれの首長を維新で固め、構想実現を図る目的だったが、府議会・市議会で過半数を有していないことから作業が遅れ、混乱する結果に。都構想について審議する法定協議会において、過半数を占める公明・自民・民主・共産などの4会派が維新の区割り案を拒否したことに業を煮やした橋下氏は昨年2月、任期を2年近く残して市長を辞職。民意を問うとして再出馬し、批判が渦巻く中、再選を勝ち取った。任期満了が当たり前の首長選挙が、維新のわがままで4年間に3回。「改革」の必要性を説く橋下維新が、「都構想」のためだけに巨額の税金を費消し続けている現状はどう見ても異常だ。

都構想の是非に90億円!
 制度上許されているとはいえ、選挙や住民投票はただではできない。平成23年からのダブル選から今回のダブル選までに、都構想の是非について有権者に判断が求められたのは住民投票を含め4回。「まるで駄々っ子」と言われるように、橋下維新の身勝手で大阪を振り回しているのは明らかで、度重なる問いかけに巨額の税金が消えた格好となっている。

 例えば、昨年の出直し市長選の費用に約5億3,000万円、今年の住民投票に約8億3,000万円、これとは別に、住民投票を除く都構想関連経費として、大阪府と大阪市で23億円以上が使われていたことが分かっている。

 2度のダブル選にかかった費用は必然的な支出とはいえ、毎度争点が同じというのではコストのかけ過ぎ。大阪府の予算関連文書などで確認したところ、知事選にかかった経費は平成23年が約24億円で今回は約21億円。市長選については平成23年が3億1,000万円で、今回も同様の額だったとして計6億円超。都構想を是非が問われた選挙と住民投票で、総額90億円近い税金が使われた計算となる。「税金の無駄遣いをなくす」と叫んできた維新の、これが実際の仕事ぶり。大阪の有権者は、暮らしの予算より政治決戦の予算が優先される現状を承知していたのだろうか。

「二重行政解消」の欺瞞
 「大阪都」への移行が必要な理由として維新が挙げてきたのは「二重行政の解消」。だが、この主張を維新が訴えると、かなりの矛盾が生じることになる。たしかに、府と市が同じような事業を競ってやるのは感心できないが、大阪府と大阪市、それぞれのトップが協議し無駄な事業を省けば済む話だ。府知事=松井、市長=橋下とそれぞれの自治体のトップを大阪維新が独占する現在の体制なら、容易に話し合いがつくはず。二重行政が存在するというなら、松井、橋下両首長が相談して、無駄をなくせばよかった。できないのは議会のせいでも、自民党をはじめとする維新以外の政党のせいでもない。両首長の怠慢か、あるいは選挙目当てであえて二重行政を放置したかのどちらかということになる。

都(みやこ)は二つ必要か?
 二重行政を巡る議論に懲りたのか、今回のダブル選挙で橋下氏らが力点を置いたのは「東京」に対抗する「大阪」を強調すること。「大阪を再生させて“副首都”にするためには、都構想が必要だ」という訴えである。歴史的にみても、東京への対抗意識を燃やすというのが大阪の特徴。橋下維新の「大阪を都(みやこ)にして、東京に対抗する」という主張は、大阪人の心をくすぐるものだったのだろう。だが、大阪府が大阪都になったとしても、皇居が大阪にできるわけではない。大阪は大阪。いまさら東京都のマネをする必要などあるまい。地方は地方の特色を生かして未来を切り拓くべきで、実際に知恵を絞って「再生」を果たしている自治体のケースは枚挙に暇がない。どう考えても、この国に都(みやこ)を二つ造る必要などないと思うが……。



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