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【加計疑惑】 文科省メールが示す“政府の情実”

2017年6月 7日 08:55

文部科学省-thumb-280x240-1071.jpg 安倍晋三首相の“腹心の友”が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画に絡み、内閣府が文部科学省に対し『官邸の最高レベルが言っていること』などとして早期開学への圧力をかけたことを示すメールの存在が明らかとなった(参照記事⇒「文科省内の共有メール一挙公開!」。
 メールが文科省内部で作成・共有されたものであることは明らかだが、安倍政権はメールの存在そのものを否定し、逃げ切りを図る構えだ。
 しかし戦略特区の動きの中で捉えると、省内メールは、加計学園への獣医学部新設認可が“情実”であることを示す重要な証拠となる。

■獣医学部新設への動きと連動するメールの内容
 問題のメールは5通。昨年9月26日発信分が3通、9月27日と11月8日にそれぞれ1通発信されている。日付に従って、加計学園の獣医学部新設に向けた動きに当てはめてみた。

1-省内メールの意味.png

 9月26日発信分の3通は、内閣府の藤原審議官が、文科省高等教育局専門教育課長に獣医学部新設に関する協議を要求してきたことを受け関係課が日程調整したことを示す内容。翌27日のメールは、26日夕に行われた協議における内閣府側発言をまとめた文書を、職員間に回覧するための連絡だった。27日のメールに添付された「打ち合わせ概要(獣医学部新設)」には『*取扱注意』とあり、内閣府が≪平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短スケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)≫などと求めたことや、≪「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる≫という内閣府側の強要ともとれる発言が記録されている。

 『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っていること』などと記された一連の文書について、それらが文科省内部で作成・共有されたものだったことを証言した前川喜平前文科事務次官は、上掲の表≪加計学園獣医学部に関する動き≫にある通り内閣府と文科省の協議が行われた次の日――つまり9月28日――に『官邸の最高レベルが言っていること』と記されたペーパーを受け取ったとしている。確認したところ、これは27日発信のメールに添付されていた「打ち合わせ概要(獣医学部新設)」の内容を、さらに短くまとめた内容となっていた。
(*下、左が前川氏が受け取ったと見られる「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」、右がメールに添付されていた「打ち合わせ概要(獣医学部新設)」)

1-文科省文書.jpg 1-メール6.jpg

 加計学園への伝達事項を確認する11月8日のメール発信も、政府の動きと連動していたのは確か。添付文書「加計学園への伝達事項」の内容は、翌日9日には加計学園の獣医学部新設が事実上決まった「国家戦略特別区域諮問会議」が開かれる予定となっていたことから、結果を見越した文科省が加計学園に、学部新設認可を可能とならしめるための対策を伝えるものだった。内閣府の恫喝に屈した文科省が、認可過程に疑念を抱かれないよう、アリバイ作りに入っていた証し。加計側への便宜供与ともいえる伝達内容が、獣医学部新設認可の正当性を失わせる結果となっている。

 文科省内部から出てきたと見られる5通の省内メールは、前川証言を裏付ける物証。国家を歪めた“政府の情実”が、間違いなく存在する。



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