政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

【加計疑惑】文科省メールと文書(下) ― 記述と一致する特区の議論経過

2017年6月13日 09:10

1-1省内----2.jpg 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設が決まるまでの過程で、内閣府が文部科学省に圧力をかけた証拠と見られる文科省内のメールと文書。学部新設に至る議論経過を検証すれば、内容が事実であることが一目瞭然となる。
 停滞していた議論が、突然進みだしたのが昨年の9月。慎重だった文科省や農水省をねじ伏せたのは、文科省メールと文書で明らかとなった『総理のご意向』だった。

■急展開の議論、裏舞台暴いた文科省メールと文書
 昨年9月21日に内閣府で開かれた国家戦略特別区域会議「今治市分科会」。今治市が申請した獣医学部新設について、国家戦略特別区域諮問会議有識者議員でワーキンググループの座長を務めた八田達夫アジア成長研究所所長が次のように発言し、あからさまに加計学園の獣医学部新設計画をプッシュしていた。

 現在ではライフサイエンス研究において、獣医学部というものが人間の医学に関しても非常に役に立つという新しい状況になった。しかし、それにもかかわらず日本の獣医学部は国際水準に到達していないので、その研究水準を高める必要がある。もう一つは、地元の感染症に関する危機管理の人材を育てる必要もある。西日本ではこの人材の要請が極端に不足しているのだから、西日本でこういうことをやらなければいけない。これは非の打ちどころのない御説明だったと思います。私はこれはぜひ推進していくべきだと思っております。

 これに対し、文科省と農水省は、いわゆる「石破4条件」を満たさない計画は認めないという姿勢。文科・農水の両省の抵抗が、少なくとも9月21日の今治市分科会まで続いていたのは確かだ(参照記事⇒「文科省メールと文書(上) ― 背景に文科・農水両省の抵抗 」。状況が一変するのは分科会の直後。ここで問題の文科省メールと文書が登場する。

 文科省メールによれば、分科会の5日後となる9月26日、分科会で進行役を務めた内閣府の藤原豊審議官が文科省高等教育局専門教育課長に協議を要請。メールに添付された「藤原内閣府審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)」には、同日夕に行われた協議の場で、内閣府側が≪平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短スケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)≫などと求めたことや、≪「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる≫と発言していたことが記されていた(下の文書参照)。この段階で文科省は、「できない」と言えない立場に追い込まれたことになる。

20170613_h01-02.jpg

 上掲の文書については、要約版が作成され9月28日に前川喜平前文科事務次官に渡されることに。10月4日の国家戦略特別区域諮問会議では、安倍首相が「(獣医学部新設などの)法改正を要しないものは直ちに…略…実現に向けた議論を加速」と発言し、獣医学部新設に向けての動きが加速する。それでも抵抗する姿勢を見せていた文科省にとどめを刺したのが、10月17日に前川前次官に手交された下の省内文書だ。

20170613_h01-03.jpg

 ≪(獣医学部)設置の時期については、今治市の区域指定時より「最短距離で規制改革」を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている≫≪「国家戦略特区諮問会議決定」という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり≫――。つまり、「平成30年4月」という獣医学部設置の時期は安倍首相の意向によるもの。諮問会議決定で首相の指示という形にするためには、11月上中旬に会議にかける必要があるという最終通告だった。業を煮やした内閣府が、「官邸の最高レベル」が首相本人を指すことを明かし、決断を迫ったという形だ。

 このあと、事態は内閣府が描いたシナリオ通りに動いたとみえ、11月9日に諮問会議開催。前回会議で「議論を加速させる」としただけで具体例を挙げなかった安倍の発言を山本幸三特区担当相が引き取り、「直ちに実現へ向けての措置を行うもの」の例として獣医学部の設置を挙げていた。文科省メールと文書の記述は、議論の流れを証明する内容。急展開した表の動きを、メールや文書に記された裏の動きで説明した格好となっている。

1-省内メールの意味.png

 加計の獣医学部新設を巡っては、昨年8月から9月にかけて、同学園の加計孝太郎理事長が文科、農水、特区担当の各大臣と面会していたことが分かっており、急展開した特区の議論経過と符合する。加計学園疑惑で問われるべきは、政府ぐるみで行われた便宜供与の是非。加計側から関係者に見返りが渡っていれば、“疑惑”が“疑獄”へと発展することになる。



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲