26日の読売新聞朝刊。東京都議選に関する都民への世論調査結果を伝える紙面に、安倍政権にとっては驚愕の数字が掲載された。支持率39%に対し、不支持が50%。他紙の調査結果より、かなり高めの数字になることで知られる読売の政権支持率が、いきなり危険水域にまで下がった形だ。
共謀罪法の強行採決に加え、拡大する一方の加計学園疑惑。民主主義を愚弄し続けてきた安倍政権に、ようやく終わりの時期が見えてきた。
■読売も認めた安倍の不人気
政権が加計学園隠しのために共謀罪法を強行採決し、国会を閉じたのが今月18日。新聞各紙はこの前後に全国世論調査を実施し、安倍政権の支持率が10ポイント前後下がったことを報じていた。それでも読売の調査結果では「支持49%・不支持41%」。朝日の「支持41%・不支持37%」という数字とは大きく違う結果となっていた。
驚愕の数字が明らかとなったのは26日。都議選告示直後、報道各社が行った都議選調査結果は、いずれも都民ファーストが第一党をうかがう勢いにあることを示すもの。新聞各紙は同日の朝刊で情勢分析の記事を掲載し、政権不支持が支持を上回っていることを報じている。特筆すべきが、読売が3面に掲載したグラフ。下がその紙面である。
「支持39%・不支持50%」――。支持と不支持が逆転し、不支持が支持を11ポイントも上回る結果だ。同日の朝日の報道では「支持40%・不支持50%」。ほぼ同じ結果とはいえ、安倍政権発足以来、読売調査の「支持」が朝日の調査結果より下になったのは初めて。政権の不人気を、読売も認めざるを得ない状況ということだ。
ここで改めて、朝日と読売が行った今年5月からの支持率調査結果をまとめた。
■受け皿次第で一強終焉
森友、加計と続いた“学園疑惑”。説明責任を果たそうとしない安倍政権の支持率は下がり続け、都内限定ではあるが、不支持が支持を10ポイントも上回る状況だ。国会閉幕後の首相緊急記者会見と、直後に発覚した「萩生田文書」の存在も支持率を下げた原因とみられる。
だが、都内の政権支持率が大幅に下がったのは、小池百合子都知事率いる都民ファーストの善戦が最大の要因。「自民党より都民ファーストの方がまし」――。そうした意識が、支持率調査の数字に表れたと見るべきだろう。これは、受け皿次第で“一強”が崩れることを示唆している。
これまでの世論調査で「安倍政権を支持する」と答えた人の大半は、「他に適任者がいない」という消極的理由が大半。民進党がしっかりしていれば、あるいは自民党内に安倍に代わる首相候補がいれば、数字の上での一強はとうに崩れていたはずだ。都議選では、小池知事率いる都民ファーストが登場。選択肢ができたことで、一気に政権支持者が離れたということだろう。
安倍政治は、数の力に頼った議論封じで成り立ってきた。特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法、共謀罪――。戦争に向けての道普請に躍起となってきた安倍が、最終的に目指しているのが「戦争を認める憲法」への改悪だ。一貫して民主主義を否定する政治手法を、本当に国民は支持するのか?読売の調査結果には、そのことに対する答えが示されている。