鹿児島県の三反園訓県知事が昨年5月、既に退職していたテレビ朝日のコメンテーターを名乗り、経済団体の記念講演で講師を務めていたことが分かった。
三反園氏は昨年2月にテレビ朝日を退職しており、偽りの肩書で参加者を騙した格好。しっかり講演料まで受け取っており、同氏の見識が問われる事態と言えそうだ。
■偽りの肩書で講演料ゲット
三反園氏が講師を務めたのは、昨年5月に愛知県中小企業団体中央会が開催した設立60周年記念講演会。三反園氏は「テレビ朝日コメンテーター」として登壇し、「舞台裏から見た政治・経済」と題する講演を行っていた。同団体が配布した案内状などの印刷物における三反園氏の肩書は、すべて「テレビ朝日コメンテーター」となっていた。(下の文書参照。赤い矢印はHUNTER編集部)
問題は三反園氏の「テレビ朝日コメンテーター」という肩書。三反園氏は昨年2月にテレビ朝日を退職しており、この肩書を名乗れたはずがない。24日、改めて三反園氏の退職時期と5月時点での同社との関係についてテレビ朝日に確認を求めたところ、広報による回答は次の通りだった。
退職は2月。愛知県中小企業団体中央会の設立60周年記念講演会が開催された5月には、「テレビ朝日コメンテーター」の肩書はなかったということだ。そもそも、昨年5月といえば、鹿児島県知事選挙に出馬を表明していた三反園氏の政治活動が活発になっていた頃。テレビ局が立候補予定者を「コメンテーター」として使えるはずがない。テレビ局の社員だった三反園氏が業界の常識を知らぬはずはなく、確信犯的に「テレビ朝日コメンテーター」を名乗ったと見るべきだろう。
■古巣もあきれたペテン師知事
三反園氏を講師として招いた愛知県中小企業団体中央会に事情を聞いたところ、エージェントを通じて三反園氏を紹介され、講演料も支払ったという。「テレビ朝日コメンテーター」という肩書については、三反園氏から訂正の申し出もなかったとしている。講演会に参加した名古屋在住の会社社長は、あきれ顔にこう話す。
「確かにテレビ朝日コメンテーターと紹介されていた。“元”とか“前”は付いてなかった。紹介された三反園さんは、それでも平然と講演を続けていたから、分かってて訂正しなかったということでしょう。もっとも、愛知県では三反園さんが鹿児島の知事選に出ることを知らなかった人の方が多かったんじゃないか。それほど知名度がある人ではなかったから。それにしても、肩書詐称はいただけませんね。この程度の男が、よく知事になれたもんだな」
「川内原発を止める」と公約して選挙を勝ち抜きながら、知事就任後はペテン師の本性を剝き出しに九電にすり寄った三反園氏。肩書詐称も、自己の利益のためなら平気で嘘をつく彼らしいエピソードと言えるだろう。偽りの肩書を使ってカネをもらうことは、詐欺的行為。HUNTERの記者から取材の趣旨を聞いたテレビ朝日の広報も、「私の方では何ともですねぇ……」とあきれ気味だった。県民からも、古巣からも厳しい視線――哀れな男というしかない。