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汚れた公費出張

2017年5月24日 08:50

鹿児島 058-thumb-280x210-6513-thumb-280x210-6514.jpg 今月12日、鹿児島県南大隅町の住民らが、デリヘル接待の疑いが持たれている同町の森田俊彦町長を刑事告発した。罪名は「受託収賄」。核関連施設の誘致に協力する見返りに、飲食、クラブでの遊興、デリヘル嬢の派遣といった「接待」を受けていた疑いがあるとした上で、厳罰を求めたものだ。森田町長に「公開質問」で事実関係の確認を求め、無視された末の刑事告発。取材や住民の問いに答えようとしない森田氏自身が招いた結果と言えよう。
 森田氏が受けた接待は、東京への公費出張を利用した、いわば税金を食い物にした所業。改めて、汚れた町長の東京出張について検証した。
(写真は4年前、HUNTERの追及にうなだれる森田氏)

■賄賂漬けの実態
 町長という役職は、町内に各種施設を設置したり、施設を利用する事業を誘致する事務を統括掌理するものだ。職務権限を有する町長が、核関連施設の誘致について便宜な取り計らいをするよう請託を受け、請託の報酬として供与されるものであることを知りながら接待を受けたというのだから、立派な受託収賄である。森田氏は、接待とは別にモーターボート1台を無償で譲り受けており「賄賂漬け」の状態にあったことは想像に難くない。刑事告発は当然だが、森田氏にいささかなりとも政治家としての矜持があるなら、疑惑を否定できなくなった時点で、自ら職を辞するべきだった。

 森田氏を接待していた電力業界と関係の深いO社の役員は、HUNTERの取材に対し接待の回数が「両手以上(10回以上の意)」だったと明言している。実際には、森田氏が商工会長だった頃からというから、おそらく数十回に上るものと見られている。森田氏が町長に初当選したのは平成21年4月。同町への情報公開請求によって入手した出張命令書から、町長としての東京出張の回数を年度ごとにまとめた。

1-森田東京出張.png

 平成21年度分は文書の保存期間が過ぎており確認できないが、毎年5回から10回の東京出張。O社側が「接待を行った」としている平成22年度から24年度までに20回以上の東京出張があった。モーターボートや核関連施設誘致の委任状問題が明るみに出たのが平成25年春。核関連施設誘致を巡る東京都内での動きをスクープされた直後だけに自粛したらしく、この年の出張は5回に減っていた。

 必要性が疑われる出張もある。例えば、頻繁に出てくる「施設要望」「中央陳情」などと記された目的の出張。訪問先は環境省や議員会館となっているが、詳しい出張目的が記されておらず、本当に目的通りの出張だったのか、怪しい状況だ。「接待」を受けるため、無理やり東京の公務日程を創作した疑いがある。

■表に出ない「六ケ所視察」
 南大隅町における核ゴミ疑惑の中心人物は森田町長だが、今年に入って、その町長が核ゴミ施設反対派のリーダーを名誉棄損で訴えている。反対派リーダーが代表を務める企業が配布しているペーパーに、町長が核関連施設を視察していたという記事を掲載しており、それが虚偽だという論法だ。当然、森田氏は核関連施設を「見に行っていない」ということが前提になる。だが、嘘とごまかしで町長の座を死守してきた森田氏らしく、じつはしっかりと青森県六ケ所村の核施設を視察していた。

 六ケ所に同行したのはO社の役員。「もちろん、旅費はうち(O社)が出しました」(O社役員)という接待旅行だった。O社役員によると、その時期は「7年前」。「平成22年だった」と明言しているが、こうした日程は表面には出てこない。公費を使った東京出張以外にも、「接待」の事実があったということになる。O社側は、接待を「平成25年の3月頃まで」としているが、これはあくまでも贈賄側の言い分。3年時効を意識してのことなら、その後の接待の可能性は否定できない。

 森田氏を巡っては、多額の借金を抱えた状況で自宅を改築したり、自家用車を購入するなど不可解な動きがあることも事実。住民らの刑事告発が「収賄」の実態を暴くことに期待したい。



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