政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
社会

夢のまた夢 ― 森友学園・愛国小学校の現実 ―

2017年4月22日 06:55

DSC04636.jpg 森友学園問題に国民の注目が集まっていた今月初旬、大阪府内で同学園が建設を進めてきた「瑞穂の國記念小學院」の建設現場を取材した。道路側から見上げた校舎の壁に、誇らしげに掲げられていたのは4月開校予定だった同小の校章。「五七の桐」を取り入れたものだった。森友学園が運営する幼稚園も、五七の桐をデザイン化した園章を使っている。
 五七の桐は、今も浪速(大阪)の人々に愛される太閤秀吉の家紋。籠池泰典前理事長が天下人・秀吉を意識して校章のデザインを決めたのは確かだろう。愛国主義の小学校を建てるという“浪速の夢”の現実は……。

■森友学園問題とは
 次から次へと浮かび上がった森友学園をめぐる謎。枝葉末節の議論が多過ぎたため、肝心のところが解明されぬまま、幕引きとなる可能性が高い。森友問題の構図はこうだ。一人の強欲な愛国主義者が、右傾化が顕著な国内情勢に乗っかり、小学校を経営して一儲けすることをたくらんだ。利用したのは、右翼的な言動で世に出た政治家や著名人。ついには、総理と総理夫人の名を使って学校建設計画を推し進め、役人まで巻き込んで“できるはずのない小学校”の認可を取り付けた。国の土地をタダ同然で手に入れ補助金も騙し取ったが、あまりに分かりやすい便宜許与だっため事が露見。政治家は保身のために愛国主義者を見捨て、役人と歩調を合わせ、愛国主義者潰しに牙をむくという展開になった――。ざっと、こんなところだろう。

 疑惑の核心は、非常識な国有地払下げの動きに、首相夫人である昭恵氏が関与したか否かの一点。9億5,000万円以上の土地が8億円も値引きされ、残りの1億円も国が産廃の撤去費を出すことでタダに等しい金額になったというのだから、一般人にはできない相談だ。

 道一本隔てた同様の土地が地元自治体である豊中市に14億円で売却されていることから考えて(実際には国の補助が出て、豊中市は2,000万程度の支出)、森友学園側への土地払い下げは異常な形。問題の土地については、小学校建設地の隣に校舎を有する大阪音楽大学が7億円での購入を打診し、国側が断っていたことも分かっており、森友に対する優遇は明らかだ。

 「忖度」という言葉が流行っているが、官僚が忖度して9億円の国家財産を投げ売りすることなどあり得ない。政治家の指示、それもかなり力のある政権の中枢にいる政治家もしくはその周辺からの指示でなければできない話と考えるべきだろう。昭恵夫人が国会での証言を拒み続けている限り、疑惑は残ったまま。出てこないというのでは、不都合があるからと判断されても致し方あるまい。
(下の写真は、公園から見た森友の小学校。左側奥の白い建物が大阪音大)

DSC04716.jpg

 愛国主義の小学校が認可された過程も不可解だ。大阪府は、なぜ認可申請基準を下げてまで森友側に小学校開設への道を開いてやったのか。学校法人の審査体制を強化してこなかったことは「僕の失態」として橋下徹氏が名乗り出たが、公人でなくなった自分なら批判をかわせると踏んでのこと。日本維新の会を守るための、姑息な戦術に過ぎない。森友小学校の認可は、松井一郎知事の下で行われており、当初認可に慎重だった府の私立学校審議会が一変して「認可適当」と判断したのは、どう見ても「天の声」によるもの。維新の関与が疑われるのは当然だ。森友問題で追及されるべきは自民党と維新。大手メディアは及び腰だが、多くの国民は気付いている。

■愛国小学校・保育園の現状
 校舎の上空をひっきりなしに旅客機が飛んでいく。「瑞穂の國記念小學院」の建物は、考えていた以上に伊丹空港に近い。ただ、市街地に空港がある福岡市に住む記者からすると、あまり違和感のない風景。むしろ同地は、「文教地区」と言ってよい。森友の小学校の横には「大阪音楽大学」の校舎。道を隔てた公園の横は中学校である。これまで払下げになっていなかったのが不思議なくらいで、籠池氏が小学校を建てようと夢を描くには、絶好の場所だった。
(下の写真、左が瑞穂の國記念小學院の校舎、右が隣に建つ大阪音大)

DSC04640.jpg DSC04718.jpg

 森友学園が運営する幼稚園も確認した。外見は、普通の幼稚園。中では、子供たちの声が響く。ここで「教育勅語」を暗誦していたかと思うと、正直ゾッとする。現実にその光景を見た大人たちは、何を思っていたのやら。首相夫人の安倍昭恵氏は、教育勅語を披露し首相を褒め称える園児たちと、そうした教育をほどこす籠池氏を絶賛していたという。日本国のファーストレディは、よほど戦前がお好きなのだろう。
(下の写真、左が保育園入口、右が園庭)

DSC04615.jpg DSC04621.jpg

■エセ愛国者の儚い夢
 籠池氏は、愛国者ではない。首相やその周辺の右寄り政治家がそうであるように、「愛国」を名乗る悪党だ。国や国民を騙し、税金を詐取した手口は、教育者としても失格だ。先代の後を継いで幼稚園や系列保育園の運営を仕切るようになったとたん、右傾化したという籠池氏。日本会議の活動などを通じ、国会議員らとの付き合いが増えたことで、勘違いするようになっていったのだろう。「俺が教育を変え、日本国を良くしてやる」――小学校建設は、彼の歪んだ「夢」だったに違いない。

 豊臣秀吉の辞世の句は、「露とおち 露と消えにし わが身かな 浪速のことも 夢のまた夢」。籠池氏が使った五七の桐の校章も園章も、もうじき消える運命にある。籠池氏にとって、愛国小学校も幼稚園も、夢のまた夢ということだ。森友学園は21日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。



【関連記事】
ワンショット
 47年前と変わらぬ雄々しい姿が、そこにあった。太陽の塔。...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲