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鹿児島・南大隅町長に接待疑惑 核ゴミ誘致関係者が飲食提供
収賄の疑いも

2017年4月17日 07:15

DSC04793.jpg 16日に行われた鹿児島県南大隅町の町長選挙で3選を果たした森田俊彦町長が、核ゴミ処分場に絡んで接待を受けていたことが分かった。
 取材で確認できた接待は、平成21年頃から平成25年1月までの十数回。同町に、核ゴミ処分場を含む核関連施設の誘致を狙っていた電力業界の関係者から、東京への公務出張のたびに料亭やクラブで飲食の提供を受けていた。宿泊先ホテルに風俗の女性を招き入れていたとの証言もある。風俗嬢の料金も業者側の支払い。核ゴミ処分場に関する請託の上に、接待があったとすれば収賄。公費出張を利用した悪質な所業に、辞任を求める声が上がりそうだ。
(写真は、選挙運動中の森田氏)

■接待の内容
 森田氏に接待を行っていたのは、東京都内に本社を置くO社。O社の代表は電力業界や原子力発電環境整備機構(ニューモ NUMO)との関係が深く、核関連施設の誘致に熱心な人物として知られている。HUNTERの取材に答えたO社の役員によると、森田氏に接待を行うようになったのは同氏が町長に就任した平成21年以降、十数回。森田氏が公務で東京出張するたび、会社代表と役員が夜の食事とクラブでの遊興を提供していたという。支払いは、すべてO社側。森田氏は、一度も支払ったことがないと役員が明言している。

■夜の食事にクラブでの遊興
 夜の食事で接待に使われていたのは、都心にあったホテル内の和食店や向島の料亭など。食事の後は、銀座のクラブで、ホステスを侍らせ遊興するのがお決まりのコースだった。O社の役員は、食事やクラブでの支払いの記録が残っており、求めがあれば提示しても構わないとしている。

■町議会で否定した「接待」
   平成25年3月に開かれた鹿児島県南大隅町議会。森田町長は、会社社長側からの「接待」について聞かれ、次のように答えていた。

1-議会1.jpg

 O社側からの接待を完全否定。このあと、役場職員が受けた接待がらみの答弁の中で、町長はこうも話していた。
 
1-議会2.jpg

 接待を、「いけない事」「社会通念上よろしくない事」「あってはならん事」と何度も断罪。「私はまだそういう接待等受けた覚えがございません」と言い切っていた。森田氏の町長就任後、処分場絡みの接待は本当になかったのか――。HUNTERは4年間、この一点に絞って、取材を続けていた。

■文書取材を「受取拒絶」
 接待を裏付ける証言を得たHUNTERは、先月21日、森田町長に見解を求めるため関連資料を添えて質問書を送付。電話で取材文書と同じ内容を町長本人に伝えていた。町長は取材質問書を入れた配達証明郵便を受け取り拒否(下が、返送されてきた封筒)。電話による確認に対しては、力なく「何かの間違いではないですか」と答えている。どう否定しても、議会や町民をだましていたのは動かしようのない事実だ。

1-受取拒絶.jpg

 核ゴミ処分場を巡っては、O社の代表に核関連施設誘致に関する一切を任せるとの委任状を書いていたことが分かっており、請託があったのは確か。平成24年から25年にかけての接待は、収賄の時効である5年を過ぎておらず、森田氏が刑事告発される可能性もある。接待の内容については、次稿でさらに詳しく報じる。



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