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ポスター掲示板のない町長選の風景

2017年4月11日 09:05

20170411_h01-01.jpg 選挙につきものの道具立てといえば、候補者のポスターを並べた掲示板。これがなければ、選挙は盛り上がらない。二つの選挙が同時に行われるダブル選ともなれば、二枚の掲示板にずらりと候補者のポスターが貼り付けられるもの。ところが、町長選挙と町議選が同時に行われる鹿児島県南大隅町を取材したところ、告示日当日になっても、ポスター掲示板が、ない。一体どうしたことかと取材してみると……。

■公営掲示板が、ない
 南大隅町選管に確認したところ、ポスター掲示板に関する条例がないため、町長選のポスター掲示板はないのだという。そのため町長候補は、陣営を総動員して町内100~200か所に、ベニヤ板で裏打ちし足をつけた自前のポスター版を立てて回ることになる。

 一方、町議選の掲示板は地元のシルバー人材センターが町議候補に呼びかける形で制作され、告示日当日、立候補届を提出した候補を確認して設置されることに。つまり、公営掲示板はなし。町の未来を決める重要なダブル選だというのに、形の上では私設の掲示板が、町議選のみ設置されるといういびつな形だ。

 ちなみに、町議候補が支払う額は、10万円程度。同町議会の定員は12で、今回の町議選には15名が立候補予定とされ、150万円がシルバー人材センターの収入となる。

■公費助成もなし
 国政選挙や知事選、自治体首長及び議会議員選挙では、立候補に門戸を開く意味で、ポスターの印刷費や選挙カーのガソリン代などを公費で賄う制度がある。しかし、南大隅町には公費助成を定めた条例がなく、町長候補は選挙資金の一切合切を自費で賄うのだという。加えて、ポスターの設置まですべて自費。人口約8,000人の町の選挙で、町長候補はかなりの負担を強いられることになる。ポスター掲示板や公費助成の条例が未制定なのは、議会や同町が怠慢を続けてきた証。民主主義の原点である選挙の在り方について、町民の議論を高めるべきだろう。

■走り回るゴキブリの街宣カー
 ポスター掲示板のない風景も珍しいが、南大隅町では、明確な「選挙妨害」や「名誉棄損」がまかり通っている。告示を2日後に控えた9日。南大隅町を得体の知れない街宣車が走り回った。がなり立てている内容は、新人候補への誹謗中傷。裏も取れていない内容をたれ流し、実名を挙げて「極悪非道」と罵る酷さだ。まるでチンピラの所業。あきれた新人陣営が県警錦江警察署に被害を訴えており、同陣営は、弁護士を通じて明日にも正式に刑事告訴するとしている。

 九州地方のある県警幹部OBに話を聞いたところ、実名を挙げて「極悪非道」などとわめきたてる行為は、「表現の自由」を完全に逸脱した行為。しかも、事実ではない内容を不特定多数に流しているとすれば、選挙妨害及び名誉棄損が疑われる事態。警告を発するのが警察の使命だと断言している。ヤクザまがいの連中を雇って、他人の選挙を妨害しているのは誰か――。近く、密着取材の顛末を配信する予定だ。

 南大隅は、現職町長の度重なる「嘘」が混乱を招いてきたという特殊事情を抱える町。11日告示、16日投開票の町長選で、どのような審判が下されるか――。選挙結果に注目したい。



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