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三反園鹿児島県知事 母校講演のお粗末

2017年4月26日 08:50

1-鹿児島知事.png 会場は静まり返り、盛り上がる場面はなし。これほどお粗末な「講演」は珍しいだろう。講師は三反園訓鹿児島県知事。今月13日に実施された彼の母校・指宿高校の創立記念講演会は、同校関係者が呆れるくらいの低レベルなものだった。
 ペテン師政治家は、後輩たちに何を語ったのか――。
(写真は三反園鹿児島県知事)

■問われる18歳選挙権との関係
 三反園知事の母校での講演は、指宿高校創立記念日の目玉として計画されたもの。同窓会から三反園氏を招こうという声が上がり、高校の管理職との協議で知事の講演が決定したという。同校OBから知事が誕生したのは初めて。誇りたい気持ちは分からないでもないが、結論から言って、この講師選びは間違いだった。

 「現職政治家の母校訪問は異例中の異例。しかも、選挙権年齢の引き下げで高校生にも選挙権がある中での知事の講演。配慮を欠いたイベントで、政治的公平性を損なう可能性がある」――こう話すのは鹿児島県の教育関係者。たしかに、教育現場での政治家の講演は、あまり聞いたことがない。昨年の公選法改正で18歳以上の男女に選挙権が与えられており、教育現場での政治教育には以前にも増して配慮が求められるようになっている。OBとはいえ、選挙で選ばれる知事を高校に「講師」として呼ぶことは、不適切と言うしかない。

 別の高校の教員は、「私だったら反対する」と断言した上で次のように述べている。
「“教育現場の政治的中立”という観点からも非常識。昨夏の知事選挙では、有権者の一定数が対立候補の伊藤祐一郎前知事に投票しており、OBだからといって免罪符を与えるには無理がある」

 川内原発絡みの公約を巡っては、反原発派はもとより多くの県民を騙した形になっており、三反園氏の評価は日を追うごとに下がる一方。指宿高校関係者の話によれば、三反園氏の講演に付き合わされた後輩生徒たちの中からも「嘘つき知事」と揶揄する声さえ上がっていたという。

■聞くに堪えない知事講話
 それでは、肝心の講演の中身はどうだったのか?実際に三反園知事の講演を聞いた同校関係者に、感想を聞いた。
「どう贔屓目に見ても、ノープランで思いつきのままにダラダラと言いたいことを語っただけ。話は一般論に終始し、抽象的な話ばかりで具体例はほとんどなかった。具体的だったのは中曽根、小泉の元首相たちに取材したといったことぐらい。講演中、1度も拍手は起きず、笑いも質疑応答の中での生徒の反応や答がウケたものだった。知事自身が、中身のない薄っぺらな人間であることを証明したようなものだ。三反園さんの語る県の施策も素人レベル。「いかがでしょう」と振っても、生徒は無反応だった。生徒会長の挨拶をはじめ、生徒の方が話は上手かった」

 酷評された知事の講話。実際の内容はどのようなものだったのか、独自に入手した録音データで確認した。 
 「野球部のキャプテンはいるかな」「指宿高校はどう?」――こう始まった三反園氏の講演。「(指宿高校は)いい学校です」という答えを引き出すと、5分ほど自己紹介が続く。高校2年まで野球をやっていたこと、3年の時は勉強をやったこと、大学へ行き卒業後はテレビ朝日に入社して政治記者やニュース解説をやっていたこと、そして昨年知事になったこと……。順風満帆の人生にしか聞こえないが、学校関係者が言うように話は途切れがち。テレビのコメンテーターを務めていた人物とは思えない歯切れの悪さだ。前半部分で「運よく大学にうかった」という一言があるのだが、三反園氏の自己紹介の中には、野球の推薦枠で早稲田大学に入学したことや、わずかな期間で大学の野球部を退部した話が出てこない。都合の悪い部分は、ちゃっかり省いていた。酷くなるのは、ここからである。

 あまりに下手な語り口で、聞いているのが苦痛になるほどだったが、三反園氏の講話を要約すると≪「夢」を持つこと、「希望」を持つこと、決断するにあたって「勇気」を持つこと、そして「想像力」を持つことが大事≫というのが講話の趣旨。「この4つの言葉を贈るために来た」というので結論が出たかと思っていたら、「そして何が大事かというと――」として別の「大事なこと」を語り出した。曰く――「努力したら『運』が来る」。努力が、5つ目の「大事なこと」だという。これで終わりかと思いきや、さにあらず。次に「思考力」が大事、「発信力」が大事と、次々に「大事なこと」が増え続ける始末だ。しかも、抽象論ばかりで具体例なし。最後は「言葉」についての講釈になった。このくだりがまた酷い。 

 言葉って大事なんです。すごく言葉が大事なんです。あの~、知ってるかどうか分かりませんが、『政治家にとって言葉は命」って知ってます?知らないですよね。知らないと思います。それぐらい、言葉っていうのは大事なんですよ。皆さんご存知の通り、言葉というのは人を勇気づけたり、人をやる気にさせたり、同時に人を傷つけたり、いろんなことがあります。だからこそ言葉というのは大事なんです。だから、その大事な言葉というのを、皆さん日頃から学んでいただければなと、こういうふうに思っています

 しまりのない話。しかも頭から生徒をバカにしてかかっている。「政治家にとって言葉は命」――現在のこの国の政治家を知る国民なら、誰もが笑う一文だろう。永田町を見渡してみると、言葉の軽い政治家ばかり。総理大臣を始め、閣僚や党幹部といった政権の中枢にいる人間の失言、暴言が相次ぐ状況だ。どうやら三反園さんは、現実が分かっていない。このあと、どうオチをつけるのか聞き入ってみたが、結論は「その大事な言葉というのを、皆さん日頃から学んでいただければ」……。この人、「大事な言葉」の意味さえ分かっていなかった。講演の最後は、さらに驚きの締めくくり。「そして社会人になった時に大事なことは何かというと、やはり体力ですね。体力・気力が大事ですね」「社会人になったら楽しんで下さい」――。訳が分からない講話だった。早稲田やテレ朝は、この程度の人でも入れるという見本。高校の後輩たちにとっては、「自分もやれる」という自信をもらった講演だったに違いない。

■「言葉の大事さ」を語れるのか!
 原発のない社会を「夢」に見、バカな政治家や電力会社に呆れながら「希望」を捨てず、「勇気」をもって反原発の声を上げた人たちを、だました三反園氏。放射能の恐ろしさに対する「想像力」がないのか、原発を容認して県民の期待を裏切った三反園氏。廃炉を前提に原発を止めると明言した約束の場で“私を信じて下さい”と懇願しておきながら、知事になったら真逆のことをやり始め、反原発派と連絡を断った三反園氏。「言葉の大事さ」を人に説くなら、知事を辞任し、後輩たちに「政治家にとって言葉は命」の本当の意味を教えてやるべきだろう。



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