政府は11日、2025年に予定される国際博覧会(万博)の大阪誘致を閣議了解。24日にも、博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)に立候補を届け出る予定だ。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、国内では05年の愛知万博以来、20年ぶり6回目。70年の大阪万博からだと、じつに55年ぶりの大阪開催となる。
問題は、会場予定地が大阪市此花区にある人工島・夢洲(ゆめしま)に決定するまでの過程。大阪府への情報公開請求で入手した資料を検証してみると、府が同地を万博会場に決めるまでの不可解な動きが浮き彫りとなる。(写真は大阪府庁舎)
■会場選定 ― 夢洲は「×」だった
大阪府が万博の会場予定地の選定に取り掛かったのは平成26年。民間のコンサル業者に「国際博覧会に関する基礎調査」を業務委託し、27年、28年と続けて同様の立地調査を行っていた。不可解なのは、26年、27年に実施された2回の調査すべてで「夢洲」が会場用地として認知されていないことだ。下は、民間業者が府の委託を受けて立地調査を行った結果をまとめたもの。26年度段階では、交通アクセスの不備を理由に夢洲に「×」が付けられており、27年度調査では対象地にさえ挙がっていなかった。
■不可解な突然の「夢洲」浮上
民間コンサルの用地調査で、いったん「×」がついた夢洲。府が平成28年度に委託した「国際博覧会大作誘致に係る基本コンセプト(案)策定業務」でも、夢洲は当初、調査対象にさえなっていなかった。下が、同業務の発注仕様書。業務内容には、『府が例示した開催可能知育(6地区)の現地調査等』とあり、別紙に例示された対象は「舞洲」「彩都東部+万博記念公園」「服部緑地」「大泉緑地」「花博記念公園鶴見緑地」「りんくうタウン」の6カ所。夢洲は対象外だった。
この業務委託契約が結ばれたのは、平成28年5月26日。履行期間は8月31日であることから、わずか3か月の間に「夢洲」が再浮上し、他の候補地を押しのけて万博会場に決まった形となる。正式決定は、11月7日。『2025年日本万国博覧会基本構想(府案)の策定について』という部内文書に「夢洲」を会場とすることが明記されており、松井一郎知事の決済印が捺されていた。ここまでに出てきた公文書上では、夢洲に決定した経緯は不透明。平成26年、27年の業務委託費(それぞれ49万円と992万5,200円)と報告内容は、まったく無駄になった格好だ。不可解というしかない。なぜ「夢洲」なのか――。
(つづく)