取材での質問に対する回答が不十分だったり、事実上の無回答だった場合、ほとんどの記者は「回答になっていない」として、取材先に詰め寄るもの。記者あがりの政治家であれば、取材に対する対応の重要性を、認識しているのが普通だろう。
鹿児島県の三反園訓知事(写真)は、元テレビ朝日の政治記者。取材対応への姿勢に経歴を生かしてよさそうなものだが、まったく逆に走るのが常となっている。政治資金疑惑の取材から逃げ回り、文書取材にも無回答。東京出張時における知事公用車(ハイヤー)の私的利用について鹿児島県に確認を求めたところ、お粗末としか言いようのない文書を送りつけてきた。
■公用車ハイヤー私的利用で県に確認
昨年7月28日に就任した三反園知事の東京出張は、12月末までに計14回。鹿児島県はハイヤーを公用車として利用しており、県への情報公開請求で入手したハイヤーの利用明細によれば、29回に上るハイヤー利用の内、約1時間だけ乗車した日の9,140円を除き、毎回2万円~9円近くのハイヤー代を支払っていたことが分かっている。
ハイヤーの利用明細及び旅行命令書などの公務日程を記録した文書を精査したところ、知事が8月、9月、10月に1回ずつ計3回、いずれも公務がない時間帯に、新宿・麻布十番・六本木など都内の繁華街をハイヤーで訪れ、千代田区神田神保町にある東京の自宅まで送らせていたことが判明。県東京事務所と秘書課は、「用務内容は分からない」と明言したことで、私的な用件で公用車を利用した疑いが浮上していた。HUNTERは今月8日、私的利用の実態を確認するため、以下の内容で、改めて県への文書取材を行っていた。
私共の取材で、知事が以下の日付に私的に公用車であるハイヤーを利用していたことが分かりました。カッコ内にハイヤーの運行経路を示しております。県東京事務所と秘書課は、用務内容は分からないとされておりますが、知事におかれましては、どのような用件で、誰と会うためにハイヤーを利用されたのかご回答下さい。また、私的なハイヤー利用について、どのように考えておられるかお聞かせ下さい。
- 平成28年8月22日(羽田空港~麻布十番~六本木~神田神保町~麹町)
- 平成28年9月16日(羽田~紀尾井町~六本木~神保町)
- 平成28年10月2日(東京駅~新宿~神田神保町~紀尾井町~羽田空港)
この日の他に同様の私的利用がなかったどうかについても、ご回答下さい。
■事実上の回答拒否
これに対し、回答期限の10日夕方、県庁秘書課からFAXで送られてきたのが、下の文書である。
スカスカの文書。随分、人をバカにした内容である。そもそも、2日間かけて上記の日程を調べ、知事の行動について「分からない」と明言したのは秘書課。県東京事務所も、「職員の随行がなかったため(知事の行動は)分からない。秘書課に聞いてほしい」と話しており、知事の行動がプライベートだったことは明らかだ。「知事がハイヤーを私的利用した事実はありません」とする根拠を示すべきだが、その点については何も記されていない。「回答になっていない」とは、こういうことをいう。説明責任を果たせていないだけでなく、事実上の回答拒否。これが報道出身知事の了解の上での対応だとすれば、三反園氏の経歴は“くわせもの”と言う他ない。
原発反対派の票を利用して知事に当選した三反園氏は、だました原発反対派と会おうともせず、メールや電話にさえも応答しないという。原発に対する考え方以前に、三反園氏は人として最低。ハイヤーをプライベートで使うことなど、なんとも思っていないのだろう。HUNTERは、「知事がハイヤーを私的利用した事実はありません」とする根拠を示すよう、県側に求めている。