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「保育園落ちた」の背景(上) ― 「待機児童ゼロ」の選挙利用

2017年3月 2日 08:30

1-保育園落ちた.png 今月17日の衆院予算委員会で「2017年度末までに待機児童をゼロにする」との政府目標達成が困難であるとの認識を示した安倍晋三首相。「目標を取り下げることは決してない」と強がって見せたが、公約違反は明らかだ。
 その安倍首相と国内で一番親密な首長と言われているのが、高島宗一郎福岡市長。平成10年に「待機児童ゼロ宣言」をしたものの、未入所児童対策は手つかずのまま。環境整備が追いつかず、年々待機児童が増える状況となっている。
 二人に共通するのは、「待機児童ゼロ」の選挙利用。昨年注目された「保育園落ちた日本死ね!!!」は、子育て支援を人気取りの道具に使う政治への怒りでもある。
(右は、「保育園落ちた」のブログの画面)

■福岡市の「待機児童ゼロ」は市長選向けのパフォーマンス
 下のグラフは、直近5年間の福岡市における待機児童数と未入所児童数の推移である。高島市長が誇らしげに「待機児童ゼロ」達成を宣言したのは、2014年4月1日。その時点では、確かに待機児童数をゼロにしている。しかし、「未入所児童」は1,000人超。入所したくてもできない児童が大勢残されている状態については完全無視を決め込み、さも問題が解決したかのように装っていた。

 待機児童とは、「保育所への入所申請がなされており入所条件を満たしているにもかかわらず、保育所が満杯で入所できない状態にある児童」。一方、親が産休・育休中で入所予約をしている場合や無認可保育園から認可保育園への転園を希望する場合、求職活動を休止している場合などは除外され、子供は“未入所児”としてカウントされる。入所可能な保育所があるにも関わらず、特定の保育所を希望した場合も未入所。つまり待機児童とは、入所を希望しても入所できない児童のごく一部しかないのである。高島氏の「待機児童ゼロ」は、まやかしに過ぎない。

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 グラフを見ると、待機児童ゼロ宣言の翌年には61名の待機児童。詳しく調べてみると、待機児童の増加は、ゼロ宣言が出された1カ月後の14年5月1日時点で、すでに発生していた。新年度を迎え、仕事の都合などで転入組が増えるのは必然。ゼロ宣言が無意味なことなど、事前にいくらでも予想できたことだった。

 平成25年に待機児童ゼロを達成した横浜市は、転入を見越し、5月に入って待機児童が0であることを確認してから発表している。横浜市の事例を、同じ目標を掲げた高島市長が知らないはずはない。4月1日にゼロ宣言を出したのは、この日にしか「0」にならないことを知っていたからに他ならない。なぜ、欺瞞に満ちた「待機児童ゼロ」が必要だったのか――。この年の11月、高島氏の2期目に向けた市長選が予定されていたことを考えれば、答えは一つしかない。選挙目当ての「待機児童ゼロ」に、子育て世代の不信感が広がっている。

(つづく)



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