普段は被害届や告訴状の受理を渋る警察が、市民をいたぶる福岡市の被害届をあっさりと受理――。理由は、こんなところにありそうだ。
福岡市による退職した福岡県警警察官の再雇用が、今年度もまた増加。平成23年の高島宗一郎市長就任直後に急増した県警OBの再雇用は、年度ごとに数を増し、28年4月1日時点で83人に達していたことが明らかとなった。高島市政下で23人も増えた計算となる。(写真は福岡市役所)
■増え続ける県警OBの再雇用
高島市長の就任は平成22年。この年まで60人台だった県警OB再雇用の数が翌年から増加に転じ、24年度には一気に72人に。その後も再雇用の増加は止まらず、27年度には82人を数えるまでになっていた。福岡市に確認したところ、28年4月1日時点での県警OB再雇用者数は83人。6年連続で増えていた。
24年度に県警OBの市への再就職が8名も増えたのは、市役所内部の組織改編が原因。市は同年4月、暴追運動の強化などに対応するため、市民局内に「生活安全部」を新設。初代部長に現役警察官を招くとともに県警OB5名を嘱託で生活安全課に採用していた。新設課を外部の人間ばかりで構成することは前例がなく、市内部からも疑問視の声が上がるほどだった。
■捜査現場からも疑問の声
こうした人事の背景にあったのは、県警幹部OBである大野敏久氏の副市長就任(現在は福岡市顧問)。異例の副市長誕生後、県警OBの再雇用が増加しており、いまも捜査関係者からは「贈収賄や入札妨害などの捜査対象になる可能性があるのが役所。そこで退職警官を大勢雇ってもらうというのは、極めて不適切。捜査に手心を加えるんじゃないかと疑われても仕方がなくなる」といった声が出ている。
実際、県警の姿勢を疑いたくなるような事件が起きている。昨年10月、福岡市が進める「屋台公募」を巡って、市役所内で屋台の女将と担当課長のトラブルが発生。先に屋台の女将を愚弄したのは担当課長だったが、思い余った女将が課長の襟首をつかんだため、大騒ぎになった。県警は翌日出された市側の被害届をスンナリ受理。女将は公務執行妨害と傷害で略式起訴され、罰金15万円を支払っていた。権力組織が組んで、納税者である市民を犯罪者に仕立てた形。日頃、被害届や告訴の受理を渋る県警が、市役所の訴えには無条件で動くということだ。
福岡市には現職警官が出向している。その上、退職した警察官OBを大量に雇わなければならないほど、福岡市の治安は悪いということなのだろうか。