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森友学園の軍国教育 問われる自民党の姿勢

2017年3月 3日 10:00

100_80712.jpg 子供に教育勅語を暗誦させる幼稚園があることに驚いたが、運動会で「安倍首相がんばれ」と声をあげさせる映像を見て、愕然となった。
 国有地払下げ疑惑で注目を集める学校法人「森友学園」(大阪市)が運営する塚本幼稚園。ネット上に残る同園の児童たちの姿は、かつての「軍国少年」を彷彿とさせるもの。問題の運動会では「安保法制、国会通過よかったです」とも言わせていた。時代錯誤というより“狂気”。払下げ疑惑も偏向教育も法律に違反する行為だが、首相は、「国や自民党に調査させる考えはない」と言う。それでは筋が通るまい。昨年、自民党は何をやっていたのか?

■安保法制で自民党がやったこと
 自民党は昨年、安保法制に反対する声の拡大を抑え込むため、党の公式ホームページを使って「学校教育における政治的中立性についての実態調査」と称する調査を展開していた。学校教育の現場で「教育の政治的中立はありえない」、「子供たちを戦場に送るな」、「安保関連法は廃止にすべき」などといった主張を行った教員の事例を、定型フォームに記入して党本部あてに送るよう求めていたのである。下が、自民党のホームページ上に掲載された密告募集の要請文だ。

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≪党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。
学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。

そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することといたしました。皆さまのご協力をお願いいたします。≫

 ≪政治的中立性の徹底的な確保≫≪不偏不党の教育≫≪学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ≫≪偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れ≫――。いずれも、ごもっともなお言葉ばかりだ。ならば、森友の教育内容はどうなるのか?

■まるで右翼の養成機関 驚きの教育内容
 森友学園が運営する塚本幼稚園の運動会では、園児たちは次のように宣誓させている。

「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう 尖閣列島、竹島、北方領土を守り 日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め 歴史教科書で嘘を教えないようお願いします

安倍首相がんばれ 安倍首相がんばれ 安保法制、国会通過よかったです」

 まるで右翼の街宣。幼稚園児が考えた文案でないことは明らかだ。教育勅語の暗誦、軍艦マーチ、日の丸行進曲といった軍歌の演奏、極右団体「日本会議」の下部組織による憲法改正運動への事実上の賛同強要……。森友学園がやっていることは、軍国主義教育に他ならない。右翼の養成機関と言われてもおかしくはあるまい。そこに≪政治的中立性≫や≪不偏不党の教育≫があるのか?≪偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせて≫いるのではないか?国民を「臣民」とする教育勅語は、≪学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ≫という趣旨を大きく逸脱するのではないか?今度は、自民党が疑問に答えるべきだろう。

■逃げるな自民党!
 この学園の教育内容を、首相夫人は「すばらしい」と言い、首相自身も森友の理事長を「私の考え方に非常に共鳴している方」と明言した。幼稚園は文部科学省が所管する教育機関であり、教育基本法は「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と規定している。自民党が行った昨年の自党の調査の趣旨を理解しているのであれば、森友について、徹底した調査、追及をするべきだろう。

 教育基本法は、幼児期の教育について、こうも謳っている。
『幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない』
 「三つ子の魂百まで」という。子供への教育を歪めた結果、この国はどうなったか――。つい7~80年前の歴史を、忘れたとは言わせない。



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