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市民を犯罪者に仕立てる福岡市の理不尽 ~屋台公募の裏で

2017年3月 7日 09:30

市役所 44.jpg 弱い立場の市民を警察に突き出し、子供への暴行は放置――。福岡市政の実態に、怒りがこみ上げてきた。先月、なにかというと「市役所に来い」と高飛車に出る福岡市にぎわい振興課長の言動に苦言を呈したが、この時の話に出てきた「暴行事件」の顛末は、驚くべきものだった。
 高島宗一郎市長の発案で進められてきた屋台公募に、意義を唱えた屋台の女将を同課長が侮蔑。怒った女将が課長の胸ぐらを掴んだことを捉え、警察を使って暴行事件の加害者に仕立て上げていた。
 市民を犯罪者にして、自ら暴行事件があったと騒ぎたてる福岡市。一方で、子供に暴行を加える教員はなぜか野放しにし、刑事告発もしていない。(写真は福岡市役所)

■「暴行事件」の顛末
 HUNTERの記者が「暴行事件」のことを知ったのは、屋台公募を所管する市にぎわい振興課の三笘和弘課長に電話取材した時だった。課長が発した「暴行事件まで起きていますから」の一言。「私がケガをした件でしょう」と自分が当事者であることを認めた課長に、改めて屋台絡みの暴行事件とはいかなるものか、取材を申し入れた。「市役所に来い」と言いながら、「個人情報ですから、この件についてはお話しできません」と支離滅裂な対応を見せる三笘課長。こうした態度に怒りを覚えた屋台応募者がいて、つい手を出したというところだろうと推察していたが、案の定だった。

 関係者の話によると、「暴行事件」が起きたのは昨年の10月。営業場所である市内赤坂地区で営業ができなくなることに疑問を抱いた屋台の女将が、にぎわい振興課を訪ね、三笘課長に説明を求めた時のことだったという。屋台の女将にしてみれば、営業場所が一方的に公募エリアから外されるのは寝耳に水。しかも自分の屋台は今年3月末で許可取り消しとなる「名義貸し」であり、営業自体ができなくなる。数か月前にいきなり、廃業を言い渡されたも同然で、まさに生活がかかった切実な問題だった。

 赤坂地区は、なぜ屋台の営業場所から外れたのか――。問い詰める屋台の女将に、三笘課長は「場所については選定委員会が決めた」。対応に困るような6か月前という時期に、なぜ突然赤坂地区からの屋台締め出しを通告してきたのかという問いに対しても「答える必要がない」などとして、説明責任を放棄していた。存続を願う常連客の署名はについては「見る必要がない」。あげく、「(そんなに客がいるなら)店舗をやったらいいじゃないか」と言い放っていた。自分だけでなく、署名してくれたお客さんまで愚弄された形の女将が、怒るのは当然だろう。思わず課長の胸ぐらを掴んだはずみに、課長の首のあたりをひっかいたのだという。「警察呼べ」とわめく課長。同行者が女将をなだめ、その場は収まったものの、福岡市は翌日、福岡県警に被害届を提出。屋台の女将は公務執行妨害と傷害で略式起訴され、罰金15万円を支払っていた。

■容認できない福岡市の姿勢
 暴力は認められない。しかし、そこに至る過程では、絶対にこの課長に非がある。生活がかかった相手の疑問に、まともに答えず説明責任の放棄。税金で飯を食う公務員としては、失格だ。しかも、屋台存続を願う署名簿を「見る必要がない」と頭から否定したことは、署名した多くの市民を愚弄したに等しい。殴られなかっただけまし、というのが実態だろう。三笘課長のこれまでのふざけた態度を知る記者としては、被害者はむしろ犯罪者に仕立て上げられた屋台の女将だと断言しておきたい。女将は、福岡市の勝手で生活の糧を奪われかねないのだから、なおさらだ。職員の非を棚に上げ、警察沙汰にした福岡市は、市民を犯罪者にして満足なのだろうか?HUNTERは、絶体に容認できない。理由は、ある。

■教育現場の「暴行事件」は放置
 “子供をたたき、頭突きして鼻骨骨折を負わる”――。これは、どう見ても暴行だ。警察に被害届を出されれば、加害者は十中八九処罰を受けるだろう。しかし、福岡市の教育現場では、子供を傷つける教員が刑事罰を受けることは皆無。福岡市教育員会も、暴力教師を事実所野放しにしているのが実情だ。

 HUNTERはこれまで、市教委への情報公開請求で入手した資料を基に、教員の体罰事案についての記事を度々配信してきた。平成21年6月29日に市内の中学校で起きた体罰は、《体育館の入り口付近にAを連れ出し、指導の際Aに頭突きを1回、ほほを4~5回たたくなどの体罰を行い、Aの鼻骨を骨折させたもの》というもの。だが、この暴力教師に下されたのは「文書訓告」。地方公務員法に規定された戒告、減給、停職又は免職といった「懲戒」とは違う、部内での比較的軽い処分だった。同様のケースを、列挙してみる。

ケース1《左ほほを足で押し倒し、立ち上がったBに対し、右の平手で頭を2回叩くなどの体罰をおこなった》(中学校。平成21年)。→ 文書訓告

ケース2《態度が横柄であるとして、生徒Aに頭突きを1回した上、胸ぐらを掴み、背中から落ちるように投げるつもりで生徒Aに足払いをしたところ、生徒Aが頭から床に落ちる形となった。これにより、生徒Aは左眉並及び左頬周辺に打撲傷及び擦過傷を負った》(中学校。平成21年)→ 文書訓告

ケース3《生徒Aの頭を平手で5~6回叩き、脇腹付近を1回払うように蹴った》(中学校。平成21年)→ 文書訓告

ケース4《児童Aの左頬を右手の平で1回、右頬を左手の平で1回、計2回叩いた児童Aは、左耳の鼓膜に3mm程度の穴、右耳の鼓膜に1mm程度の小さな穴が空くという怪我を負った》(小学校。平成21年)→ 文書訓告 

ケース5《生徒Aを廊下に出し、生徒Aの頭部を右手の平で3回叩き、髪を掴み、右膝で太ももを2回蹴って生徒Aを壁に押し付けた》(中学校。平成21年)→ 口頭訓告

ケース6《生徒Aの左頬を右平手で1回叩き、生徒Bの胸を1回押した。その後、中略、生徒Aの臀部を左足首辺りで1回蹴り、生徒Bの頭を左手で1回叩いた》(中学校。平成22年)→ 文書訓告

 いずれも、子供に対する暴力。暴力団まがいの酷さだ。だが、暴力教師たちは警察に突き出されることもなく、訓告という軽い処分で済まされていた。処分が重くなるのは、同様事案を繰り返した場合。それでも、被害者側が告訴しない限り、刑事罰に問われることはない。クビになるのは、死亡または後遺症が残るようなケガを負わせた場合のみ。教育現場では、「体罰」という名の暴力が野放しになっているも同然なのだ。理不尽というしかあるまい。刑事訴訟法は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定しているが、教員の暴力が告発されたという話は聞いたことがない。納税者である市民は警察に突き出すが、税金で飯を食っている教員は守るというのでは筋が通らない。

■理不尽なのは高島市政
 近年注目されるようになった行政対象暴力とは、暴力団などの反社会的勢力や著しく常識を欠いた団体・個人が、何らかの利益を供与させるために、役所を脅したり威圧する行為。理不尽な暴力なら、相手が市民であっても警察に突き出すのが当然だろう。しかし、福岡市の施策によって生活することが困難になるという屋台の女将を相手に、丁寧な説明をするどころか説明責任を放棄。胸ぐらを掴まれたといって警察に突き出すのは、絶体に間違いだ。不親切・不適切な対応をしたのは、にぎわい振興課長の方。警察を使って市民を黙らせた理不尽な高島市政の現状に、怒りを禁じ得ない。

*屋台絡みの暴行事件については、福岡市のインターネットサイト「NET-IB」が詳しく報道している(⇒「http://www.data-max.co.jp/290228_dm1718/」。だが、市政記者クラブ加盟社は、この件を報じようとしない。何故か――。この点については、次の配信記事で実情を報じる予定だ。



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