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南大隅モーターボート疑惑 町長「訴える」の笑止

2017年2月20日 08:40

もりた.jpg 鹿児島県肝属郡南大隅町の森田俊彦町長が、保身のためについた嘘で窮地に立っている。
 町長が東京電力と関係の深い会社社長(以下、会社社長)から「買い取った」としていたモーターボートが、じつは「無償」で譲り受けたものだったことが判明。支払いの証明とされた領収書が後付けだったことまで明らかとなり、議会答弁を含めた町民への説明が“虚偽”だったことがハッキリした。
 先週開かれた町政報告会で真偽を問うた町民らの前では、「落ち着きのない状態」(集会に参加した町民の話)のまま、事実関係を報じたHUNTERやモーターボート譲渡の真相を証言した会社社長を「訴える」と明言し、その場をしのいでいた。
 法廷でお会いする前に、これまでの経緯を整理しておきたい。

■モーターボート・委任状めぐる「嘘」
 今月16日夕、南大隅町内の公民館で開かれた町政報告会。50人ほどの参加者を前に、モーターボート疑惑の再燃を報じたHUNTERの記事について真偽を問われた森田町長の顔が歪んだ。力なく「15万円は支払った」と言う町長は、“間違いというなら、HUNTERと会社社長を訴えるのか”と聞かれ「訴えます」と明言していた。報告会の最後、モーターボート代金の支払いについて再確認を求められた町長は沈黙。町の総務課長が、強引に報告会の終了を宣言したという。

 平成25年2月に発覚した町長のモーターボート疑惑は、森田氏が、同町内に放射性廃棄物(核ゴミ)の処分場を整備しようと動いていた会社社長からモーターボートを貰い受け、その前後に処分場に関する委任状を書いたというもの。HUNTERの取材に対し、町長は当初一切の疑惑を否定。委任状など書いたことはないとした上で、町長就任後は会社社長と会っておらず、モーターボートは“知人への貸金のカタ”だったと説明していた。

 ところがその数日後、HUNTERが入手した同船の登録事項証明書によってモーターボートが会社社長から譲り受けたものだったことが判明。証拠を突きつけられた森田氏は、一転して「モーターボートは15万円で買った」と主張を変えていた。さらに、テレビ番組の報道で、会社社長あてに書いた核関連施設誘致に関する委任状の存在まで露見。疑惑に関する説明が、すべて噓だったことが明らかとなっていた。辞任必至の状況で、森田氏は再び大きな嘘をつく。平成25年3月の町議会で一連の疑惑について質問された森田氏は、「モーターボートは、会社社長から15万円で買った。領収書もある」とした上で、質問した町議と次のようなやりとりを行っていた。

 町議:町長が商工会長時代ですね、議長、商工会長、漁協の組合長が書いたという、処分場に関する全てをお任せする内容の念書にサインをしたという事が(HUNTERの記事に)書いてあるんです。これ。サインをしたと。もう19年か20年の事だろうから町長は記憶にないと言われるかもしれませんが、書いてあるんです。この事は、認めますか、認めませんか。記憶にないと言われますか、どっちですか。

 森田:私は書いた覚えがございません。それと、先程、議員が●●氏に私が協力をしたというふうに言われましたが、私は、●●さん、もしくは他の関係者の方に協力をした覚えもございませんし、利益供与も、また、何かを我々が提供するとか、逆に言うと何か図ってやるというような事はありません。

 「息をするように嘘をつく」という表現が、ぴったり。委任状の存在が暴かれたのは、この数週間後だった。

■会社社長証言―「町長の発言は嘘」
 疑惑の発端が、町長所有のモーターボートだったことは報じてきた通りだ。3年かけて町長と会社社長の周辺を取材してきたHUNTERは先月、モーターボートが「無償」で譲渡されたもので、町長が頼みにした「領収書」も、追い込まれた町長が会社社長に泣きついて書いてもらった“後付け”のものだったことを掴んでいた。電話取材に応えた会社社長は、「町長の発言は嘘。モーターボートは、ただで(森田氏に)譲ったものだ。『取材が入って、知人への借金のカタと言ってしまったので、話を合わせてほしい』と頼んできたので、断った。『せめて、売り買いという形にして、領収書を書いてもらいたい』と言うので、やむなく15万円を振り込むように伝え領収書を渡したが、15万円は振り込まれてこなかった。1円ももらっていない。モーターボートは、身内に使わせていたので、自分の名義になったままとは思いもよらなかった」と話している。モーターボートに関する証言の推移を、もう一度確認しておきたい。

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■その場しのぎは通じない!
 疑惑が浮上するたび、その場しのぎの嘘をつくのが森田町長。証拠を突きつけられ、別の嘘で言い逃れるところは相変わらずだ。「訴える」というのであれば、望むところ。裏付け取材は十分に尽くしており、森田氏に対しても、言い分を確認するため今月6日に南大隅町総務課を通じて質問書を送付していた。(*森田氏あて質問書では、●●の部分が実名)

南大隅町長 森田俊彦様

質問書

 平成25年に発覚したモーターボート疑惑について、改めてお尋ねいたします。
貴殿は当時、私どもの取材に対し、問題のモーターボートは●●氏からもらったものではなく、友人への貸金のカタだったと主張。その数日後、船舶の登録証明を示された貴殿は、●●氏から15万円で購入したと主張を変えていました。

 その後の取材で、実は15万円という現金の動きはなく、「無償」での譲渡だったこと。さらに貴殿が議会などで公言されてきた「領収書」が、事実関係を隠蔽するため●●氏に作成を依頼した、いわば事実上偽造されたものであったことが分かりました。電話取材に応えた●●氏も、この取材結果を認めています。この取材結果について、町長の見解を求めます。

 森田町長からは、今日に至るまで無回答。記事に対する抗議も一切ない。疑惑を否定することもなく、「訴える」というのでは筋が通るまい。裁判、大いに結構。報道内容が証明された時、責任をとる覚悟があればの話だが……。



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