報道記者あがりといえども、政治家になると感覚がおかしくなるのだろう。鹿児島県の三反園訓知事(写真)が、昨年7月末の就任から12月までの5か月間の東京出張で、計124万2,760円の「ハイヤー代」を費消していることが分かった。1日に9万円近くのハイヤー代を使ったケースもある。
航空機は最上級のプレミアムクラス、移動の車はハイヤー……。「県民の視点」を強調して初当選を果たした三反園氏だが、税金の重さが自覚できていない。
■1日約9万円のケースも
昨年7月28日に就任した三反園知事の東京出張は、12月末までに計14回。羽田に到着した後は、すべてハイヤー利用の移動になっている。鹿児島県への情報公開請求で入手したハイヤーの利用明細によれば、14回の東京出張で29回ハイヤーを利用。最低額は、約1時間だけ乗車した日の9,140円で、毎回2万円~8万円のハイヤー代を支払っている。6時半から夜8時50分まで乗車した日の料金は、88,310円に上っていた。5か月間で総額124万2,760円の税金が知事のハイヤー代に消えた計算だ。(下は、鹿児島県東京事務所におけるハイヤーの利用明細。赤いアンダーラインで示したのが「88,310円」の料金)
■議長、副議長、部長級職員もハイヤー
鹿児島県は、公費支出天国。大半が三反園知事の利用だが、上掲の利用明細から分かる通り、月によっては県議会議長、副議長、副知事、さらには部長級職員にまでハイヤーを利用させていた。まさに、大盤振る舞い。県や議会が、県民を食い物にしていると言っても過言ではあるまい。こうした場合、知事が率先してハイヤー利用を止めれば他も右へ倣いするものだが、三反園氏にはその気がない。
三反園氏が東京出張で搭乗する航空機の座席は、最上級のプレミアムクラス(ANA)がほとんど。14回の東京出張に費やした航空券代は、格安航空券や割引を利用した場合の2倍~3倍で、合計147万2,330円となっている。庶民感覚とかけ離れた旅行実態だが、この点について、知事は何の発言もしてない。
■「県民の視点」は大嘘
下は、三反園後援会のホームページの画面。「県民の視点で県民と変えていく」とある。
県民の視点があれば、黒塗りの高級車にふんぞり返ることなどあるまい。1日9万円のハイヤー代やプレミアムクラスは、もちろん不必要と判断するだろう。出張旅費の原資は県民の税金。使い道に関しては、県民がどう見るかを第一に考えるのが普通だ。1日に5万円、6万円の税金を使ってハイヤーを乗り回すことに、県民が同意するとは思えない。ましてや9万円近くの車代など、普通の暮らしをする県民にとってはもってのほかだ。
「止める」と明言した川内原発に関する公約で、県民を欺いた三反園氏。「嘘」をつくことに何の痛みも感じていない。「県民の視点」も大嘘。もともと彼は、“権力者の視点”しか持ち合わせておらず、高級志向の旅行実態が、それを十分に物語っている。「伊藤祐一郎前知事の時と同じだ」などといった言い訳は通用しない。三反園氏は、「県政刷新」を訴えて当選したのだから。