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鹿児島市長が選挙区内寄附 総額約1500万円 公選法違反の疑い

2017年2月16日 06:00

1-森市長.jpg 鹿児島市の森博幸市長陣営が、昨年11月の鹿児島市長選挙で受けた個人からの寄附の大半を、「返金」名目で寄附者側に支出したことが分かった。市長への個人からの寄附は計96件で1,494万5,000円。いったん市長個人の収入になっており、市長から有権者に寄附した形となる。
 公職選挙法は、政治家が選挙区内で寄附をすることを禁じており、市長側の返金行為は同法違反にあたる疑いが濃い。
(写真が森鹿児島市長。市ホームページより)

市長選で特定寄附の疑い
 森市長の陣営が鹿児島市選挙委員会に提出した選挙運動費用収支報告書によれば、市長の選挙での現金収入は1,984万5,000円。市長本人の自己資金は1円も入っていない。現金による寄附は103件。このうち96件分1,494万5,000円が個人からの寄附で、医師と鍼灸師からの2件を除いた残りすべてが鹿児島市内に本社を置く建設会社等の代表者からのものだった。収入のうち490万円は、医師会や商工会などの業界団体が設立した政治団体からの寄附となっていた。

1―収入.png 市長に寄附をした個人は、ほとんどが市指名業者の代表。建設業が主で、少なくとも17件の寄附が選挙期間中に鹿児島市と請負契約が継続している業者側からの寄附だったことから、公選法が禁じる「特定寄附」だった疑いが浮上していた。さらに、選挙の収入約2,000万円に対し支出が約466万円で、1,500万円以上の選挙余剰金が生じていることも明らかとなっていた。

市長の指示で「返金」
 一連の報道を受けた市長側はHUNTERの文書取材に対し、選挙運動費用収支報告書を「改める」と回答(下が市長からの回答文書)。「事務処理上のミスで、誤って選挙運動費用として計上していた」として、報告書にある個人からの寄附約90件を修正する意向を示していた。

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 修正はどのような形で行われたのか――。15日、HUNTERの再取材に応えた森市長陣営の出納責任者によれば、今週13日から同日にかけて、昨年11月の市長選挙の際に受けた90件以上の個人からの寄附を、個別に寄附者側に「返金」。これに伴い、市長陣営が鹿児島市選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書も大幅に修正したという(13日付で修正されたことを鹿児島市選管で確認)。「返金」の理由については、「HUNTERに選挙資金のことを報道され、受け取った寄附に疑念を持たれる格好になった。『曇りのない形にしたい』という市長からの強い指示で、返金を決めた。件数が多かったため、日を分けて処理した」と説明。一転して「返金」にまで至ったのが、市長本人の意思だったことを認めている。

「選挙区内の寄附」が濃厚
 市長側が言う「返金」は、公選法が認める“債務の履行”(*物品購入や労務等のサービスの対価としての支払い)とはいえず、「寄附」にあたる行為。同法は、政治家による選挙区内での寄附を禁じており、市長側の有権者に対する支出は同法違反にあたる疑いがある。

 総務省選挙課は、「債務の履行以外の目的で支出することはできない」と明言。鹿児島県選管も、一般論と断りながら「特別な理由がない限り、返金という形は認められない。いったん受け取った寄附であれば、その時点で公職候補者の収入。有権者への支出も認められない」としている。

 90件を超えると見られる選挙収支報告の大幅修正に、約1,500万円の「返金」――。動いたカネが「選挙区内の寄附」と認定されれば、前代未聞の事件となる。



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